二宮：　大友さんがケガをして完全に復帰するまでの期間を、竹下さんはどう見ていましたか？
竹下：　私から見ていても五輪に向けての調整が遅れているなとは感じていました。正直、本当に五輪に間に合うのかな、という思いもありましたね。でも、メンバーは12名と限られていますから、他のメンバーのこともありましたし、自分なりにいろいろと考えさせられました。ただ、彼女がコートに戻ってからは、他の選手同様に、とにかくいい部分を引き出してあげたいという気持ちが強かったです。

二宮：　いくらチームメイトとはいえ、他の選手も12名に入ろうと必死でやってきているわけですから、特別扱いはできませんよね。
竹下：　はい。ですから無理な要求も結構、していたと思います。「こうあってほしい」というものがありましたので、厳しい口調で「今のプレーはこうでしょ」と指摘したこともありましたね。（代表メンバーの）12名に選ばれるのであれば、「こうしてもらわないと」という部分がありましたから。ただ、彼女にとっては気持ちに体が追いついていないこともあったでしょうから、すごく苦しかったと思います。

　限られていたコンビ練習

二宮：　大友さんは竹下さんの“愛のムチ”に対してどう感じていましたか？
大友：　私やチームのことを思って、そういうふうに厳しくしてくれていることはわかっていましたので、それに応えたいという気持ちでいっぱいでした。よく周囲からはテンさんとのコンビは「アウンの呼吸」などと言われますが、一朝一夕でできあがったものではありません。昔から打ちこんで、時間をかけてつくりあげてきたものなんです。ですから、ケガをした後は、五輪に向けてテンさんともっと打ち込みたい、コンビを合わせたいと思っていました。

二宮：　ただ、ヒザのことを考えると、無理はできないと？
大友：　はい。「今日だけ良ければいい」というわけじゃありませんでしたから。でも、テンさんは限られた時間の中でしっかりと合わせられるようにと、気遣ってくれながら的確なアドバイスをしてくれました。これまでもそうですが、今回もテンさんには助けてもらいっぱなしでした。

二宮：　今回のメダルは、ご家族も喜ばれたでしょうね。
竹下：　そうですね。特に準々決勝で中国を破って準決勝進出をした時は、大喜びでしたね。

二宮：　大友さんのご両親は？
大友：　もう、泣いていましたね。顔をクシャクシャにして泣いている父が新聞に載っているのを見て、思わず笑ってしまいました（笑）。でも、本当に嬉しかったですよ。

（つづく）

＜竹下佳江（たけした・よしえ）＞
1978年３月18日、福岡県生まれ。小学校3年生からバレーボールを始める。不知火女子高（現・誠修高）３年時にはユース代表に選出され、世界ユース選手権で優勝した。1996年、NECに入団。翌年、全日本代表に初選出される。2000年シドニー五輪最終予選からレギュラーに定着した。2004年アテネ五輪では５位入賞を果たす。08年北京五輪には主将として出場した。10年の世界選手権で銅メダル獲得に貢献。今夏のロンドン五輪では28年ぶりのメダルに輝いた。JTマーヴェラスでも司令塔として活躍し、2010/11Ｖ・プレミアリーグ初優勝に大きく貢献した。今年９月末で退団。

＜大友愛（おおとも・あい）＞
1982年３月24日、宮城県生まれ。中学１年からバレーボールを始める。仙台育英高時代には世界ユース選手権で優勝した。2000年、NECに入団し、１年目のＶリーグにて新人賞を獲得。01年、ワールドグランプリで日本代表デビューを果たした。04年のアテネ五輪に出場し、５位入賞に貢献。08年、２年ぶりに現役復帰し、久光製薬スプリングスに入団した。09年、JTマーヴェラスに入団し、前年、リーグ９位に陥ったチームの復活に大きく貢献した。翌年には全日本代表に復帰。10年世界選手権では32年ぶりのメダルを獲得する。昨年９月のアジア選手権で右ヒザを痛め、同年10月に手術。半年以上のリハビリを経て全日本に復帰し、２大会ぶりの出場となった今夏のロンドン五輪では銅メダルを獲得した。JTマーヴェラスではチーム一のポイントゲッターとして活躍。今年９月末で退団した竹下との速いコンビネーションで2010/11Ｖ・プレミアリーグ初優勝に導いた。

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2012/13Ｖ・プレミアリーグ、女子は11月17日（土）開幕！

　JTマーヴェラスは、黒鷲旗で２連覇を遂げ、いい形で締めくくった昨シーズンの勢いそのままに、石川友紀主将の下、Ｖ・プレミアリーグをはじめとする各大会での優勝を目指します。新たなメンバーも加わり、ユニフォームもリニューアル！　ぜひ会場へ足を運び、選手たちの活躍をご覧ください。チームの最新ニュースや選手にまつわるとっておきの話など、盛りだくさんのコンテンツでお届けする「JTバレーボールチームメールマガジン」も登録受付中！

＜開幕からの試合日程（年内）＞
11月17日（土）16:00頃〜　vsNEC　福井県営体育館
11月18日（日）13:00　vs久光製薬　福井県営体育館
11月24日（土）16:00頃〜　vs東レ　豊橋市総合体育館（愛知）
11月25日（日）13:00〜　vsデンソー　豊橋市総合体育館（愛知）
12月１日（土）15:00頃〜　vs岡山　加古川市立総合体育館（兵庫）
12月２日（日）15:00頃〜　vsパイオニア　神戸総合運動公園体育館（兵庫）
12月８日（土）14:00〜　vsトヨタ車体　滋賀県立体育館
12月９日（日）13:00〜　vsNEC　滋賀県立体育館　
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（構成・斎藤寿子）
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