第830回 WBCと「飲みニケーション」

facebook icon twitter icon

 コミュニケーションと「飲み」を組み合わせた「飲みニケーション」は、日本独自の文化や慣習と言っていいだろう。

 

 とりわけサラリーマン社会において「飲みニケーション」は上司と部下が、親密な関係を築く上で、必要不可欠なものとされてきた。

 

 プロ野球の世界でも、チームワークを高めることを目的に「飲みニケーション」が開かれることは、よくある。

 

 たとえば、2009年の第2回WBCで、第1回大会に続いて連覇を果たした侍ジャパン。2月の宮崎合宿で飲み会の音頭を取ったのは、内野手では唯一のメジャーリーガーである岩村明憲だった。

 

 

 

 

「第1回大会は、僕も若くて先輩についていく感じだった。しかし2回目は、内野手ではガッツさん(小笠原道大)以外は全員が年下。“自分がしっかりやらなきゃ”という思いで、飲み会を開いたんです。

 

 この飲み会のお陰で、若い選手たちが、何を考えているのか、よくわかりました。お酒を飲めば性格が出ますからね」

 

 飲み会を通じて、野手の結束が高まった、と岩村は言う。

「WBCは、誰が出たとか出なかった、という大会ではない。先発も控えも関係なく、皆で守っていこう。誰かがケガをしたら、誰かがカバーしよう。それを皆で確認しました」

 

 WBCのように、ある意味一発勝負の国際大会は、チームワークが勝敗を左右する。3回目の世界一を達成した23年大会は、唯一、米国籍を持つラーズ・ヌートバーが、全力疾走でムードメーカーの役割を果たした。

 

 彼が持ち込んだペッパーミル・パフォーマンスは、日本ベンチを大いに盛り上げた。

 

 ミドルネームのタツジをもじってタッちゃんの愛称で親しまれたヌートバー、日本での思い出を聞かれると「焼肉屋でおとなの飲料(酒)を飲むことで、ファミリーの一員になれたこと」と語った。

 

 優勝の陰に「飲みニケーション」あり――。これはテッパンである。

 

<この原稿は2026年1月19日-26日合併号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 

 

facebook icon twitter icon
Back to TOP TOP