J2リーグ2013シーズン開幕戦の前日である3月2日(土)、スタジアム周辺施設の清掃活動を行うため、愛媛FCサポーター有志がニンジニアスタジアムに集合した。 
 この活動は、既に御馴染みとなっている「愛媛ゴール裏net」にて取り組んでいるボランティア活動の一環で、シーズン開幕前に1年間お世話になるスタジアムに対し、感謝の気持ちを込めて愛媛県総合運動公園内の清掃作業(ゴミ拾いなど)を行っているものである。
 この日も右手にトング(火バサミ)、左手にゴミ袋を持ちながら運動公園内の駐車場やスタジアムの周りをゴミ拾いしながら廻った。昨年の11月に行ったスタジアム周辺の清掃作業では大量のゴミ放置が見つかり、残念な思いであったが、今回は比較的少ないゴミの量で、施設利用者のマナーも少しずつ向上していることが伺えた。

 今季のホームゲームでは、「スマイルパス(県内の小学生招待プロジェクト)」企画が導入されたり、ゴール裏スタンドがリニューアルされたこともあり、新規の来場者も多く訪れることが予想できる。そんな人々に向けて、美しく気持ちの良いスタジアムをアピールしていけたら、観戦のリピートにも繋がるのではないかと期待している。
 
 また、この日は開幕戦のスタジアム外イベントで実施される「餅まき」のため、足場やぐらの準備(搬入と組み立て作業)も、清掃作業と並行して行った。
 今回の餅まきイベントは、愛媛FC事務局と愛媛ゴール裏netの共同企画で、スタジアム正面入口前の噴水前広場に足場やぐらを設置し、その上からゲストに餅まきを行ってもらおうという試みである。
 
 餅まきは本来、住宅の上棟式や神事などに集まった人々へ餅をまく行事である。今回はゴール裏スタンドの改修工事が完了し、愛媛FCとしても新シーズンの開幕戦ということで、そのお祝いと、あらゆる災いを払うため、そして何より来場者に楽しんでもらうため、このタイミングで実施することになったのだ。

 今回、その餅まきで使用される足場やぐらを、私たち愛媛FCサポーターズクラブ「ラランジャ・トルシーダ」で準備することになった。2月頭から段取りや各業者との交渉も進め、事前の準備を行ってきた。その結果、足場材のレンタル費はこちらが支払うことになったが、建設業者との繋がりもあり、運搬と設置作業は無料奉仕してもらった。
 
 苦労した甲斐もあり、開幕戦前日の足場材の搬入や設置はスムーズに作業が進んだ。最後に、組み上がった足場やぐらの周囲へ、紅白幕ではなく、愛媛ゴール裏net」にて準備したオレンジ色の帯幕を巻き付け、ロープで固定していく。サポーターの協力も得ながら、約3時間の作業で餅まき用の足場やぐらが完成した。
 
 翌3日(日)は、待ちに待った開幕戦当日である。試合前、噴水前広場では、予定通り、餅まきイベントが盛大に実施された。足場やぐらの上には愛媛FCの選手や年男&年女のサポーターが上がり、豪快に餅をまき始めた。

 餅まきは、第1部と第2部に分けて実施されたが、2回とも大盛況で、足場やぐらの周りには老若男女500名以上の人々が群がり、イベントを楽しんでいた。愛媛県の県民性なのか、とにかく餅まきは、みんな大好きみたいである。
 
 イベント終了後、肝心の開幕試合も愛媛FCがモンテディオ山形相手に3−1で快勝した。終始、すべてがうまく運んだようにも思えた1日であった。足場やぐらを準備した私たちにとっては、「イベントによるケガ人が出なかったこと」が本当に良かった。それが何よりうれしく思い、安堵した夕暮れでもあった。
 
 今回の餅まきを通じて、改めて大勢の人々を巻き込むスタジアムイベントの重要性を、集客の観点からも実感できた。観客動員増へ今後も新たなイベントにチャレンジしていきたいとも思っている。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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