【冬季五輪メモリー】支え合い、助け合う“りくりゅう”
2年の時を経て、メダルの色がひとつよくなった。
さる1月29日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)はロシアのフィギュアスケート選手カミラ・ワリエワに2021年12月25日から4年間の資格停止と同日以降に出場した大会の失格処分を科した。
これを受け、国際スケート連盟(ISU)は、22年北京冬季五輪フィギュアスケート団体戦の順位を決定した。
1位・米国65点
2位・日本63点
3位・ロシア五輪委員会(ROC)54点
4位・カナダ53点
5位・中国50点
暫定2位の米国が1位に、同3位の日本が2位に繰り上がった。ROCはワリエワの個人成績が取り消されたが、それでも3位に踏みとどまった。
事の発端はワリエワが出場した21年12月のロシア選手権。ロシア反ドーピング機関(RUSADA)は彼女の検体を採取し、ストックホルムの検査機関に移送した。
RUSADAに「陽性」との報告が上がったのは、団体戦翌日の2月6日。これによりメダル授与式は取り止めになった。
2年も待たされた末の銀メダル。ペアで出場した木原龍一は「2年も前のこと。今は目の前にある自分たちのことに集中したい」と淡々と語った。
五輪でフィギュアスケートの団体戦が行わるようになったのは、14年ソチ大会からだ。
団体戦に出場するためには、個人4種目(男女シングル、ペア、アイスダンス)のうち3種目で五輪出場権を獲得していなければならない。
14年ソチ大会は羽生結弦(男子シングル)を擁しながら5位。18年平昌大会も5位。日本チームがメダルなしに終わったのは、ペアが振るわなかったからだ。
北京で繰り上げながらも銀メダルが獲れたのは、三浦璃来と木原の“りくりゅう”の活躍があったからに他ならない。
2月4日、首都体育館。ショートプログラム(SP)は4位。19年夏からペアを組んでいる2人は、冒頭でツイストリフトを決めると、3回転ジャンプ、スロージャンプなどを次々と成功させ、7ポイントを獲得した。
スピンでは、ややズレが生じたが、しっかりと修正し、息の合ったところを見せた。
フィニッシュで三浦が両手でガッツポーズをつくり、リンクを飛び跳ねたのは、手ごたえの裏返しだった。
圧巻だったのは7日のフリーだ。序盤に華麗なリフト技を披露するとスタンドがどっと沸いた。スロー3回転ルッツを成功させると三浦には笑顔が見られた。続くスロー3回転ループも成功。ほぼノーミスの演技で2位につけ、9ポイントを獲得した。
りくりゅうペアは30センチの身長差(木原が175センチ、三浦が145センチ)に加え、9歳の年齢差(木原が31歳、三浦が22歳)がある。身長も年齢も違う2人が助け合い、支え合う姿に観る者は心を奪われる。
ペアをリードするのは年長の木原だ。北京後のグランプリファイナル(イタリア・トリノ)では演技前、「緊張している」と不安がる三浦に、木原が「今季のゴールではないから、別に失敗していいんだよ」とやさしく諭す場面があった。
ペアとしての円熟期を迎えるのは、これからだ。
(この原稿は『アサヒ芸能』2024年2月29日号に掲載されたものです)