第831回 栗山英樹、殿堂入りの真の価値

facebook icon twitter icon

 野球殿堂博物館は、今年の殿堂入りに、競技者表彰のエキスパート部門で、北海道日本ハムの監督として2016年に日本一を達成、また日本代表監督として23年に侍ジャパンを世界一に導いた栗山英樹を選出したと発表した。

 

 競技者表彰には「プレーヤー表彰」と「エキスパート表彰」の2つがある。

 

 前者が「プロ野球の現役を引退し、5年以上経過した者。その後15年間が選考対象となる」のに対し、後者は「監督、コーチを退任後6ケ月以上経過している者」「21年以上前にプロ野球の現役を引退した者」が対象となる。

 

 選出方法は、前者が「野球報道に関して15年以上の経験を持つ委員が投票」するのに対し、後者は「殿堂入りした者、競技者表彰委員会の幹事と野球報道年数30年以上の経験を持つ委員が投票」と若干異なっている。

 

 殿堂入りには、いずれも「75%以上」の得票が必要となる。

 

 

 

 今回のエキスパート部門の有効投票数は150。「75%以上」ということは、当選ラインは113票。栗山はぎりぎりの114票だった。

 

 殿堂入りに「エキスパート表彰」が加わったのは08年からで、栗山は13人目になる。

 

 過去の表彰者と一線を画すのは、「選手としての実績を残せなかった」(本人)にもかかわらず、指導者として大成した点である。

 

 指導者といっても、ただ預かったチームを日本一や世界一に導いただけではない。多くのOBや評論家が「プロ野球をなめるな」「そんなこと、できるわけがないだろう」と冷たく言い放つ中、大谷翔平という規格外のプレーヤーに“二刀流”のチャンスを与え、「地球上で最も偉大な選手」(ドジャース、デーブ・ロバーツ監督)に押し上げた手腕は絶賛に値する。

 

 栗山との出会いがなければ、大谷のここまでの飛躍は望めなかったはずだ。

 

 栗山は、プロフェッショナルなコーチが少なくなった今、本当の意味でのエキスパート、すなわち「達人」である。

 

<この原稿は2026年2月9日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 

facebook icon twitter icon
Back to TOP TOP