10月11日(土)、J2第36節となる愛媛FC対横浜FCの一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 J2リーグ戦にて(第35節終了時点)19位と下位に低迷している愛媛。降格圏に落ちかねない状況から早く脱出するためにも、ホームゲームで勝利を得て本来の調子を取り戻したい。
 午後7時を過ぎ、試合が開始されると、立ち上がりから両サイドスペースでボールを繋ぎ、敵陣内へと積極的に攻め込む姿勢を見せる。
 前半14分、DF村上佑介選手が敵陣内の右サイドでボールを受けた。ワントラップでボールの方向を変え、敵ゴール前に向けて、低い弾道のシュート性のクロスを供給。このボールに反応したのが、MF堀米勇輝選手。ペナルティエリアへと駆け込み、半身の構えから身体をひねりながらヘディングシュートを放った!

 ボールは、敵GKが伸ばした両手の先をすり抜け、見事ゴールイン! 大歓声に包まれるスタジアム! ハイタッチを繰り返し、チームメイトと喜びを分かち合う堀米選手!
「ほりごめゆーうきー! ほりごめゆーうきー! ほりごめゆーうきー! オーレー!」
 サポーターたちが、堀米選手を称える歌を大合唱!
 
 スコア1−0のまま、後半へと突入。愛媛が攻めあぐねていると後半17分、自陣ゴール前での混戦からゴールを決められ、同点に追いつかれてしまった。
 
 それでも、素早いカウンター攻撃などで反撃のきっかけを見出す愛媛イレブン。後半25分、自陣ゴール前からのクリアボールを右サイドに陣取る堀米選手が拾い、センターライン付近にてボールをキープ。敵陣中央へと駆け上がるFW河原和寿選手に向けて、絶妙のスルーパスを通す。

 そのまま、ペナルティエリアまでドリブルで持ち込んだ河原選手。敵DFを引き付けつつ、フリーのFW西田剛選手へとラストパスを供給する。狙いを定め、ダイレクトに右足を振り抜き、シュートを放つ西田選手! 矢のようなボールは、敵GKの頭上をかすめ、ゴールマウスへと突き刺さった!

 再び大歓声が沸き起こるスタジアム! ゴール裏スタンドのサポーターに駆け寄り、ガッツポーズで喜びを表現する西田選手!
「ゴールにしだごう! にーしだごう! ゴーゴーにしだごう!」
 西田選手を称えるチャントが鳴り止まない。
 
 結局、このゴールが決勝点となり、最終スコア2−1で愛媛が5試合ぶりの勝利を手にした。
 
 
 続いて10月19日(日)、J2第37節となる愛媛FC対カマタマーレ讃岐の一戦が、アウェイ(香川県立丸亀競技場)で行われた。 
 午後4時を過ぎ、試合がスタート。立ち上がり、讃岐に攻め込まれるシーンが見られたが、前半10分を過ぎる頃にはボールの支配率を高め、攻撃への形を組み立て始める。

 バイタルエリアまでボールを進め、敵陣内にてフリーキックやコーナーキックのチャンスを得るものの、得点には結び付かず、スコア0−0のまま前半戦が終了した。
 
 後半に入ると、ミドルレンジからのシュートなど、より積極的な攻撃展開を見せる愛媛イレブン。後半16分、敵陣中央で愛媛の攻撃陣がパスを繋ぐ。MF原川力選手が、敵陣内の左サイドスペースへと開いていたDF三原向平選手へとボールを送る。パスを受けた三原選手が、ワントラップを挟みつつ、敵ゴール前へとアーリークロスを供給する。

 このボールを捉えたのは、河原選手。ペナルティーアークからゴール前へと走り込み、大きくジャンプ! ヘディングシュートを放った! ボールは、敵GKの伸ばした左手の先をすり抜け、ゴールイン!

 大歓声に包まれるアウェイ側の愛媛スタンド! サポーター席前に駆け込み、両手を突き上げ、喜びを表現する河原選手! 歓喜のサポーターは、「かわはらゴール! かわゴール! バモかわはら!」と河原選手のチャントを唄い続ける。
 
 しかし、後半38分。相手にPKを決められ、同点とされてしまった。

 土壇場で追いつかれた愛媛だが、諦めてはいなかった。後半アディショナルタイム、相手のクリアボールを拾い、敵陣中央でボールをキープする。敵陣内の左サイドスペースに陣取るMF藤直也選手へとパスが送られる。ボールを足元に収めた藤選手が、そのままドリブルで、左サイドを駆け上がり、敵DFをかわしつつ、ゴール前にセンタリングを供給。

 このボールに素早く反応したのは、西田選手だ。相手DFラインの間に身体を入れながらジャンプし、ヘディングシュートを放った! ボールはゴールマウス右隅へと吸い込まれ、見事ゴールイン! 昇り調子の西田選手が、試合終了間際に劇的な勝ち越し弾を決めた!
 
 大歓声が沸き起こるアウェイ側スタンド! チームメイトと抱き合い、喜びを爆発させる西田選手!
「スウィーギン スウィンギン愛媛 フォーエヴァー!」
 スタジアムに歓喜のチャントが鳴り響く。
 
 結局、この西田選手による2試合連続の決勝ゴールで、愛媛がスコア2−1で勝利を収めた。
 
 2連勝により、愛媛はJ2での順位が17位(第37節終了時点)と、2つポジションを上げた。それでも現状、今シーズンの戦績に対して、不満のある方も多いことだろう。掲げられた目標順位に到達できていないし、勝率も良いとは言えない。そんな批判めいた言葉を耳にする中、それでも選手たちは手を抜かず、日々、努力を重ね、全力で頑張っている。チームとしての成長も感じられる。

 特に攻撃面でのレベルアップは如実で、得点力は確実に向上している。今シーズン、残り5試合(第37節終了時)の時点で、既に昨季の総ゴール数を上回る得点を奪っている。さまざまな攻撃のパターンが築かれていて、客観的に見ていても愛媛の試合は面白いと思われるのだ。それだけに、「勝ち負け」だけで判断されるのは非常に残念に感じてしまう。
 
 愛媛を愛する皆さんに、お願いしたい。特に愛媛FCの現状について不満を持たれている方々に、お願いしたいのだ。私たちとともに感動を味わい、郷土への誇りを実感したいのであれば、ぜひ、愛媛の試合が行われるスタジアムへ足を運んでいただきたいのである。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
 1967年5月14日、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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