2013年、参戦2年目となるプレナスチャレンジリーグ2013を10勝10敗2引き分け、16チーム中8位という、まずまずの成績で終えた愛媛FCレディース。9月末から行われた東京国体(第68回国民体育大会)では、愛媛県チームとして参加。 東京都や福岡県、鹿児島県チームを破り、堂々の3位入賞。素晴らしい成績を収めた。
(写真:皇后杯1回戦会場の三木総合防災公園陸上競技場)
 そして11月末からは、四国地域代表チームとして、第35回皇后杯全日本女子サッカー選手権大会に出場。前年は1回戦敗退と悔しい結果に終わったが、今回こそは3回戦まで勝ち上がって、なでしこリーグのクラブと対戦したい。
 
 11月24日(日)、皇后杯1回戦となる愛媛FCレディース対福岡J・アンクラスの一戦が、三木総合防災公園陸上競技場(兵庫県)にて行われた。
 2013年のチャレンジリーグにて、1敗1引き分けと愛媛にとって分が悪い対戦相手。試合序盤、その福岡にボールをキープされ、劣勢に立たされる。前半22分には、早くも先制ゴールを奪われてしまった。
  
 それでも粘り強く、相手のボールへとアプローチを仕掛ける愛媛イレブン。前半終了間際にチャンスが訪れる。44分、MF阿久根真奈選手がパスを受け、相手DFラインの裏に抜け出す。たまらず敵GKがペナルティエリアから飛び出し、手を使って阿久根選手を止めてしまった。これは明らかに反則行為。GKはレッドカードで退場となった。

 これにより、愛媛がフリーキックのチャンスを得る。キッカーはキャプテンのMF西川早弓選手。ボールをセットし、少し助走を取り、右足を鋭く振り抜いた! ボールは弧を描きながら敵GKが伸ばした手の先をすり抜け、見事ゴールイン! 前半終了間際に、愛媛FCレディースが同点に追いついた!
「オッオー! オオオオオオオオオ、ニシガワサユミー!」
 西川選手を称えるコールが鳴り止まない!
 
 このビューティフルゴールで、俄然勢いづく愛媛。逆に相手はGK交代により、フィールドプレーヤーが1人少なくなったこともあり、後半は立ち上がりから敵陣内に愛媛が押し込むパワープレーのような展開となった。

 後半29分に阿久根選手が逆転ゴールを決めると、後半40分には再び西川選手が得点。終了間際にはオウンゴールもあり、最終スコア4−1で1回戦を突破した。
 
 
 続く12月1日(日)、皇后杯2回戦となる愛媛FCレディース対日本体育大学の一戦が、香川県営サッカー・ラグビー場にて行われた。前半は一進一退の攻防が続くも、両者決め手はなく、0−0で終了。
 
 後半、サイドが変わり、ボールキープに手こずる愛媛。15分、敵によるロングフィードで自陣ペナルティエリアまでボールを運ばれる。その直後、ゴール前でのクリアボールを相手に拾われ、失点を喫してしまった。今回も敵に先制を許し、苦しい展開。それでも攻撃陣が奮起し、弾かれながらも何度もバイタルエリアへとボールを進める。
 
 その努力が報われる時がやってきた。後半39分、阿久根選手からのボールを繋ぎ、最後はMF山城見友希選手が見事ゴールを奪った! ついに愛媛が同点に追いついたのだ!
 
 そして後半42分、敵陣内の深い位置でルーズボールを拾った西川選手がゴール前にクロスボールを供給。これを捉えたのはDF串山早希選手だ。ゴール前に駆け込み、ヘディングシュート! ボールは、敵GKの脇を抜け、ゴールイン! 大歓声が沸き起こるゴール裏スタンド! 抱き合って喜ぶ愛媛サポーター!
「スウィーギン スウィンギン愛媛、フォーエヴァー!」
 歓喜のチャントがスタジアムに響き渡る!
 
 最終スコア2−1の劇的な逆転勝利で2回戦を突破した。これにより、念願の3回戦進出が決定! 対戦相手は、なでしこリーグ2013覇者であり、日本女子サッカー最強クラブのINAC神戸レオネッサだ。
 
 
 12月11日(水)、皇后杯3回戦となる愛媛FCレディース対INAC神戸レオネッサの一戦が、味の素フィールド西が丘(東京都)にて行われた。
 平日の昼間にも関わらず、40名近くの愛媛サポーターがスタジアムのゴール裏に集結した。身近な愛媛の選手たちが、なでしこJAPAN(日本代表)のMF澤穂希選手やFW川澄奈穂美選手たちと相対するかと思うと興奮が止まらない。
(写真:味の素フィールド西が丘に伊豫魂の横断幕)
 
 試合が始まると早々に、INAC神戸にボールを支配され、長時間、自陣に押し込まれてしまう。想像はしていたが、やはり一方的な展開となった。そんな中、GK上野友紀子選手を中心に愛媛DF陣もよく踏ん張った。しかし、前半14分にDF近賀ゆかり選手、前半19分には、MFチ・ソンヨン選手に得点を奪われてしまった。
 
 それでも相手のボールに必死に喰らいつき、ロングフィードなどで敵陣へとボールを進める。だが、それも単発に終わってしまう。2点のビハインドで迎えた後半立ち上がり、愛媛は積極的な攻撃展開で敵陣へと攻め込み、シュートを放つも、クロスバーに弾かれ、惜しくも得点することはできなかった。
 
 その後、敵ゴールに向けて前掛かりになり、手薄となった愛媛陣内のスペースを相手に突かれ、次々に失点。アディショナルタイムには、川澄選手に10点目のゴールを決められ、万事休す。最終スコア0−10で完敗を喫した。
 
 敗れはしたが、愛媛の選手たちは、皇后杯の前回覇者でもあるINAC神戸と対戦できる3回戦進出を、この大会でのひとつの目標と定め、頑張ってきた。それを達成できたことは、今後の自信にも繋がるのではないだろうか。
(写真:日本代表サポーターちょんまげ隊のツンさん(中央)も愛媛を応援)
 
 また、日本トップレベルの選手たちの力量を直接肌で体感できたことは、選手個々にとって大きな収穫となったのではないかと感じる。目指すべきレベルに到達するには、まだまだ時間が必要だが、その道程を歩む上で、自分たちに何が足りないのか、何が必要なのかを改めて感じ取ることができたと思う。
 
 2013年シーズン、リーグ戦や、さまざまな大会において、多くの経験を積み、濃厚で有意義な一年を過ごすことができた愛媛FCレディース。今シーズンは飛躍的な成長が期待できるだろう。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
 1967年5月14日、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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