坂本花織、「たくさんの人に見守られていた」ラストの全日本SP~第94回全日本フィギュアスケート選手権大会~
第94回全日本フィギュアスケート選手権大会男子ショートプログラム(SP)が19日、国立代々木競技場第一体育館(観客数8222人)で行なわれた。全日本選手権は来年2月に行なわれるミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪の最終選考の場だ。男女シングルは3枠。シニア選手が同選手権で優勝した場合、自動的にミラノ・コルティナ冬季五輪の代表選手に内定する。残り2枠は、同選手権、グランプリファイナル、国際スケート連盟(ISU)認定大会でのシーズンベストスコア上位3名などから、総合的な判断で選出される。
日本のエース・坂本花織(シスメックス)が、首位(79.43点)で大会を発進した。
鮮やかブルーの衣装に身を包んだ坂本。観客は彼女のネーム入りのオレンジタオルを揺らして迎え入れた。現役最後となる今シーズンのSP曲は「Time To Say Goodbye」。
冒頭の3回転ルッツこそ不明瞭なエッジの判定を受けたが、ミスはこの軽微のもの1つだけだった。坂本は演技後にこう語った。
「ルッツにアテンションがついたものの、これだけの点数が出せました。まだ伸びしろがある。収穫になりました」
2つ目のエレメンツ、フライングキャメルスピン(レベル4)では会場から拍手が沸き起こった。
続くダブル(2回転)アクセル、3回転のフリップ-トウループのコンビネーションジャンプを見事に決めた。以降、レベル4のチェンジフットコンビネーションスピン、ステップシークエンス、レイバックスピンで演技をまとめ上げた。
曲の大サビに当たるステップシークエンスとレイバックスピンの箇所を、坂本はこう振り返った。
「良い気分で滑っている時は、曲がすごくゆっくり聞こえるんです。今日はそれがありました。ステップの最中もターンのことをしっかり考えたり、表情なのでジャッジさんにしっかりアピールできたり、細かいことを考えながら滑れました。今までに経験がないくらい、気持ちに余裕のあった見せ場でした。きょうのステップは100点だったと思います」
演技後も再び観客席がオレンジのタオルで揺れに揺れた。坂本の回想――。
「試合中は曲がかかってしまえば自分に集中できました。終わってからは、いっぱい客席がオレンジに染まっていたので、こんなにもたくさんの人に見守られながら滑っていたんだなと、実感しました」
坂本は79.43点で首位に立ったが、2位の島田麻央(木下グループ、ジュニアクラス)との差はわずかに0.1差。「私はこの方(僅差)が燃えるので」と坂本。21日のフリースケーティング「愛の賛歌」に思いを込める。
(文/大木雄貴)