後期に入って、群馬ダイヤモンドペガサスは18試合を終えて7勝10敗1分。まだ3つの借金を抱えている状態ではありますが、前期に比べれば、徐々に打線もよくなってきている傾向にあります。11連敗を喫した前期の成績を受け止め、選手一人一人が練習に励んでいる証拠でしょう。とはいえ、勝利への意識は他球団に比べても決して高いとは言えません。
 チーム打撃成績を見ると、20日現在、打率2割3分4厘はリーグワーストです。また、三振の数もリーグ最多の375個。これは打席での必死さに欠けていることが原因のひとつです。同じ上信越地区の新潟アルビレックスBCや信濃グランセローズの打者は、2ストライクに追いこまれても、結果はどうであれ、そこから必死に粘ろうとする姿勢がうかがえます。ところが、群馬の選手からは「なんとかしよう」という気持ちが新潟や信濃より希薄に感じられ、簡単に三振を取られてしまっているのです。

 また、春先から課題とされてきたチャンスの場面での積極的なバッティングについても、残念ながら解消されたとは言えません。ランナーがいない時にはヒットが出るのですが、チャンスになればなるほど「打てなかったらどうしよう」という気持ちになってしまうのでしょう、バットが出てこなくなってしまうのです。

 打席での消極的な気持ちを吹き飛ばすためにも、まずは甘いが球が来れば、結果を気にせず、初球からどんどん振っていくことです。五十嵐章人監督も「結果の責任は自分がもつから、もっと積極的になってほしい」と言ってくれているわけですから、選手たちには結果ではなく、どうランナーを返すのかという方向に気持ちを持っていってほしいのです。例えば、内野の守備体系を見て、後ろに下がり気味であればゴロを、逆に前進守備であれば外野フライを、というふうに考えられる冷静さが必要です。

 野球への取り組み

 しかし、いくら監督や僕たちコーチがアドバイスをしても、結局のところは気持ちを変えるのも、実際にやるのも選手自身です。せっかく選ばれてこのリーグに入り、好きな野球を思う存分できる環境にあるのですから、選手にはもう少し悔しさを前面に出し、成長のための努力をしてほしいと思います。

 そういう意味で変化が見られるのは、1年目の萩島寿哉(境西高−城西大)です。バッティングが得意な萩島は、真っ直ぐにも振り遅れないキレのあるスイングで、現在はチームトップの打率3割7厘をマークしています。少しでも打線に勢いづけようと、後期からはリードオフマンとしての役割を与えられています。

 そんな萩島の練習の取り組み方や試合の入り方などが変わってきたのです。例えば守備練習の時から本気になって、手を抜かずに打球を追うようになったおかげで、以前よりも打球への反応が速くなりました。さらには試合前の空き時間、一人で黙々と体を動かして準備しているのです。こうした選手が一人でも多く、今後出てくることがチーム力アップにつながると思っています。

 さて、僕自身は指導者として2年目のシーズンとなりましたが、日々勉強の毎日です。特に全ポジションの経験がある五十嵐監督には、内野の守備に対しても僕が気づかないような細かいところへのアドバイスをしていただけるので、学ぶことが多いのです。選手だけでなく、僕自身も成長したシーズンになるように頑張りたいと思います。

青木清隆(あおき・きよたか)プロフィール>:群馬ダイヤモンドペガサスコーチ
1985年8月30日、群馬県出身。前橋育英高、大東文化大を経て、2008年、群馬に入団。チーム一の俊足プレーヤーとして活躍し、08、09年にはベストナイン、09年には盗塁王に輝いた。11年よりコーチに就任し、指導者としての道を歩み始めた。
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