第842回 佐々木麟太郎「和製大砲」の挑戦
例年以上に注目された2026年のMLBドラフト。スタンフォード大の佐々木麟太郎は、マーリンズから8巡目で指名された。これは全体の235位だった。
当初、佐々木の順位は「7巡目から11巡目」と言われていたから、ほぼ予想通りだった。
佐々木の長距離砲としての資質は、MLBのスカウトからも高く評価されていた。ただし、足が遅く、ポジションが一塁かDHに限られる。そこがネックと見なされていた。
この原稿を書いている時点でマーリンズ入りの情報が飛び込んできた。ルーキーリーグからスタートし、まずは木製バットに慣れる必要がある。
これは日本も同じだが、プロに入れば指名順位は関係ない。契約金をはじめとする待遇こそ異なるが、それも最初だけだ。最終的にモノを言うのは実力である。
1986年に南海でプレーしたダニー・グッドウィンという選手を覚えているだろうか。1年間だけ在籍し、打率2割3分1厘、8本塁打、26打点。成績を見ればわかるように、凡庸な外野手だった。
だが、このグッドウィンには、聞いたらあっと驚く輝かしい勲章があった。なんとMLBドラフトで、71年、75年と2度1位指名を受けているのだ。しかも2度とも全体1位。学生時代は強肩強打の捕手。レッズの黄金時代を支えた、あの「ジョニー・ベンチの再来」とまで言われた。
ところが、MLBでは鳴かず飛ばず。エンゼルスなど3球団でプレーし、わずか13本塁打。持ち前の強肩は見る影もなく、捕手としての出場は1試合もなかった。
その一方で、MLBにはドジャース時代、野茂英雄の相棒として知られたマイク・ピアザのように62巡目、全体1389位から這い上がり、主に捕手として通算427本塁打を記録したサクセスストーリーの持ち主もいる。
非凡なパワーを誇る「和製大砲」は、アメリカン・ドリームを掴み取れるのか。
<この原稿は2026年8月10日号『週刊大衆』に掲載されたものです>
