北京五輪体操男子個人総合決勝で、内村航平(日体大)が91.975点で銀メダルを獲得した。84年ロサンゼルス五輪金メダルの具志堅幸司以来、日本勢として24年ぶりにメダルを獲得した。日本のエース冨田洋之(セントラルスポーツ)はつり輪でのミスが響き、惜しくもメダルに届かず、91.750点で4位だった。
 安定した演技を見せた楊威(中国)が94.575点で金メダルを獲得した。
 内村は最初の種目のゆかで15.825の高得点をマークし2位につけたが、続くあん馬で、2度落下するミスで13.275点、トータル29.100点の22位と後退。つり輪までの3種目を終えた時点で23位だったが、得意の跳馬で16.300の高得点をあげ、13位に浮上。

 5種目目の平行棒で15・975点をあげ、最終種目の鉄棒を残し3位と0.075点差の4位につけた内村は、「平行棒が終わった時点で4位につけているのがわかって、(鉄棒は)着地勝負だなと思った」と最終種目の鉄棒へ。
 安定した演技でミスなくまとめた内村は、最後の着地もピタリと決め、ガッツポーズ。15.400点をあげ、トータル91・975点でこの時点で首位に立つ。

 最終演技者の中国のエース・楊威が、大きなミスなく安定した演技でまとめ、トータル94.575点で金メダルを獲得。

 あん馬の落下が響いた内村は金メダルこそ逃したが、初出場の五輪で、師でもある84年ロサンゼルス五輪金メダルの具志堅幸司以来、日本勢として24年ぶりのメダルとなる銀メダルを獲得した。

「あん馬で落ちて気分的に下がってて、それで銀メダルなのですごく嬉しい。失敗してから『いつもどおり』と自分に言い聞かせて、最後の着地までうまくできた」
 試合後のインタビューではにかんだ笑顔を見せた内村は、師・具志堅監督に継ぐメダル獲得にも「色が金じゃないので、継げてない。4年後はこれが金になるように頑張りたいです」と力強く語った。

 日本のエース・冨田は、最初のゆかで15.100点、続くあん馬で15.425点と大きなミスなくまとめ、7位につけたが、3種目目のつり輪の最後に大きくバランスを崩しながら落下し、13.850点。21位と後退したが、跳馬を無難にまとめ、4種目終了時点で17位。

 続く平行棒で16.000、最終種目の鉄棒で15.675点と高得点をあげた冨田はトータル91・750点で4位となった。
 試合後のインタビューで冨田は「(大きなミスは)つり輪だけ。落下したのは初めてだが、結果はどうしようもない」と悔しさをみじませたが、つり輪の後も気持ちを切らさずに演技をしてメダルまであと一歩のところまで盛り返したことについては「この大会で1番評価できるところ。スポーツをしてきてよかった」と振り返った。肩の状態が心配される冨田だが、残る種目別(あん馬、鉄棒)決勝での奮起に期待したい。