W杯メンバー発表。長友佑都が“生き残った”理由を考察する

facebook icon twitter icon

 北中米ワールドカップに出場する日本代表メンバー26人が発表された。

 

 一番の注目ポイントは、9日の試合で左足太もも裏を負傷した三笘薫(ブライトン)が入るかどうか。「復帰まで2カ月」などという報道はあったものの、ケガの状況が明らかにされていないまま発表当日を迎えた。今回の大会は32チームから48チームに出場枠が増えたことで日程も長くなった。グループステージを1、2位突破すればベスト32の戦いは6月29日(現地時間)となるため、重傷でなければノックアウトステージからの復帰を見据えて選出する可能性はゼロではないとみる向きもあったからだ。

 

 残念ながら読み上げられたリストに三笘の名前はなかった。森保一監督は「大会期間中に復帰は難しいというメディカルの報告を受けて選出を断念した」と説明。「(三笘を)選べない状況になって、そこで選手をどうするかは最後まで考えた」と選考に影響があったことも口にしている。

 

【日本代表メンバー26人】

 GK早川友基(鹿島アントラーズ)、大迫敬介(サンフレッチェ広島)鈴木彩艶(パルマ)DF長友佑都(FC東京)、谷口彰悟(シントトロイデン)、板倉滉(アヤックス)、渡辺剛(フェイエノールト)、冨安健洋(アヤックス)、伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)、瀬古歩夢(ル・アーヴル)、菅原由勢(ブレーメン)、鈴木淳之介(コペンハーゲン)MF/FW遠藤航(リバプール)、伊東純也(ゲンク)、鎌田大地(クリスタル・パレス)、小川航基(NEC)、前田大然(セルティック)、堂安律(フランクフルト)、上田綺世(フェイエノールト)、田中碧(リーズ)、中村敬斗(スタッド・ランス)、佐野海舟(マインツ)、久保建英(レアル・ソシエダ)、鈴木唯人(フライブルク)、塩貝健人(ヴォルフスブルク)、後藤啓介(シントトロイデン)

 

 大きなサプライズはなかった。キャプテンの遠藤がケガからトレーニングに復帰以降、公式戦での出場がないため(メンバー発表時点)、ボランチをもう1枚増やして前線を一枚削ってくるかとも思ったが、長身FWの小川、後藤を招集している。イングランド戦では終盤、相手の高さに苦労しために空中戦対策、そして攻撃的に行く2トップを想定しての判断だと感じる。キャップ1の塩貝も選ばれたが、スコットランド戦で短い出場ながら伊東のゴールをアシストしただけに驚きはまったくない。流れを変えられるFWのスーパーサブタイプがなかなか定着してこなかったものの、そのピースにハマる形となった。

 

 筆者にとって小さなサプライズとなったのが、日本人最多の5大会連続メンバー入りとなった39歳、長友の選出である。ベスト8止まりに終わった2024年のアジアカップ以降、継続的に招集されてきた。しかし試合では起用されず、ベンチ外が続いた。東アジアE―1選手権中国戦、9月のアメリカ戦に出場して奮闘するも、序列を引き上げるには至っていない。今年3月には右ハムストリング肉離れで離脱し、メンバー発表前最後のゲームとなった今春のイギリス遠征にも参加できなかった。それでも指揮官は彼を必要としたということだ。

 

 会見の席で森保監督はこのように述べている。

「(直近の試合を視察して)インテンシティ高くプレーできていること、チームとして戦う一員としてプレーしてもらえるだけのコンディションであることを確認させてもらいましした。かつ彼は過去4大会の成果も課題もすべて知っている。ワールドカップの舞台では選手たちに落ち着いて全力を出してもらいたいが、本大会になるとプレッシャーは想像以上に大きくなり、経験の浅い選手たちは(メンタルの)コントロールが難しくなるかもしれない。その部分においてもチーム全体に影響を及ぼしてもらえるし、貢献してもらえる」

 

 4大会連続出場の経験値――。

 

 長友は3大会でグループステージを突破しており、ベスト8の壁をリアルに経験している貴重な人材である。

 

 前回のカタールワールドカップ前に、雑誌「Number」の企画においてロシアワールドカップで日本代表を率いた西野朗監督と森保監督の対談を行なった。長友に話題が及び、こんなやり取りがあった。

 

西野「俺は中3日あれば十分だと思っていたんだよな。長友なんて練習が終わってもいつもガンガンに走っていたから、(ラウンド16の)ベルギー戦の前に『お前はまったく疲れないね』と話したら『グループステージでアップアップでした』と返してきた。ワールドカップ1試合の疲労度は自分が考えるよりもかなり上なんだなって。あの長友がそう言うくらいだから」

森保「佑都はいまだに目が合うだけで『絶好調です』って言います(笑)。でも監督をやっているとその一言に勇気づけられます」

 

 この短いやり取りからでも確かに長友の重要性は伝わってくる。

 

 今回、グループステージ突破が目標ではない。最高の景色を目指すなら、ノックアウトステージを勝ち上がっていかなければならない。その肌感覚を持っている長友が長丁場を乗り切るコンディションにおいて、メンタルコントロールにおいてチームに還元できるのは大きいということ。20歳の後藤や21歳の塩貝ら代表経験の浅い、若い選手にとっても良き見本となるはずだ。

 

 ピッチ外の役割だけを想定するならメンバーに選ばれていない。本職を左サイドバックとするのは彼だけであり、4バックのオプションとしても指揮官は想定しているのだろう。

 

 長友は鼻息が荒いくらいでちょうどいい。

 

 39歳の元気印が日本代表にパワーをもたらす存在になると信じている。

facebook icon twitter icon
Back to TOP TOP