2011年11月27日(日)、ニンジニアスタジアムではJ2第37節となる愛媛FCのホーム最終戦が行われたのだが、その試合前、興味深い前座試合も行われていた。
 元愛媛FC選手の金子豊さんの呼びかけにより、愛媛FCのOBたちが集い、交流戦を行ったのである。
(写真:懐かし楽しいOB交流戦)
 四国リーグ時代、JFL時代、J2リーグ昇格後の選手たちと懐かしい面々が集まり、青と白の2チームに分かれ対戦した。“ズーパー”友近聡朗さんたちが参加する青チームは、チームカラーが青色だった頃のホーム用ユニフォームを身にまとい、対する金子豊さんたちが参加する白チームは、J2昇格後のアウェイ用ユニフォームを身にまとって戦った。
 
 いざ試合がスタートすると、社会人チームで現役を続けている兵頭由教選手や、10年まで現役を務め、11年から愛媛FCレディースの指揮を執り始めたばかりの江後賢一監督などは鋭いドリブルや精度の高いパスを繰り出し、素晴らしい動きをみせていた。
 しかし、現役から遠のいている大西貴さんは重たそうな身体で、ライン際をドリブルで駆け上がるのもつらそうな感じに見えた。実は前夜、OBが揃って前打ち上げ的な宴会を行ったそうで、その会での二日酔いが響いている可能性もある。
 
 驚いたのは、現在、学校の先生として活躍されているGKの加賀山和宏さんが、現役時代を彷彿とさせる横っ飛びのスーパーセーブを連発されていたことだ。「ひょっとして社会人チームで現役を続けているGK島津一也選手よりも、動きが良いかも?」と思わせるような驚きのプレーをみせてくれた。
 
 また、四国リーグ時代から御世話になっている二神洋幸さんや大藤貴行さん、川元誠さんやブランメル仙台(現・ベガルタ仙台)でも活躍されていた谷口圭さんたちも元気そうにプレーをされていて、とても嬉しく感じた。
 試合は、青チームの友近聡朗さんが、豪快なスライディングボレーシュートを繰り出し先制するも、白チームの小原光城さんが、同点ゴールを決め、最終スコア1−1で仲良く引き分けという結果に終わった。
 
 試合は40分(20分×20分)という短い時間ではあったが、改めて愛媛FCの歴史を振り返り、礎を築いてきた人々への感謝の気持ちを思い起こさせてくれるようなひと時を過ごさせてもらった。本当に楽しくて、また感動すら覚える素敵な試合だった、
 
 OB戦は願わくば今回だけで終わらず、毎年の恒例行事として、ずっと続けてもらいたい。今回は見られなかったが、普段から御世話になっている黒田一則さんや兵頭龍哉さんたちの勇姿も、このピッチで見てみたいものだ。
 
 OB戦終了後に行われた愛媛FC対ザスパ草津の一戦は、1−2で愛媛FCが悔しい敗戦を喫し、残念ながらホーム最終戦を白星で飾ることはできなかった。
 試合後、最終戦のセレモニーが行われ、来場したサポーターやファンに向けて、バルバリッチ監督が挨拶を行った。
「1年間シーズンを通して応援いただきき感謝します。成績は目標とは程遠いものでしたが、今はしっかりと振り返り、分析を行い、来年に向けて準備をして、来シーズンは今年の成績を忘れるくらいの良い成績を残したい」

 その後、選手やスタッフ達が、ゴール裏のサポーターの前まで挨拶しに来てくれた。今季限りで現役を引退する三上卓哉選手は「皆さんの声援が、自分にとってもチームにとっても大きな力になりました。愛媛FCで4年間プレーしましたけど、良い時も悪い時も変わらずに温かい応援をいただいて本当にありがとうございました。まだシーズン(第37節終了時点)終わってないので最後まで闘っていきましょう! 今まで、ありがとうございました!」と挨拶した。
 直後、サポーターから「ミカミ! ミカミ!」と大きなコールが起こると、三上選手にチームメイトたちが駆け寄り、彼を胴上げして労っていた。
 
 また、今季限りで愛媛FCを離れることになった金守智哉選手は「長い期間、本当に御世話になりました! Jリーグに上がって1年目まではケガなく、ずっとやっていたのですけど、それからケガが多くなって、皆さんの力になることができませんでした……。愛媛というチームは、まだまだ小さいし、やっぱりJ1昇格というのが次の目標になります。そのためには、もっともっとスポンサーの協力もいると思うし、行政の協力もいると思うし、もっとサポーターの皆さんの力が必要になってくると思うので、これから残っていくメンバーのためにも協力してJ1という1つ上のステージに向かって、ひとつになって頑張ってもらいたいと思います。自分としては来季もサッカーを続けるか、引退するかすごく悩んでいます……。どっちにしても愛媛FCというチームを忘れず、陰ながら応援させてもらうので皆でひとつになって来年も頑張ってください。本当に長い間、御世話になりました。ありがとうございました!」と目に涙を浮かべ、途中、嗚咽で言葉を詰まらせながら最後の思いを語ってくれた。
「カナ! モリ! フォルツァ、カナモリ!」と金守選手のチャントを繰り返し叫ぶサポーターたち。その中、チームメイトに抱かれながら、金守選手も宙を舞っていた。
 
 改めて、たくさんの方々の努力の下、今の「愛媛FC」という存在があることを再認識させてくれた1日だった。これからも、この貴重な存在を絶やすことなく、私たちサポーターが支え続け、育んでいかなければならないのだ。
 
<お知らせ>

 来たる1月21日(土)、愛媛FCのサポーターやファンが集い、サポーターズミーティングを開催することになりました。
 
【愛媛FCサポーターズミーティング2012】

日時:2012年1月21日(土)13:00〜16:30
場所:松山市総合コミュニティセンター 企画展示ホール1F
主催:愛媛FCサポーターズミーティング2012実行委員会
共催:愛媛ゴール裏net・愛媛FCサポート連絡会 (共催団体、随時募集しております)
協力:株式会社愛媛FC
 
参加人数:目標200名
入場料:愛媛県と愛媛FCを愛する人であれば、参加自由で無料。
 ただし、参加を希望されるの方は、事前にメールでの申込みが必要となります。「愛媛FCサポーターズミーティング2012」の詳細や参加の申込みについては、下記ブログをご覧下さい。
>>「愛媛ゴール裏net」ブログ

 J2リーグでは、2012シーズンからクラブライセンス制度が導入され、昇格や降格の基準や規定が大きく見直されるなど、クラブ、そしてサポーターとしても不安を抱えながら、困難な局面を迎えなければならない可能性があります。
 そんな中、愛媛を愛する私たちサポーターに、どのようなことができるのか、どうすればクラブを支えていけるのか、今回のミーティングを通じて皆で考えたいと思っております。
 ぜひ、お時間のある方はご来場下さいますよう、よろしくお願い致します。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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