東京サントリーサンゴリアス、劇的逆転勝ちで準決勝へ ~リーグワン~

facebook icon twitter icon

 23日、『NTT ジャパンラグビー リーグワン 2025ー26 プレーオフトーナメント 準々決勝』が東京・秩父宮ラグビー場で行なわれ、レギュラーシーズン4位の東京サントリーサンゴリアスが同5位のリコーブラックラムズ東京を40-35で破った。サンゴリアスは30日、秩父宮ラグビー場でレギュラーシーズン1位のコベルコ神戸スティーラーズと対戦する。

 
 スポーツの世界に“たられば”は禁句とされるが、最終盤のブラックラムズの選択は正しかったのかどうかは、選手、スタッフ、ファンにとって、しばらく頭を悩ますことになるのではないか。
 
 リーグワンがスタートして全5シーズンプレーオフに進んでいるサンゴリアスに対し、ブラックラムズは初の大舞台である。その差が顕著に表れたのが序盤の戦いぶりだった。
 
 敵陣に侵入し続けるサンゴリアスに対し、反則がかさむブラックラムズ。標榜するアグレッシブ・アタッキング・ラグビーを体現したサンゴリアスに、今季リーグ最少の反則数を誇ったブラックラムズが後手に回った印象だ。
 
 FWで前に当てて、サイドが空けばワイドに展開する。3分、WTBチェスリン・コルビが右隅に、8分にはWTB尾﨑泰雅が左隅に飛び込んだ。14分にはキックオフカウンターから敵陣でマイボールラインアウトを獲得。最後はPR竹内柊平がフィニッシュした。コルビがコンバージョンキックを1本成功し、17-0とリードを広げた。
 
 ブラックラムズは26分、SHのTJ・ペレナラがトライを挙げ、SO中楠一期がコンバージョンキックで10点差に迫る。コルビのPGで突き放されるが、35分には中楠がPGを決め、再び10点差に。
 
 ところが、38分に中楠がデリバレイト・ノックフォワード(故意のノックフォワード)と判定され、イエローカード。1人少ない状況となり、1トライ1ゴールを奪われ、前半は10ー27で終えた。
 
 流れを変えたいブラックラムズは、後半開始と同時にPRパディー・ライアン、FLファカタヴァアマトというインパクトプレーヤーを投入。推進力とスクラム強化を図る。9分、WTBメイン平のトライで追撃を開始すると、23分にもメインがトライ。流れは一気にブラックラムズに傾く。
 
 直後のキックオフをコルビがダイレクトでタッチライン外に出してしまう。センターラインからのスクラムで再開。ブラックラムズボールで試合は進む。27分にはSHのTJ・ペレナラがトライエリア左に飛び込んだ。31分、HO大西将史がトライエリア左中間に飛び込んだ。中楠のコンバージョンキックは外れたが、32-33の1点差に迫った。
 
 ここでコルビがまたしてもキックオフボールをタッチラインの外へ。プレーオフの緊迫感は、南アフリカ代表の名BKの足すらも狂わせるのか。38分、相手のオフサイドで獲得したペナルティーでショットを選択。約40mの距離のPGを中楠が決め、ついに逆転に成功した。
 
 残り3分、時間を使うブラックラムズ。敵陣10m入ったところで、途中出場のPR森川由起乙が痛恨のオフサイドを犯した。試合時間残り40秒。ここでブラックラムズはショットを選択した。PGならショットクロック45秒を使えば、時間は確実に削れる。中楠がボールをセットする間、ホーンが鳴った。あとはキックが入れば勝利が確定する。
 

「その瞬間、勝てるチャンスが数パーセントきたかな、というふうに正直、思いました。リコーさんの判断をリスペクトしていますし、その選択は僕らには関係ないことです。ただ、僕らができるのはキックが外れた場合に備えることでした」とは、既にピッチを退いていたSH流大。CTB中村亮土も「これはラッキー、チャンスだと思いました」と語っていた。

 
 中楠の右足から放たれた楕円球はポスト右に逸れた。トライエリア内で待ち構えていたFB松島幸太朗がキャッチした。サンゴリアスの反撃開始。まずは松島が自陣5mライン付近までゲインする。慌てていたのはブラックラムズだったように映った。反則でサンゴリアスに陣地回復のチャンスを与えてしまう。
 
 CTB中野将伍が相手を引きずりながら前進し、22mライン内に侵入した。サンゴリアスの圧力にブラックラムズはたまらず反則。古瀬健樹レフリーは右手をサンゴリアス側に向け、アドバンデージであることを示した。正面の位置ということもあり、決定的な反則と言ってもいい。サンゴリアスはその後も攻め続け、最後は森川がトライエリアに飛び込んだ。コルビのコンバージョンキックも決まり、試合は40-35、サンゴリアスの劇的逆転勝利で幕を閉じた。
 

 サンゴリアスの小野晃征HCは劇的勝利に「今日はチームのスピリッツが見えた試合。『プライド』『リスペクト』『ネバーギブアップ』という3つの気持ちを背負った15人、そしてメンバー入りした選手が、チーム全58人の想いを背負ってプレーしてくれた」と選手たちを称えた。ゲームキャプテンを務めた流も「正直、負けてしまうんじゃないかと思った瞬間もありました。ただグラウンドにいた15人が『ネバーギブアップ」を体現してくれた。本当にラグビーは何が起こるかわからない」と振り返った。

 

(文・写真/杉浦泰介)

facebook icon twitter icon
Back to TOP TOP