第226回 昇格クラブはプレースピードに慣れるチャンス
2月は百年構想リーグが各所でスタートしました。J1もJ2・J3も白熱した試合が続いています。
たった1回限りの特別大会。90分が終わり、スコアがタイだとPK戦に突入するなど、試験的な側面もたくさんあるため、Jリーグとしても試してみる価値のあるものになっているようです。
ここまででニュースになったのは、J3の福島ユナイテッドFCに所属するカズこと三浦知良がスタメン出場をしました。僕としては、4節第1日目を終えた時点で、鹿島アントラーズがJ1EASTの首位に立っています。東京ヴェルディが3位に食い込んでいるあたりにもうれしさがこみ上げてきます。
一方、おやおや? と思ったのが柏レイソルです。3節終了時は、90分での3連敗。レイソルは、昨年2位と素晴らしい活躍を演じました。今季、両サイドが他クラブへと移籍したことがやや影響しているのでしょう。しかしながら、センターラインの選手たち、そしてリカルド・ロドリゲス監督の戦い方の継続などなどを見ると、そこまで大きな心配はしていません。チームの構成も良いと感じますし、戦い方を変える方が危ない気がします。
百年構想リーグは、昇格や降格はないです。そのため今季、J2からJ1に昇格してきたクラブは、プレースピードに慣れる絶好のチャンスとなるでしょう。僕が解説を務めていた水戸ホーリーホック、ジェフユナイテッド千葉、Ⅴ・ファーレン長崎はいいタイミングで上がったと思います。自分たちが去年の上積みでどこまで戦えるかを2月から6月にかけて試運転できるなんて、またとない機会です。
ハーフシーズンのリーグ戦なので、チームの方向性を試せるし、これで正しいか否かの見極めには、もってこいです。若手を思い切って出来るし、普段とは違うポジションで選手を使うにもチャンスでしょう。
また、第4節1日目を終えて、PK戦は28度も行なわれています。僕は前々から感じていたことの1つですが、選手たちには90分を終えたあとのPK戦をぜひ、体験してほしかった。もちろん、試合中に反則によるPKはあるものの、やっぱり90分後のPKは勝手が違うんです。疲労によって、足の踏み込みも感覚が違うし、精度も若干狂います。その感覚をいきなり日本代表の試合で味わうのは、なかなか重圧がかかる。百年構想リーグでは、それが経験できるのは大きいですね。
ファン・サポーターにとっても、決着がつくのはいいんじゃないでしょうか。それに、男女ともに手を合わせて、応援するクラブの選手に念を送る姿は、絵になります。PK戦独自のドキドキハラハラをぜひ、楽しみましょう。
百年構想リーグは、日本サッカー界に爽やかな新風を吹かせてくれています。
●大野俊三(おおの・しゅんぞう)
<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。24年1月、長く務めた鹿島ハイツスポーツプラザを退職。新たな夢の実現のため、日々奮闘中。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。
*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。