第306回 球場命名権ビジネスの舞台裏

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 スタジアムやアリーナに企業名を冠する命名権ビジネス、いわゆるネーミングライツの起源は、1952年の「ブッシュ・スタジアム」だと言われている。

 

 それまでカージナルスが本拠地とするこの球場は、スポーツマンズ・パークと呼ばれていた。ところが米国の大手ビールメーカー「アンハイザー・ブッシュ」(現在は「アンハイザー・ブッシュ・インベブ」)が球団を買い取ったことにより、オーナーの名を冠した「ブッシュ・スタジアム」に名称を変えた。

 

 球団買取当初、オーナーは自社製品をアピールするため「バドワイザー・スタジアム」と名付けようとしたが、当時のMLBは、アルコール飲料商品名の露出を禁じていた。その一方で「アンハイザー・ブッシュ」の本社工場はセントルイスにあり、地域貢献が球団買収目的だったとの説もある。

 

 日本でも2000年代に入ってスタジアムやアリーナのネーミングライツが一般化し、03年には東京スタジアムが「味の素スタジアム」に、05年には横浜国際総合競技場が「日産スタジアム」と名を改めた。

 

 

 現在の契約金額は、前者が24年3月からの5年間で10億5000万円。後者が21年3月から26年2月までの5年間で6億円(最初の3年間は年1億円、その後の2年間は年1・5億円)と言われている。

 

 ところが、3月期の決算で7000億円近い赤字を計上した日産は、スタジアムの所有者である横浜市に対し、年間5000万円での1年契約を打診している模様だ。

 

 そんな中、国立競技場のネーミングライツを三菱UFJファイナンシャル・グループが取得した。契約金は100億円規模となる見通し。ナショナル・スタジアムなら、当然の額か。

 

 問題は呼び名だ。「味スタ」「エスコン」(エスコンフィールド北海度)のように、略称として親しまれるかどうか。締め切り直前に飛び込んできた情報では、略称は「MUFG国立」。まだ長い。「エムエフ」ぐらいでいいのでは……。

 

<この原稿は『週刊大衆』2025年11月3日号に掲載された原稿です>

 

 

 

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