9月に入り、リーグ戦下位クラブのカターレ富山やガイナーレ鳥取に引き分け、また順位が近い横浜FCにも敗れるなど調子が上がらない愛媛FC。このままではズルズルと後退し、J2残留争いの渦中に飲み込まれかねない状況だ。 残り少なくなった今季のリーグ戦で「降格」の雑音を払拭するためにも、今こそ1年間、培ってきたものをすべて発揮すべき時である。
 9月29日(日)、J2第35節となる愛媛FC対ガンバ大阪の一戦が、アウェイの万博記念競技場にて行われた。
 第34節終了時点でリーグ戦首位の強敵・ガンバ大阪に立ち向かうため、敵地へと乗り込む愛媛FCの選手たちの後押しをしようと、200名近い愛媛サポーターが万博記念競技場(大阪府吹田市)へと集結した。
 
 開場前、ゴール裏スタンドのアウェイ側入場口の前には、愛媛サポーターが長蛇の列をつくり、スタンバイした。時刻が午後4時を迎え、ようやく開場となり、私たちは持参した横断幕(サポーターバナー)や個人幕(選手応援幕)などを搬入し、スタンド内各所に設置してまわった。そして、大小さまざまな応援グッズで、アウェイ席をオレンジ色に染めていく。
 
 選手たちもサポーターも戦闘準備が整った午後6時、愛媛FCのキックオフで試合がスタート。立ち上がり、MF東浩史選手のファーストシュートが飛び出すなど敵陣へとボールを進める場面は見られるが、それ以降は相手に攻め込まれる苦しい時間帯が続く。

 フォーメーション上は3バックだが、ほとんどの時間帯、最終ラインを5人でコントロールしなければならない状態だ。それでも、事前にガンバ大阪の攻撃力を想定した練習も積んでいたのだろう。5バックでのラインコントロールは息が合っており、意思統一ができているように感じる。
 
 その後、長時間、自陣に押し込まれながらも、何とか耐え忍んだ愛媛イレブン。前半は0−0で終了した。
 
 後半立ち上がり、敵陣内ペナルティアークまでボールを持ち込み、MF加藤大選手が鋭いシュートを放ったり、愛媛FCは徐々に攻撃のリズムをつかみ始める。
 
 後半22分、敵陣内の左寄り中央にて、東選手が相手選手に倒され、ファウルの判定。これにより、愛媛FCがフリーキックのチャンスを得た。キッカーは加藤選手。敵ゴール前に向けて絶妙のアーリークロスを供給する。

 このボールを捉えたのは DFアライール選手。敵DFの背後からゴール前へと抜け出し、ダイビング。そして次の瞬間、ヘディングシュートを放った。ボールは敵GKの脇をすり抜け、見事ゴールイン! ゴール裏スタンドに陣取る愛媛サポーターから大歓声が沸き起こる!

 スタッフとハイタッチを繰り返し、喜びを表現するアライール選手! チームメイトからは手荒な祝福を受ける。
「スウィーギン スウィンギン愛媛、フォーエヴァー!」
 サポーターによる歓喜のチャントが鳴り止まない!
 
 その後、試合は進み、終盤戦へと突入。ガンバ自慢の攻撃陣が奮起し、再三にわたりピンチを迎える。しかし、守護神・秋元陽太選手を中心に全員守備で粘り強く危機を乗り越え、ついにはタイムアップ! 最終スコア1−0で愛媛FCが見事な完封勝利を収め、ガンバ大阪を首位の座から引きずり降ろした。
 
 試合終了後、ピッチを去るガンバ大阪の選手たちに向けて、サポーターからはブーイングが飛んでいた。一方のアウェイ席では、愛媛サポーターによる「勝利の歌」が唄われる中、感動のあまり号泣する者や、誰彼構わず抱き合って喜びを分かち合う者も続出し、何ともうれしい混乱が巻き起こっていた。

 そして、ゴール裏スタンド前まで挨拶に来てくれた愛媛FCの選手たちと一緒に歓喜のラインダンスを踊り、長い1日を締めくくった。
 
 今回の勝利について、各方面からは「金星」や「ジャイアント・キリング」などと評されることが多い。だが、これはガンバ大阪との試合に向けて、監督・スタッフや選手たちが戦術を練り、練習を重ね、入念な準備を進めてきた成果であり、日頃の鍛練や努力の賜物でもあると思う。

 加えて、サポーターが敵地に駆け付け、90分間、全力で選手たちを後押しし続けた結果でもある。だから、決して「まぐれ」ではないと思えるのだ。
 
 愛媛を愛する皆によって結集した力が、「勝利」と言うかたちにまでたどり着いたものだと感じられる。本当の意味で、チームスローガンである「一丸」を体現したような試合であったとも言えるだろう。

<お知らせ>
 
 来る12月15日(日)に「愛媛FCサポーターズミーティング2013」を開催することになりました。 
 
【愛媛FCサポーターズミーティング2013】
 
会場:松山市総合コミュニティセンター企画展示ホール2階
主催:愛媛FCサポーターズミーティング実行委員会(愛媛ゴール裏net、愛媛サポートクラブ、EHIMEオーレ!)
共催:株式会社愛媛FC
開催日:12月15日(日)
開場:12時50分
開始:13時
終了:16時45分
入場:無料ですが、事前の参加登録が必要です。
 参加ご希望の方は、下記の要領でメールにてお申し込み下さい。
 宛先=ehime.goal.ura@gmail.com
 件名=サポミ参加
 本文=参加者全員のお名前をご記入下さい。
 クラブやゴール裏へのご意見やご質問等がございましたら、ぜひお書き添え下さい。全てのご質問には、お答えできない場合がありますが、可能な限り、回答させて頂きます。なお会場の都合により、申し込みが100名に達した段階で申込を締め切らせていただきますので、どうかご了承ください。
 
 今回は、愛媛FC事務局スタッフとともに、亀井文雄社長と佐伯真道GMにも、ご参加いただけることになりました。また、サッカー日本代表の応援などでおなじみのちょんまげ隊・隊長のツンさんも来場される予定です。
 
 2013年シーズンを振り返り、課題を抽出し、来年のサポーター活動へと活かしていきたいと思っております。愛媛FCや愛媛FCのサポーター活動に、ご興味があるという方は、ぜひこの機会に、ご参加下さい。お待ちしております。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
 1967年5月14日、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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