ニュージーランドの先住民族マオリ族の血を引く選手たちで構成されるラグビーチームを「マオリ・オールブラックス」と呼ぶ。世界6、7番目の実力を誇るといわれている。世界ランキング11位(試合前)の日本代表からすれば、間違いなく格上の相手だ。
 このマオリ・オールブラックスをあと一歩のところまで追いつめたのだからエディー・ジャパンの進境は著しい。来年のイングランドW杯、そして5年後の日本W杯が楽しみになってきた。


 11月8日に行なわれた試合を簡単に振り返ろう。圧巻だったのは後半7分、相手陣ゴール前でのスクラム。マオリを完全に圧倒し、ペナルティトライを勝ち取った。

 海外の強豪をスクラムで圧倒するなんて、ちょっと前まで想像もできなかった。HCのエディー・ジョーンズも「今のジャパンのセットピースは世界に通用する」と胸を張った。土壇場で引っくり返され、18対20で敗れたものの、確実に次につながる敗戦だったと言えよう。

 エディーとは、いかなる人物か。ラグビーに興味のない読者にも、ぜひ知っておいてもらいたい。2003年に母国オーストラリアを率いてW杯準優勝。07年には南アフリカのテクニカルアドバイザーとして、W杯2度目の戴冠に貢献している。

 日本ではサントリーのGM兼監督として10−11シーズンからチームを日本選手権連覇に導いた。
 母親は日系人、夫人は群馬県出身の日本人。こう書くと、より親近感が増すのではないか。

 小よく大を制す――。
 これが日本を強化するにあたってのエディーのコンセプトだ。
 たとえばスクラムの組み方。これまでは味方の太ももを巻き込むようにして組んでいたが、今はシャツやパンツをしっかりと持つ。この方が力が逃げないのだという。

 弱者が強者を倒すために最も必要なのは、こうした細部でのイノベーションだ。「エディー革命」は着々と進行している。

<この原稿は2014年12月1日号『週刊大衆』に掲載されたものです>


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