6月11日(水)、2014愛媛県サッカー選手権大会(第94回天皇杯愛媛県代表決定戦)の準決勝となる愛媛FCユース対愛媛大学サッカー部の一戦がニンジニアスタジアムにて行われた。
 今回、愛媛FCユースは、第2種委員長・委員会推薦により、この日行われる準決勝からの出場となった。平日のナイターということもあり、観客は100名程度。愛媛FCサポーターも数は少なかったが、試合が始まると、両チームによって熱戦が繰り広げられ、会場は予想を上回る盛り上がりをみせた。
(写真:準決勝を前にウォーミングアップを行うユースの選手たち)
 照明塔に灯がともる中、時刻は午後7時を廻り、試合がスタート。前半24分に失点し、相手に先制を許した愛媛FCユース。1点ビハインドのまま、後半も、いよいよ終盤へと差しかかった、その時、彼らが意地を見せてくれたのだ。

 敵陣左サイドから、FW八木智紀選手が中央のMF忽那喬司選手へとパスを通す。パスを受け、忽那選手はドリブルで敵陣深く切り込み、右サイドスペースへとボールを送る。
そこへ走り込んで来たのは、MF白石直人選手。ボールを足元に収め、トラップで相手DFをかわしつつ、豪快に左足を振り抜いた!

 ペナルティエリア外から放たれたミドルシュートは、美しい弧を描きながらジャンプした敵GKの手の先をすり抜け、見事ゴールイン! 歓声が沸き起こるメインスタンド! チームメイトと抱き合い、喜びを爆発させる白石選手! 彼のビューティフルゴールで、愛媛FCユースが土壇場で同点に追いつき、試合は、延長戦へと突入する。
 
 続く延長戦でも決着はつかず、PK戦へとなだれこむ。5人中、4人がゴールを決めた愛媛FCユースに対し、愛媛大学はひとりがゴールマウスを外し、また、もうひとりがGK田坂洋貴選手によってセービングされ、勝負あり。PK戦を4−3のスコアで制した愛媛FCユースが決勝へと駒を進めた。

 故障者が相次ぎ、充分なチーム状態とは言えない愛媛FCユースだったが、最後まで諦めることなく、全員で走り続けて、もぎ取った執念の勝利であった。試合後、サポーターの前に挨拶に来てくれた時、一部の選手の目には涙が浮かんでいた。その表情からも、チームの苦しさがうかがえた。最後は、選手とサポーター皆で一緒にラインダンスを踊り、勝利の喜びを分かち合った。
 
 
 6月29日(日)、愛媛県サッカー選手権大会の決勝戦となる愛媛FCユース対FC今治の一戦がニンジニアスタジアムにて行われた。前日(6月28日)、プリンスリーグ四国の公式リーグ戦(第8節)を戦っている愛媛FCユースチーム。休む間もない強行スケジュールでの決勝となった。

 しかも相手は、県内社会人チーム屈指の強豪クラブFC今治。技術的にも体格、体力的にも格上と言えるチームとの対戦である。試合前に不安がよぎるが、それでも持ち前の若さを発揮し、この炎天下、強敵を相手に最後まで走り勝って欲しい。
 
 真夏を思わせる太陽が照りつける中、時刻は午後1時4分を廻り、FC今治のキックオフで試合がスタートした。前半10分、早くも歓喜の瞬間が訪れる。自陣右サイドのFW清川流石選手が、センターサークルに陣取るMF石本翔也選手へとロビングのパスを送る。

 このボールをヘッドで前線へとフィードする石本選手。敵DFラインへと仕掛ける八木選手が、このボールを足元に収め、敵陣中央を駆け上がる石本選手へとリターン。石本選手は左サイドスペースへと走り込む忽那選手を確認し、スルーパスを通す。パスを受けた忽那選手が、ペナルティアークまでボールを持ち込み、再び石本選手へとラストパスを供給。そのまま石本選手がドリブルでペナルティエリアへと侵入し、敵DFをかわしつつ、左足を豪快に振り抜いた!

 弾丸シュートは、敵GKの伸ばした右手の先をすり抜け、見事ゴールイン! 大歓声が沸き起こる!
「スウィーギン スウィンギン愛媛 フォーエヴァー!」
 歓喜の歌がスタジアムに木霊する! 右腕を突き上げ、喜びを表現する石本選手! 愛媛FCユースが、格上チームを相手に先制点を奪取した!
 
 しかし、このゴールで目が覚めたのか、FC今治が怒涛の反撃を見せる。前半27分、FC今治の赤井秀一選手(元愛媛FC)に自陣ペナルティエリアまでボールを持ち込まれ、ゴールを奪われてしまった。これで、同点。前半33分には、セットプレーから高橋康平選手に押し込まれ、2点目を献上。逆転を許してしまう。
 
 時間の経過と共に、容赦なく照りつける日射しが、愛媛FCユースイレブンのスタミナを奪っていく。さらには、連戦の疲れが相まって、守備の対応も後れを取るシーンが目立ち始める。後半20分には、石原卓選手に追加点を決められ、厳しい状況へと追い込まれてしまった。
 
 それでも、カウンター攻撃などから必死の反撃を見せるが、時間は過ぎ去り、ついにタイムアップ。最終スコア1−3で愛媛FCユースが敗戦を喫した。
 
 天皇杯出場の切符を手に入れるべく、体力が限界に近づきつつも最後まで執念を見せてくれた愛媛FCユースチーム。優勝は逃したものの、強敵を相手に臆することなく立ち向かった姿は素晴らしく、彼らの健闘を称えたい。今後、行われるプリンスリーグや、予選を勝ち抜き、四国地域代表として出場する「adidas CUP2014 日本クラブユースサッカー選手権(U−18)大会」などでの活躍にも期待したいと思う。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
 1967年5月14日、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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