5月12日(月)、J2第13節となる愛媛FC対コンサドーレ札幌の一戦が、アウェイ(札幌ドーム)にて行われた。この日、愛媛県松山市では、愛媛FCを応援するため、パブリックビューイング(PV)のイベントが開催された。
 クラブが主催したPVイベントの会場は、いよてつ高島屋(松山市湊町)の9階にあるローズホール。松山市の中心街ということもあって、普段、ニンジニアスタジアムまで足を運びにくい方でも気軽に来場し、参加できる。「新規サポーターの獲得にも繋がるのでは」と期待が膨らむ。
 
 午後6時の開場と同時に、大勢のサポーターやファンが詰めかけた。200席程度用意されていた座席も埋まり、立ち見のお客さんが出るほどの盛況ぶり。おそらくは、仕事帰りに足を運んでくれたのだろうと思われるスーツ姿の男性や女性も見受けられ、試合開始前から会場は熱気に包まれていた。
 
 平日開催だった点や、当日、松山市内では大雨が降り続いていた天候もあり、当初は集まりが悪いのではと思っていたが、「アウェイまでは行けないが、皆と一緒に応援したい!」という方や、「無料のイベントということで、覗いてみた。」という方もいらして、うれしい誤算となった。
  
 今回のイベントでは、試合観戦だけではなく、愛媛FC事務局のスタッフや、学生サッカー観戦サークル「オレンジーナ」の皆さんが、さまざまな楽しい催しを用意してくれた。まずは、試合のトータルスコアと得点者を予想する「トトカルチョ」。当選者には、選手のサイン入り2014年公式試合球がプレゼントされる。また、サイン入り色紙が当たるジャンケン大会なども行われた。

「オレンジーナ」からは独自の取り組みとして、会場内で随時、ペイント風タトゥシールを顔や腕などに貼り付けるサービスを無料で提供してくれた。また、パソコンのスカイプ機能を利用し、「オレンジーナ」と親交があるコンサドーレサポーターの方が、試合直前の札幌ドーム内の様子をリポートしてくれたりと、今までのPVイベントでは行われなかったような、たくさんの催しも実施され、充実した時間を過ごすことができた。
 
 この日のPVイベントでも、スタジアムの応援の雰囲気を再現するため、私たち愛媛FCサポーターズクラブ「ラランジャ トルシーダ」が、お手伝いすることになった。午後6時50分、愛媛大学放送研究会所属の学生アナウンサーが、スタジアムDJばりにカッコよくスターティングメンバーを発表! それに合わせて、私も太鼓とコールで応えた。
 
 午後6時55分、会場内の大型スクリーンに試合会場が映し出される。
「エヒーメ! エフシー!!(ドドンド・ドン・ドン)」 私のコールリードに合わせ、会場に詰め掛けた皆さんも気持ち良く呼応してくれた。

 試合がスタートし、チャントの頻度が徐々に上がると、会場内のボルテージも上がり始める。
 前半20分、FW河原和寿選手からのセンタリングをMF藤直也選手がヘディングシュート! ボールは、敵GKの伸ばした手の先をすり抜け、見事ゴールイン! PVイベント会場に大歓声が沸き起こる!

 誰彼構わず、ハイタッチを繰り返し、サポーターたちは喜びを爆発させる! 「スウィーギン スウィンギン愛媛 フォーエヴァー!」のチャントで盛り上がった後も、「さあ行けイキイキ ふじなーおやー!」と藤選手を称えるコールが、鳴り止まない!
 
 先制ゴールで主導権を握った愛媛だったが、後半に入ると相手の猛反撃に苦しめられる。それでも、PVイベント会場のサポーターは選手たちを信じ、心をひとつにして声援を送り続けた。

 距離にして約1300km離れている札幌へ向けて発する応援チャントに乗せた思いが届いたのか、アディショナルタイムを無事消化し、無失点のまま試合終了。最終スコア1−0で、愛媛が6試合ぶりに勝利を手にした。

 終了のホイッスルと同時に、再び大歓声に包まれるPVイベント会場! 最大の盛り上がりを見せる中、皆で「勝利の歌」を唄い、最後は肩を組み、歓喜のラインダンスを踊った。会場内は笑顔であふれ、抱き合って喜ぶ姿も見られた。
 
 アウェイの地ながら、気持ちのこもった素晴らしい試合を魅せてくれた選手たちには本当に感謝したい。そして、試合結果とともに、今回のPVイベントも「成功であった」と言えるのではないかと思う。新たな企画にも取り組んで内容も充実していたし、お客さんの集まりも良く、盛り上がってくれたからだ。

 ただ、イベントの効果の有無が証明されるのは、今後のホームゲームでの集客数次第となるだろう。忙しい中、さまざまな人が協力し合い、実現させたPVイベントだけに、これを機にスタジアムへ足を運んでくれる人が増えてくれることを切に願いたい。
 
【ご報告】

 愛媛FCのオフィシャルサイトや各種報道などで、ご存知の方も多いと思いますが、第14節(愛媛FC対カマタマーレ讃岐)の当日、ニンジニアスタジアムにて一部の愛媛FCサポーターによるマナー違反の行為があり、両クラブのサポーターの皆様に、ご迷惑とご心配をお掛けしてしまいました。
 
 カマタマーレ讃岐ならびに愛媛FCサポーターの皆様へは、心からお詫び申し上げます。
  
 私たちとは異なるサポーターグループ(活動趣旨や内容にも違いがあります)とはいえ、ともに愛媛FCを応援してきた仲間であることに違いはありません。もっと彼らと密にコミュニケーションをとっていたなら、さまざまな事柄について事前確認できていたなら、今回の件も未然に防げていたのではないかと悔やまれ、その点におきましては深く反省しております。
  
 5月23日(金)、クラブ事務局より、この件についての処分の発表がありました。
 彼らには、この処分を厳粛に受け止めてもらい、2度と今回のようなことを起こさないよう肝に銘じ、サポーターとしても、人としても成長して、またスタジアムに戻って来てほしいと感じております。

 彼らがスタジアムに戻って来た際には、たくさんのご意見をいただきたいと思いますし、彼らの声にも耳を傾けていただきたいとも思っております。
 
 今回の件に関し、愛媛FCの選手たちやチームスタッフの方々には、全く罪はございません。それだけに私達の故郷「愛媛」の看板を背負って、必死に戦い続ける選手たちへの感謝の気持ちの表れでもある「応援」や「声援」を、ここで絶やしてはいけないと感じております。

 愛媛FCサポーターやファンの皆様には、これからも選手たちに熱い応援と温かい声援を送ってあげていただきたいと思います。
 
 この度は、お騒がせして申し訳ありませんでした。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
 1967年5月14日、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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