年明けの1月21日(土)、前々回のコラムでも、ご案内させていただいた「愛媛FCサポーターズミーティング2012」が、松山市総合コミュニティセンター(企画展示ホール1階)にて行われた。
 冷たい雨が降りしきる悪天候にも関わらず、会場には100名を越える沢山の愛媛FCサポーター(愛媛FCを愛する人々)とマスコミ関係者の方々が駆け付けてくれた(ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました)。
 会場には愛媛FCサポーターによる過去の活動を記録した写真や資料、愛媛県立図書館や松山記念病院からご提供頂いた資料の展示など、それらを観覧するだけでも楽しい空間づくりがなされていた。
 
 サポーターズミーティングの第1部では、愛媛FCのJ2加盟後6年間の経過説明やサポーターの活動報告、またJ2リーグにおける2012年シーズンから導入される「J1昇格プレーオフ」や「クラブライセンス制度」、そして「JFLへの降格システム」の内容、さらには現在、愛媛FCが抱える問題に関して、実行委員会から説明が行われた。
 
 第2部では、サポーターやマスコミ関係者から選出された7名が、会場のサポーターたちと議論を展開するパネルディスカッションが行われた。今回、私もサポーターの代表としてパネラーに選ばれ、このパネルディスカッションに参加させていただいた。
 
 パネルディスカッションでは、さまざまな提案や問題点について議論がなされたが、その中で個人的に気になる議題があったので、このコラムでも取り上げさせてもらいたい。
 
 その気になる議題というのは「スタジアムへ足を運ぶサポーターの年齢層が年々、高くなってきている」という問題である。
 この問題は現在、愛媛FCだけでなく他のクラブも同様に抱えている難問であろうと思う。単に日本の少子化が進んでいることが、全ての原因というわけではないようで、私も年齢が40代半ばを迎え、50代が近づきつつある中、未来のクラブを支えてもらわなければならない次世代のサポーター達(子供たち)が増えていないという現状は、本当に心配である。
 
 解決策として、「地域におけるクラブや選手達の認知度を高める活動」や「子供たちをチャーターバスなどでホームゲームに招待」といった活動も必要となるだろう。しかし、問題は根深く、その原因はもっと根本的な所にもあるような気がしてならない。さまざまな娯楽が増えている現在、次世代を担う子供たちのサッカーへの興味が薄らいできているのではないだろうか。
 
 ホームゲームの会場に足を運んでくれる子供たちの多くは、サッカー少年団やスポーツクラブなどに所属しているような、既にサッカーに親しんでいる子供ではないかと思う。つまり、それ以外の日頃サッカーになじみのない子供たちに対して、どのようにアプローチを行い、興味を持ってもらうかが、長期的ではあるが、解決への第一歩のように感じるのだ。
 
 そこで、子供の頃のことを思い出して欲しい。私たちの年代が「巨人の星」や「あしたのジョー」などに影響され、野球やボクシングに興味を抱いたように、漫画やアニメーションなどのコンテンツは、子供たちにとって強烈に心を動かされるような大きな力を持っているのではないだろうか。「キャプテン翼」を観て、サッカー選手に憧れ、サッカーに精進した世代がいるように、強い影響力や童心を引き込む魅力があると思う。
 
 たとえば子供たちに対して、「1985年10月に行われたW杯予選の日韓戦での木村和司選手のフリーキックは凄かったぞ!」とか、「ドーハの悲劇は、みんなで泣いたものだ……」とか、私たち大人が熱っぽくサッカーを語ったとしても、それは遠い昔話(おとぎ話)のようなものだ。子供たちにはリアリティがなく、その情熱もあまり伝わらないだろう。

 それよりも魅力あふれる架空のキャラクターたちが、つくられた鮮やかな世界の中で、感動的なストーリーをテレビや誌面で展開している方が、子供たちにとってはよっぽどリアリティがあり、身近に感じられ、共感できると思う。
 
 現在でもサッカーを題材にしたアニメのテレビ番組は、いくつも制作され、メディアで流れている。「イナズマイレブン(シリーズ)」や「エリアの騎士」などがそうだ。だが、悲しいことに愛媛県のテレビ民放局では、それらは放映されてはいない。もちろん「イナズマイレブン」に関しては、系列局が愛媛にないので無理を言えないところだ。

 しかし、系列局のない宮城県、山形県、静岡県、岐阜県、広島県、大分県など、Jリーグクラブを抱えている地域では努力して放映している。せっかく民放局が4局もある愛媛なのだから、子供たちが視聴できる時間帯での放映を是非とも検討してほしい。
 
 今回の提案は、すぐさま愛媛FCの集客に反映される事柄ではない。それでも子供たちに向けたコンテンツは、今なお制作され、メディア上に存在しているのだから、テレビ局を含め、マスコミの方々にはサッカーに興味を持ってもらうための、未来を見据えたきっかけづくりを考えていただきたいのである。
 
 【お知らせ】
「愛媛FCサポーターズミーティング2012」の議事録は、愛媛ゴール裏netのブログにも、掲載されています。
>>「愛媛ゴール裏net」ブログ

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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