野球の準決勝が行われ、日本は韓国に2−6で敗れた。2−2と同点の8回、巨人に在籍する李承に勝ち越し2ランを浴びるなど、4失点。攻撃が中盤以降、得点を奪えなかったのも痛かった。日本は悲願の金メダルを逃し、23日の3位決定戦にまわることが決まった。
◇準決勝
 岩瀬、痛恨の被弾
日本代表    2 = 101000000
韓国代表    6 = 00010014×
勝利投手 金廣鉉
敗戦投手 岩瀬
セーブ   尹
本塁打   (韓)李承2ラン

 初回、日本は韓国先発・金廣鉉の立ち上がりを突く。1番・西岡剛がセカンドの右を襲う内野安打で出塁。2塁手の悪送球を誘って2塁へ進む(記録は一塁手の李承が西岡と激突したため、走塁妨害)。2番・荒木雅博が確実に送って、1死3塁。3番・青木宣親が四球で歩いて、打席には4番・新井貴浩が入った。
 ところが新井は外のストレートに泳がされ、ピッチャーゴロ。最悪のゲッツーかと思われたが、韓国内野陣の連携が悪く、併殺を免れる。日本にとってはラッキーな形で1点を先行した。

 日本は3回も相手のミスに乗じて追加点を奪う。2死2塁のチャンスから、3番・青木の打席で、韓国がバッテリーミス。2塁走者の西岡が労せず、3塁に進む。この好機に青木が外に逃げるスライダーを流し打つタイムリー。貴重な2点目をモノにした。

 だが4回、日本にもミスが出る。先頭の李容圭がレフト前に運んだ打球を守っていたG.G.佐藤が後逸。続く金賢洙がヒットで続き、無死で1、3塁に走者を背負う。迎えるバッターは不調の4番・李承。ここは注文どおり、セカンドゴロで併殺打に打ち取ったものの、1点を返された。

 追加点の欲しい日本だったが、中盤以降は走者を出しつつも、韓国先発の金廣鉉が踏ん張り、チャンスを拡大することができない。日本は先発の杉内俊哉から4回途中より川上憲伸、6回・成瀬善久、7回・藤川球児とマウンドを託し、1点リードの緊迫した展開で試合は終盤に突入した。

 しかし、万全を期した星野ジャパン勝利の方程式が狂う。7回、藤川が1死から李大浩を四球で歩かせると、高永民が藤川の剛速球をストレートを詰まりながらレフトへ。得点圏に走者が進み、2死後、代打は李晋暎。カウントは2−2。勝負球はフォークだった。これがストライクゾーンに入る。失投を相手は逃してはくれない。打球は1、2塁間を破るタイムリー。日本は同点に追いつかれてしまう。

 そして、狂い始めた歯車をもう元に戻すことはできなかった。8回、この回からマウンドに上がった岩瀬仁紀に韓国打線が襲い掛かる。まず先頭の李容圭が外へ逃げるスライダーを流し打って出塁。1死後、李承への5球目が明暗を分けた。
 投じたのはインコースのストレート。これを韓国の主砲が鋭く振りぬく。舞い上がった白球はグングン伸び、無情にもライトスタンドへ。シドニー五輪の3位決定戦、勝ち越し打を打たれた悪夢が蘇る一発。日本は2点を勝ち越される。

 勢いに乗る韓国打線は5番の金東柱がヒット。星野監督は急遽、涌井をマウンドに送り込んだものの、明らかにボールにキレがない。鄭根宇が放ったセンターへの大飛球こそ青木がジャンピングキャッチしたが、さらに高永民の打球がレフトを襲う。大きな当たりを背走してレフトのG.G.佐藤が落下点へ。最小失点にとどめて9回の攻撃につなげられるかと思われた。

 ところが――。4回にもミスをしているG.G.佐藤は動きが固い。グラブを大事に出しすぎて、ボールを落球してしまう。痛すぎる守備のミス。その瞬間、金メダルへの夢もポロリと日本の中からこぼれ落ちた。結局、その後もタイムリーを浴び、1イニングで4点を失った星野ジャパンにもう奇跡を起こす余力はなかった。

 日本は夜に行われるキューバ−米国戦の敗者と銅メダルをかけて、3位決定戦を戦う。