来春のWBCで3連覇を狙う日本代表(侍ジャパン)の監督選びが難航している。
 落合博満、秋山幸二、梨田昌孝、山本浩二、山田久志……。

 監督の実績だけを見れば中日で4度のリーグ優勝と1度の日本一に輝いた落合がナンバーワンだが、本人が「ありません。私がやることは永遠にない」と言っているぐらいだから、候補者から消えたと見ていいだろう。
 健康面でも不安を抱えている。8月中旬から落合は顔面まひに悩まされているのだ。

 落合を除くと、候補者の中で日本一を達成した指揮官は福岡ソフトバンクの秋山しかいない。彼は3月に行なわれた台湾代表との親善試合でも日本代表の指揮を執っている。
 本人は「侍ジャパン(の監督)としてやっていくなら現役(監督)は難しい」と代表監督就任には消極的だが、NPBの加藤良三コミッショナーは監督の人選を「王さんのようなプロフェッショナリズムを持った、そういう人たちの意見を尊重した方がいい」とソフトバンクの王貞治球団会長に“丸投げ”している。

「王さんが秋山に“しんどい仕事だけどやってくれるか”と頼んだ場合、断れるだろうか。最後は秋山に落ちつく可能性が高いと思うよ」(NPB関係者)
 日本代表はWBCで連覇を達成しているが、第1回は王貞治、第2回は原辰徳と、いずれも現役監督で大会に臨んだことが吉と出た。「ならば、3回目も現役監督の秋山で」となるのは自然の流れだろう。

 秋山の対抗馬として取り沙汰されているのが、元広島監督の山本浩二だ。10年間の監督生活で1度のリーグ優勝は実績として寂しいが、弱小球団を率いた点も考慮しなければなるまい。
「球界に敵が少なく、日本ラウンドを主催する読売新聞グループの受けもいい。秋山が拒否した場合、浮上するケースは十分、考えられる」(前出・NPB関係者)

 難航か迷走か? 問われているのは「やりたい監督」よりも「やらせたい監督」を、どう選ぶかである。

<この原稿は2012年10月1日号の『週刊大衆』に掲載されたものです>

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