第9節終了時点で3勝3敗3引き分けでリーグ戦13位と、中位に停滞気味の愛媛FC。依然、ホームゲームで負けなしという現状を好意的に捉えてくれている方もいるとは思うが、今ひとつ調子に乗り切れないという感覚も一方で存在している。
 開幕から見応えのある良い試合を続けていると思うし、選手たちの頑張りもよく分かる。それゆえに昨シーズンの課題とも言える引き分けの数が増えつつあるのが気にかかる。負けなかったというよりも、勝てている試合を逃しているように感じられるのだ。再度、昨年の反省を思い起こし、ゴールデンウィークの連戦で結果を出して勢いに乗った姿を見せてほしい。
(写真:バックスタンド内、オ〜レくんゾーンの一角) 
 昨季より愛媛FCホームゲームでは、ゴール裏観客席(C席)の一部に「オ〜レくんゾーン(立見推奨エリア)」という名の席がクラブ・運営側より指定され、設けられている。このエリアでは立ち見が推奨されており、クラブのオフィシャルサイトでは<試合中は、みんなで大声を張り上げて応援したり、飛び跳ねたり、大きなフラッグを振り回したり、オ〜レくんのように顔がオレンジ色になるまで熱く、よだれが出るまで大きな口を開けて応援したいサポーター達が集まるゾーンです>との説明がなされている。一般的に「コア・サポーター」と呼ばれている、熱狂的にチームを応援し、選手たちを後押ししている私たちのようなサポーターが集うエリアと考えてよいだろう。
 
 今シーズンはスタジアムの全面改修工事もあり、現在、ゴール裏席は封鎖されている。 そのため、この「オ〜レくんゾーン」もバックスタンド席へとお引っ越しとなった。 現状、バックスタンド(C席)入場ゲート側から数えて3ブロック目までが、新「オ〜レくんゾーン」となっている。

 昨シーズンまで、そのエリアで着座されて観戦していた観客には慣れない方もおられるとは思う。現に「オ〜レくんゾーン」へ来られた中には、これまで通りの感覚なのか、座ったまま無言で試合を観戦されている方もいらっしゃる。サポーターたちが説明して廻ってはいるが、まだまだ「オ〜レくんゾーン」の趣旨をご理解頂いてはいないようだ。

 腰を落ち着かせ、じっくりと観戦したいという方は他にも座席はあるので、そちらをお勧めしたい。たとえば、今シーズンからメインスタンド側にも同じ席種(C席)が設けられており、見晴らしも良いし、リーズナブルな座席としてお勧めである。
 
 一方で「オ〜レくんゾーン以外では、熱狂的に応援したらダメなの?」と思っておられる方もいるかもしれない。そのような規制はないので、安心して熱い応援を行ってほしい。ただし、周囲の方に迷惑を及ぼすようなことは避けた方がよいかもしれない。

 もし、私たちの応援に少しでも興味があれば、ぜひとも一度、「オ〜レくんゾーン」へと足を運んでもらいたい。そして、コールリーダーに合わせて一緒にチャントを唄い、手拍子を打ち、飛び跳ね、選手たちを強力に後押ししていただきたい。愛媛の選手が得点した時には誰彼構わずハイタッチ! ひとつの輪の中で濃厚な喜びを分かち合うことができるはずだ。勝利した暁には、歓喜のダンスもまた格別。より深く、非日常の雰囲気を味わいたいのであれば、私たちのいるエリアへ来てほしいのである。
 
 スタジアムの中では、人それぞれ、応援や観戦のスタイル、立ち位置があると思う。それでもスタジアムの全面改修工事という機会を得た今シーズン、新たな立ち位置を模索し、異なるスタイルに挑戦して、サポーターとしての幅を広げてみてはいかがだろうか? そこでは思わぬ感動を得られるかもしれないのだから……。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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