北京五輪代表選考会を兼ねた競泳の日本選手権第4日は4月18日、東京・辰巳国際水泳場で5種目の決勝ほかを行い、男子200メートルバタフライは、柴田隆一(チームアリーナ)が終盤に松田丈志(ミズノ)を逆転し、1分55秒57で優勝、北京五輪代表権を獲得した。2位に入った松田も派遣標準記録を突破し、400メートル自由形に続き出場権を獲得した。
 同種目のアテネ五輪銀メダリスト・山本貴司(近大職)は終盤追い上げたものの及ばず3位。この種目での代表権獲得はならなかった。
 前半型の柴田が序盤からリードを奪うかと思われたが、スタート後、積極的な泳ぎを見せたのは松田だった。100メートルを過ぎるまで日本新記録を1分以上上回るハイペース。松田に食らいついた柴田が、ラスト50メートルを切ってから肩を並べると最後の接戦を制し、優勝を果たした。
「ラスト50メートルでの勝負と思っていたが、思った以上に前半から身体が動いた。(ゴール後)ラップを見て『こんなに行ったのか』と。成長の証でもあり、経験不足でもある」と松田が言えば、「ウォーミングアップをして調子が良かったので、前半は抑えて落ち着いていこうと思った」と柴田。好対象ともいえるレース運びで、柴田、松田が揃って代表権を獲得した。
 
 派遣標準記録を切る1分56秒43のタイムを出したものの3位に終わった山本は、アテネ五輪で銀メダルを獲得したこの種目での代表入りを逃した。
「自分のレースはできた。もちろん『勝つぞ』という気持ちでコース台に立ったが、(柴田、松田の)2人は力がある。自分はこんなもんだな、と。2人が先にいくのは予想していたが、どこかでへばるのを待つレースしか自分にはできなかった。必死に練習してきた結果。納得しています」
 レース後、山本はサバサバした表情でこう語った。アテネ五輪後、一度は競技から離れるも、勝負の世界に戻ってきたのは、五輪で再びメダルを目指すためだ。「復帰して、自分のレースができるか不安があった。レース前にこれだけ怖いなと思うレースは初めてだったが、仲間たちに励まされて勇気を持ってレースに臨むことができた。200でもう一度、五輪でメダルを獲りたいなと思っていたが、(代表入りを決めた)2人は世界でも通用する選手。本番では揃ってメダルを獲って欲しい」。
 柴田、松田へのエールも口にしたが、山本の挑戦は終わったわけではない。残る100メートルバタフライに向け、「100もチャンスがある。死ぬ気で頑張りたい」。アトランタ、シドニー、アテネに続く4度目の五輪出場をかけ、頼れるベテランがラストチャンスに挑む。

 女子200メートル個人メドレーは北川麻美(スウィン大宮)が2分13秒29で快勝し、初の五輪代表入りを決めた。電光表示板でタイムを確認すると、涙があふれた。「ずっと目標にしていたので、とても嬉しい。レース前は手足が震えるくらい緊張したが、みんなが応援に来てくれたのを無駄にしたくなかった。北京では、気負うことなく自分の泳ぎをしっかりしたい」。

 男子200メートル個人メドレーは藤井拓郎(コナミ)が2分00秒30で優勝、2位に入ったこの種目の日本記録保持者・高桑健(自衛隊体育学校)とともに五輪代表となった。「自分のペースでいくことを心がけていた。本当に嬉しい。タイム的にはまだまだなので、ラストの苦しいところで勝負できるようさらに力をつけたい」(藤井)、「この大会のために練習してきた。2位は不本意だが、代表権が手にできて嬉しい。予選、準決勝の流れでは、北京では絶対に戦えない。もう一度、スタートラインに立ったつもりで一から頑張りたい」(高桑)。
 準決勝で派遣標準記録を突破した佐野秀匡(ミズノ)は2分00秒89で3位、五輪代表入りを逃した。

 男子50メートル自由形決勝は岸田真幸(アクラブ調布)が22秒69で初優勝、同女子は山田香(ニスポ元住吉)が25秒71で4連覇を果たしたが、ともに派遣標準記録突破はならなかった。

 男子200メートル平泳ぎ準決勝では北島康介(日本コカ・コーラ)が2分10秒37のトップのタイムで、女子800メートル自由形のアテネ五輪金メダリスト・柴田亜衣(チームアリーナ)は、予選で2番目の記録で、それぞれ19日夜に行われる決勝進出を決めた。