3月4日(日)に開幕を迎えたJ2リーグ2012シーズン。愛媛FCは開幕戦においてFC町田ゼルビアに勝利し、好スタートを切った。だが波に乗るまでには至らず、第6節終了時点、2勝2敗2引き分けでリーグ戦順位は11位。
 それでも課題とされていた守備面は安定してきているし、中盤でのプレスやボールキープもレベルが上がっているように感じる。FW陣との連動性が向上すれば今後、得点力アップにも期待が持てそうである。シーズンは始まったばかりだが、一戦一戦の重みを心に刻みながら、今シーズンのチームスローガンである「BORBA」の下、クラブやサポーターも一丸となって、既に夢ではなく目標と言える「J1昇格」を目指して頑張ってほしい。
 公式戦が行われるスタジアム(試合会場)を訪れると、毎回、いろいろな方とお話しする機会がある。シーズン開幕戦(第1節)では、県外から来られたサポーターの方とお話しすることができ、その会話の中で気になる指摘を受けた。

 そのサポーターの方は、日本国内のさまざまなスタジアムにて愛媛FC以外のJリーグの試合も多く観戦されているそうだ。その方いわく「ニンジニアスタジアムへ(試合開始)3時間前に着いたのだが、人が少なく“本当にココが会場なのか?”と不安になった。会場の周辺も、ホームゲームが開催されるという雰囲気がなくて寂しい。他の会場だと、(試合開始)3時間前には既に大勢の人が集まっており、試合前の盛り上がっている雰囲気を味わえる。だから、この会場には違和感を覚えた」とのことだった。
 
 確かに思い当たる部分は多い。私たちサポーターは、横断幕等の掲出準備のため、試合開始3時間30分前には、スタジアムのバックスタンド(ゴール裏スタンド)入場ゲート前に集合してはいるが、メインスタンド側を覗くと、ほとんど来場者はおらず、出店ブースや露店なども設営準備中。「今日はホームゲーム!」というような活気や熱気は感じられない。
 
 試合会場への主なアクセスルートとなる国道33号線沿いには、愛媛FCののぼり旗を掲げてくれている店舗が、数は少ないながらもちらほらあるものの、試合会場が近づくに連れて逆にその数は減り、結果、スタジアムの場所が分かりづらい状況にある。ホームゲームが開催されるという雰囲気は本当に乏しい。
 
 3月11日(日)、第2節(対横浜FC戦)の会場であるニッパツ三ツ沢球技場へ遠征したのだが、試合開始3時間前には各入場ゲート前で開場を待つサポーター達が長蛇の列をつくっていた。周辺を含めた会場全体が、ホーム開幕戦直前の熱気に包まれていて羨ましく思った。
 
 やはり他の会場と比較すると、愛媛のサポーターやファンの方はスタジアムへの来場時間が少々遅いのではないかと感じてしまう。そんなイメージを払拭すべく、愛媛の皆さんにもホームゲームの際には早い時間にスタジアムへ足を運んでいただきたい。余裕を持って来場していただき、スタジアムグルメやイベントを楽しんでもらいたい。そして、選手たちがピッチ内練習を始める前(試合開始50分前くらい)までには席に着き、私たちと一緒に応援のチャントを唄ったり、選手たちへのコールをしてほしいのだ。
 
 この点は愛媛FC事務局でも改善に向けて取り組んでいるとは思うが、私たちも皆さんに早い時間にスタジアムへ足を運んでもらうためのきっかけづくりを考え、その活動を開始している。
 たとえばホームゲームでは、試合開始約2時間前に選手たちがラッピングバスに乗ってスタジアムへ到着する。その到着をチャントを唄ったり、フラッグを振ったりして出迎える“入り待ち”を私たちは以前から行っている。今季からは、その入り待ちをひとつのイベントとして以前よりも大勢の人を集めて盛り上げていきたいと考えているのだ。

 現在、クラブ事務局にもご協力いただき、チームマスコットや愛媛FC熱烈サポーターとして有名な「一平くん」にも、この入り待ちに参加してもらっている。今季、これまでのホームゲーム3試合では毎回100人を越えるサポーターやファンにお集まりいただいた。ぜひ今後も継続し、もっと盛り上げていきたい。試合に臨む選手たちに直接、声をかけ、勇気づけるチャンスでもあるから、まだ参加したことがないという方は早めに来場して、入り待ちに参加していただきたい。
 
 試合会場の雰囲気づくりは、私たちサポーターやファンが担うべき部分も大きいと思う。集客はもちろん、選手たちのモチベーションにも関わる重要な課題だと思うので、今後も改善に向けて取り組んでいきたいと感じている。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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