東芝ブレイブルーパス東京の“4万人プロジェクト”は失敗か ~リーグワン~
「NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26」が開幕して1カ月以上が経った。ディビジョン1は5節を消化し、24日からカンファレンスAとBによる交流戦に突入する。昨年12月13日と14日の2日間行なわれた開幕戦は1試合平均2万635人の観客を集めた。これは昨季の1万2244人を上回り、5季目にして最多である。6試合中最多の観客数は3万2613を集めた東芝ブレイブルーパス東京対埼玉パナソニックワイルドナイツによる王者対決だった。
ブレイブルーパスが開幕戦4万人集めるとぶち上げたのは、私が記憶する限りでは、リーグワン2連覇後の府中市のパレードでの薫田真広GM(現・社長兼GM)だ。リーグワンがスタートして観客数が4万人を超えたのはプレーオフを含めても3例。味の素スタジアムをホームスタジアムに置くJリーグのFC東京でも、昨季は同スタジアムでの4万人超は1度だった。かなり高い目標設定だが開幕直前の定例会見では、チケットの発券数は招待を合わせて4万枚を超えたと発表した。
当日は今季から導入の大相撲の升席を模した“コリジョン升席”、犬との観戦が可能な“ドッグシート”というユニークな企画席も設けられた。また日本一や金賞など各グルメ賞に輝いたキッチンカー約50台が集結。ラグビー体験会ブースを含め、スタジアム周辺ににぎわいをつくった。

しかし結果は3万2613。「4万」という目標には到達できなかったものの、レギュラーシーズンの観客数としては23-24シーズン第10節トヨタヴェルブリッツvs.東京サントリーサンゴリアス戦(@豊田スタジアム)の3万4568人に次ぐ歴代2位の数字である。ちなみに昨季、味の素スタジアムで行なわれたブレイブルーパスのホストゲーム開幕戦(第2節、三菱重工相模原ダイナボアーズ戦)は1万471人だった。
ラグビーマガジンの2026年2月号には、その内訳も明かされた。
<最終発券枚数は4万5020枚。このうち、有料券が1万1577枚、招待券が3万3443枚>
昨季のホストゲームは1試合平均1万125人。有料観客数の割合は7割以上だったが、今季の開幕戦はそれをひっくり返してまで実現したかった。運営事業部の望月雄太氏が「ラグビーも集客できるということを広く、多くの方に知ってもらうことに大義がある」との想いがあったからだ。
しかしワイルドナイツとの開幕戦は0-46で完封負け。厳しい言い方をすれば、ブレイブルーパスを応援していた側にとっては屈辱の80分間だった。トッド・ブラックアダーHCは試合後の会見でこう語った。
「我々の強みは学ぶことができること。この学びを今後生かしていきたい」
これは強化面を指しているのだが、運営面に置き換えることもできるだろう。
開幕戦直後、望月氏は「何をやれば良かったかという今はまだわかりませんが、目標を達成するには有料チケットを2万枚は売らなければいけなかった。そこが改善点だったと思います」と振り返った。

「4万人は達成できませでんしたが、我々としては成果があった」
1月の定例会見での薫田社長兼GMの言葉も決して強がりではない。開幕戦は味の素スタジアム開催で初めて黒字を計上したという。「4万人を目指すことで見えてきた景色もある」と望月氏。星野明宏副社長は「もちろん達成できれば良かったんですが、大切なのは運営側もチャレンジし続けること。チャレンジ内容にファンも選手も、ラグビーを超えてスポーツに関わる人がワクワクできるかどうか。それがスポーツを超え、スポーツに興味のない人にも届くような施策を打ち続けていきたい。“4万人プロジェクト”は必ずリベンジしたい」と言った。
プロジェクトは成功か失敗か。掲げた目標を達成できなかったという点では失敗だった。だが、この失敗を糧に大きな成功を得ることができれば、ただの失敗には終わらない。星野副社長は開幕前、こう話していた。「ラグビー選手がミスをした時、切り替えて次にいく。それは事業も同じ」。結果を受けて下を向くか、前を向くか。“4万人プロジェクト”の真の成否は、少し先に見えてくるものなのかもしれない。
(文・写真/杉浦泰介)