「共に走るチームメイト」 大畑大介✕二宮清純(前編)

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二宮清純: お久しぶりです。大畑さんはこの2月にアスリートジャパン株式会社の代表取締役に就任しました。高校(東海大仰星)の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治さん、元プロテニスプレーヤーの杉山愛さんもメンバーに名を連ねています。

 事業内容を拝見していて、目を引いたのが「サブスクリプション型スポンサーシップ」というビジネスモデルです。大畑さん、上原さん、杉山さんらの写真素材、動画素材などを広告に使用することで、その企業のブランディングや採用、CSR活動をサポートしようというものです。パンフレットには<ただの広告モデルではなく「共に走るチームメイト」です>との一文がありました。

 まずは、こうした事業に取り組むようになったきっかけから教えてください。

大畑大介: 実は3人とも同級生なんです。僕らは、これまでスポーツを通じて、いろんなチャンスを手に入れてきた。海外でプレーする機会も多かった。それによって、社会に対して影響力も多少は持てるようになってきた。

 そこで、もう一歩踏み込んで、次世代に貢献することはできないものかと。我々と一緒にやりたいという企業があれば、情熱を伝えることで、一緒に発展していきたい。それによって企業価値が高まれば、我々もやり甲斐を感じることができる。だからこそ、「共に走るチームメイト」なのです。

 

二宮: 東南アジアでの就労支援、人材育成にも力を入れているそうですね。

大畑: 国内の労働力人口が減っている中、外国の人々の力は、ますます必要になってきています。我々には日本語学校支援を通じて、日本の未来づくりに貢献するというミッションもある。現地の日本語学校の制服には「ATHLETE JAPAN」のロゴが入っています。

 

二宮: 手応えはありますか?

大畑: まだ動き始めたばかりですから、手応えを実感するのは、これからだと思います。やっていくうちに、いろいろな課題も見つかってくると思いますが、それはトライ&エラーでやっていきたい。

 

二宮: ラグビーと同じですね。

大畑: そうですね(笑)。実際、ゲームが始まると、予想していたこととは違うことが起きる。それでも、自分ひとりじゃ何もできない。隣にいる仲間を信じなければ、目的は達成されない。

 ラグビーは、ひとりひとりに背番号がついていてポジションも役割も違う。その意味では多様性を体現するスポーツです。自分の役割は何か、使命は何か、居場所はどこか。それらを確認しながら、チームの価値を共有し、目的に向かって前進する。チームが目的を達成し、自分の居場所が見つかった時の喜びって、本当に大きいんですよ。

 

平尾誠二さんは太陽

二宮: その意味では、ラグビーは社会の縮図ですね。

大畑: そのことを、僕は誰よりも実感しています。ただ足が速かっただけの子が、ポジションを与えられ、自分の居場所はここだ、と実感した時の喜びは、今でも忘れられません。

 

二宮: そんな大畑さんには、メンターと呼べる人物がいます。“ミスターラグビー”として、今も名を留める平尾誠二さんです。

大畑: 平尾さんについてはよく聞かれますが、一言でいえば「太陽」ですね。僕を導いてくれた人です。

 大学3年の時、学生ワールドカップのセレクションに呼ばれました。僕は体も小さかったので、他の人よりチャンスは少ないと思っていた。勝負するなら一発やな、と思い、ポジションをセンターからウィングに変更してもらったんです。そこが一番、自分の強みを出せるポジションでしたから。そうしたら、それがうまくハマった。

 それを見ていた当時の日本代表監督の平尾さんは「こいつ、総合力は低いけど、なんかひとつ光るものがある」と感じたというんです。それから、僕を日本代表に選んでくれてずっと使い続けてくれた。その意味で、平尾さんには、成長する機会を与えてもらったと同時に、たくさんの刺激を頂きました。

 

(写真:北海道産のじゃがいもを手に取る大畑氏 ©大畑大介商店)

二宮: 大畑さんは「大畑大介商店」という会社も経営されています。全国の生産者を巡って探し出したこだわりの食材を、産地直送のオンラインショップで販売しています。実は、これも平尾さんに関係しているそうですね。

大畑: そうなんです。僕は海外遠征でパフォーマンスが十分、発揮できないことがあった。偏食というほどではないんですが、海外の食事が合わなかったんです。それで平尾さんに「オマエ、パフォーマンス安定せんな」と、よく叱られた。

 とはいえ、苦手なものを無理に食べようとしても、食欲は出てきません。じゃあ、どんな食材なら食べられるんだろう、と考えていた時、フッと頭に浮かんだのがジャガイモだったんです。僕はジャガイモが大好きで、これなら日本にも外国にもある。腹いっぱい食べると、達成感と満足感が出てくる。それによってゲームでのパフォーマンスも上がっていった。

 

二宮: ジャガイモに救われたと(笑)。

大畑: まさに、そうなんです。ジャガイモへの恩返し(笑)。それが産地直送のオンラインショップをつくるきっかけにもなったんです。

 

(後編につづく)

 

大畑大介(おおはた・だいすけ)プロフィール>

1975年、大阪府大阪市出身。元ラグビー日本代表選手。アスリートジャパン株式会社代表取締役。日本代表として58試合出場、国際大会69トライは現在も世界記録。2011年 現役引退。2016年 ワールドラグビー殿堂入り。ラグビーアンバサダーとして、スポーツ振興、地域活性化、各種講演など積極的に活動中。

 

二宮清純(にのみや・せいじゅん)プロフィール>

1960年、愛媛県出身。明治大学大学院博士後期課程修了・博士(学術)。株式会社スポーツコミュニケーションズ代表取締役。広島大学特別招聘教授。大正大学地域構想研究所客員教授。経済産業省「地域×スポーツクラブ産業研究会」委員。認定NPO法人健康都市活動支援機構理事。『スポーツ名勝負物語』(講談社現代新書)『勝者の思考法』(PHP新書)『プロ野球“衝撃の昭和史”』(文春新書)『変われない組織は亡びる』(河野太郎議員との共著・祥伝社新書)『歩を「と金」に変える人材活用術』(羽生善治氏との共著・廣済堂出版)、『森保一の決める技法』(幻冬舎新書)など著者多数。

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サステナブルホールディングス株式会社

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サステナブルホールディングス株式会社とのタイアップコーナーです。 競技を離れた今、アスリートたちの胸には何が残り、何を次の世代へつなげていくのか。「バトンプロジェクト」は、当HP編集長・二宮清純がアスリートや有識者との対話を通じて、あるべき未来を展望するトークセッションです。

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