6日、埼玉スタジアムで2010年南アフリカW杯アジア3次予選が行なわれ、サッカー日本代表はタイ代表と対戦。 1―1の同点で迎えた後半、FW大久保嘉人のゴールで勝ち越し、さらにはDF中澤佑二、途中出場したFW巻誠一郎もゴールを決め、日本は4−1でW杯予選の初戦を白星で飾った。

◇2月6日、埼玉スタジアム
日本代表 4−1 タイ代表
【得点】
[日] 遠藤保仁(21分)、大久保嘉人(54分)、中澤佑二(66分)、巻誠一郎(91分)
[タ]  ティーラテープ・ウィノータイ(22分)
 雪が降りしきる中、新生・岡田ジャパンのW杯アジア予選初戦が始まった。終始、日本のペースで試合が進む中、前半21分、ゴールほぼ真正面でFW大久保が倒され、FKを得た。これをMF遠藤保仁が直接ゴール左隅に決め、先制した。
 ところが、喜んだのも束の間、1分後にはタイに同点ゴールを決められ、再び試合は振り出しに戻った。

 1−1のまま迎えた後半、日本がはゴールラッシュに沸く。まずは後半9分、MF山瀬功治が左サイドから切り込み、MF中村憲剛へパス。これをカットされるも、相手のクリアボールがMF中村憲の足に当たってはね返り、それをゴール前に詰めていたFW大久保が落ち着いて押し込み、日本は勝ち越しに成功した。

 さらに1人少なくなったタイのゴールを果敢に攻め込む日本。後半22分、FKからMF中村憲がゴール前に入れたボールをDF中澤がヘディングシュート。これがゴール右に決まり、その差を2点と広げた。

 そして試合終了間際、CKを得た日本はMF遠藤がファーサイドに上げたボールをFW巻が頭で押し込み、ダメ押しとなる4点目を奪った。後半、タイに1点も許さなかった日本は、4−1と快勝。幸先よく初戦を白星で飾った岡田ジャパン、次回は3月26日にアウェーの地でバーレーンと対戦する。

<4−1で快勝も攻守に課題>

 内容より結果――岡田監督と選手の意気込みが伝わってくるようなゲームだった。岡田体制が発足してわずか2ヶ月。準備期間の少なさを乗り越え、負けが許されない試合で結果を残した。

 虎の子のセットプレーから3ゴールを叩き出した。ベールに包まれた非公開練習では、入念なセットプレーの確認が行われていた。
「セットプレーの練習はかなりやりました。W杯予選はかなり厳しいものと頭の中でわかっていた。セットプレーがポイントだと思っていた」(岡田監督)
「選手同士の動きの確認をやりましたね。相手は身長が低い。それに、動きで相手をひきつけて、ここが空くというのは教えてもらった。その言葉どおり、得点できたと思う」(DF駒野友一)

 1点目のFKはMF遠藤の個人技だったが、3点目はタイの低身長という弱点を突いたものだった。MF中村憲の柔らかなボールがニアサイドに送られると、187センチのDF中澤が頭一つ飛び出し、右隅へヘッドを流し込む。4点目は、その中澤が二アサイドで相手DFを引きつけ、空いたファーサイドにFW巻が飛びこんだ。「4点目はパターン通りだった」とは岡田監督。綿密なタイ対策が功を奏し、幸先のよいスタートにつながった。

 その一方、攻守の両面で課題が浮かび上がった。支配率63.5%、タイの6倍の19本のシュートを放ちながらも、流れの中での得点は1。ゴール前にブロックをつくる相手に手を焼いた。
「セットプレーで点を獲れたのは喜ばないといけない。しかし、セットプレー以外で獲れなかったというのも反省しなければいけない」(岡田監督)
 
 前半は前線に飛び出す選手が少なかった。ハーフタイムに「相手が引いて守り、動くスペースがないから動かないでは相手の思うツボ。スペースがなくても、自分たちが動いてスペースをつくろうと」と檄が飛び、後半はMF遠藤やMF中村憲が前線でボールに絡むシーンが増えた。それでも、指揮官が「ラッキーだった」と話すFW大久保の1点のみ。後半19分にタイに退場者が出て、数的有利になってからも流れの中でゴールを奪うことはできなかった。

 守備面では、先制したわずか1分後に同点弾を許したことが反省点だろう。22分、MF鈴木がチェックにいくと、DFラインの前にぽっかりとスペースが空く。そこに入り込んだフリーのFWウィノータイが無回転のドライブシュートでGK川口能活の頭上を破った。
 岡田監督は「先制点を取れればと思ったが、甘かった。W杯予選というか公式戦が厳しいということは頭でわかっていたが……」と厳しい表情で話し、中村憲は「啓太と話をしたが、あの場面で啓太がプレスにいくのはしょうがないので、誰がカバーするのかはっきりさせないといけない」と語った。

 とはいえ、初戦を乗り切った勝ち点3を手にしたことは大きい。
「まだまだ課題が残る。でも、ここですごく楽な勝ち方をするよりはよかった。これからやらなくてはいけないことを選手は感じてくれただろうし、自分自身もそれを明確にできたと思う。予選だから、とにかく1試合1試合勝っていかなくてはいけない。(2月中旬から)東アジア選手権があるが、次のバーレーン戦に向けて、対策を考えたい」(岡田監督)
 バーレーンは6日の初戦でアウェーながらオマーンを下し、勝ち点3を獲得している。そのバーレーンを相手に敵地に乗り込む第2戦は3次予選を占うゲームとなるだろう。

<日本代表出場メンバー>
GK
川口能活
DF
中澤佑二
阿部勇樹
駒野友一
内田篤人
MF
鈴木啓太
中村憲剛
遠藤保仁
山瀬功治
⇒巻誠一郎(68分)
FW
高原直泰
⇒播戸竜二(81分)
大久保嘉人
⇒羽生直剛(87分)