二宮: 徳永さんは石垣島での代表合宿も参加しています。アテネ五輪直前にはギリシャの暑さ対策も兼ねて真夏の石垣島でキャンプを張りました。環境はどうでしたか。
徳永: キャンプ中は雨の日が多かったのですが、ピッチはとても良かったです。サッカーはどんな天候でも基本は外で練習をやりますから、雨が降ってもピッチ状態が悪くならなかったのはありがたかったですね。室内で筋力トレーニングができる施設もあって、いい環境でした。

二宮: 本島と石垣島では、また雰囲気も違うでしょう。
徳永: 練習はハードでも、ホテルの部屋が広くてリゾート気分を味わえました。見晴らしが良くて、海もきれいなので泳ぎに行きたくなったくらいです。やはり海の近くというのは気持ちがいいですね。

 守備が細かいザックジャパン

二宮: 徳永さんはアテネ五輪に加え、2年前のロンドン五輪でもオーバーエイジ枠で大舞台を経験しています。やはり代表戦はクラブの試合とは、全く違った緊張感があるのでは?
徳永: 代表の試合はサッカーファンだけでなく、国民全体が注目しています。ましてや五輪はみんなが見ているので、日の丸をつける重みと責任を感じました。

二宮: ロンドン五輪では予選を通じてチームができあがりつつある中を助っ人として入るかたちになりました。チームメイトのほとんどが年下ですから、チームに溶け込む上で大変な面もあったのではないでしょうか。
徳永: 正直、最初は若手の中に入っていけるか不安でしたね。でも、チームの雰囲気がとても良くて、みんなが受け入れてくれたので、意外とすんなりと溶け込めました。チームメイトの権ちゃん(GK権田修一)や、代表のキャンプなどで顔を合わせていた選手が何人がいたのも大きかったです。

二宮: ロンドン五輪ではメダルこそ逃したものの、ベスト4入りはメキシコ五輪以来の快挙でした。
徳永: スペインに勝ってグループリーグを突破してチームに勢いはあったのですが、準決勝で対戦したメキシコは強かったです。大会前の親善試合では勝ちましたが、簡単にはいかない相手だと思っていました。どの選手もハードワークができて、さぼらないからスキがない。その上で技術があるので、強いチームの条件を備えていたと感じました。

二宮: 五輪も2度出れば、次は必然的にW杯に出たいという気持ちが強くなるでしょう?
徳永: W杯のピッチに立つのは小さい頃からの夢。もちろん、出たい気持ちはあります。ただ、同じポジションにはヨーロッパで活躍している選手も多い。決して現状は甘くはないでしょう。ただ、ハードルが高いからこそ、何とか乗り越えてやろうという意欲も湧いてきます。

二宮: 確かにサイドバックは長友佑都選手(インテル)、内田篤人選手(シャルケ)、酒井宏樹選手(ハノーファー)、酒井高徳選手(シュトゥットガルト)と海外でプレーしている選手もいて層が厚い。
徳永: 世界のトップクラスと戦っている経験は大きいと思います。しかも、きちんと結果を残している。僕は日本で一生懸命やることで何とかアピールしたいです。

二宮: 昨年の東アジア杯では、ザックジャパンの一員として優勝に貢献しました。アルベルト・ザッケローニ監督は守備に関して決め事が細かいそうですね。
徳永: 体の向きやポジショニングについて、メートルどころかセンチ単位で指示を受けます。逆サイドにいる時も、見ていないようで実はしっかり見ている。ピッチの上で細かい部分まで、しっかり徹底されますね。

 たくさん勝利の美酒を

二宮: W杯出場は小さい頃からの夢とのことですが、サッカーを始めた頃からプロを目指していたわけですね。
徳永: そういう目標を持ってサッカーはやっていましたね。僕が小学生の頃はカズ(三浦知良、横浜FC)さんが大好きで、テレビでずっと見ていました。カズダンスを真似したり、スパイクもカズさんのモデルを買いましたね。

二宮: 勝負事ですから試合には勝つこともあれば負けることもあります。悔しい敗戦の後はどうやって切り替えるのですか。
徳永: 家に帰って子どもと遊んで気持ちを切り替えます。その意味では家族の存在は僕にとって大きいですね。でも、悔しくて眠れない時もたまにあって、夜遅くまでテレビを見ているとスポーツニュースで、また負けたシーンが流れる(苦笑)。それでまた悔しくなるんです。まぁ、そのうち寝てしまうので朝になったら、もう次の試合に気持ちは向かっています。

二宮: 逆に会心の勝利の後は、自分へのご褒美があるのでしょうか。
徳永: いい試合をした後は、ビールを飲みますね。シーズン中は休みの前しかお酒は口にしませんから、その一杯がとてもおいしいです。

二宮: 今季はたくさん勝利の美酒が味わえるといいですね。いよいよシーズンの開幕です。FC東京は3月1日の開幕戦はアウェーで柏レイソルと対戦し、ホーム開幕戦は8日、味の素スタジアムにヴァンフォーレ甲府を迎えます。改めて今年の目標を。
徳永: まずはW杯に向け、Jリーグでいいプレーをして結果を出したい。ラストチャンスにかけたいですね。クラブでは国内タイトルをとってないのはJリーグだけなので、繰り返しになりますが、リーグ戦で優勝を目指します。

二宮: その準備は沖縄で充分できたと?
徳永: そうですね。いい準備ができたので、今年1年、僕自身もベストパフォーマンスを見せられるように頑張ります!

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<徳永悠平(とくなが・ゆうへい)プロフィール>
 1983年9月25日、長崎県生まれ。ポジションはDF。長崎・国見高時代は2年時にインターハイ、国体、選手権の3冠達成。3年時も選手権連覇とユース選手権優勝を果たす。早大進学後は4年時に主将としてチームを牽引し、9年ぶりの1部復帰に導く。大学在学中から特別指定選手としてFC東京でプレーし、06年にプロ契約。左右のサイドバック、ボランチを務め、04年、09年にナビスコ杯制覇、11年には天皇杯優勝を経験する。各年代別の代表にも選ばれており、09年に初のA代表入り。12年にはオーバーエイジ枠でロンドン五輪に出場する日本代表に選出され、ベスト4入りに貢献した。13年は東アジア杯で代表に招集されて初優勝。180センチ、77キロ。背番号2。


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(構成:石田洋之)
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