ついに2010年南アフリカW杯への最後の戦いが始まる。6日に敵地バーレーン、マナマで行われる初戦は日本代表にとってまさに“負けられない戦い”となる。

 敵地でスタートを切るのは、ホームアンドアウェー方式で行われるようになったアジア最終予選で初めての経験だ。1998年フランス大会、2006年ドイツ大会ともに初戦はホームで戦い、2戦とも勝っている。初のアウェーでのスタートで、しかも3次予選で敗れているバーレーンが相手とあって、日本は初戦からヤマ場を迎えることになった。
 日本のフォーメーションは4−2−3−1(4−5−1)。岡田武史監督は今年5月からこのシステムを採用している。試合ごとにメンバーは入れ替わっているが、システムの変更はなかった。6日の試合もこのシステムで戦うことになる。

 DFでは中澤佑二(横浜FM)、田中マルクス闘莉王(浦和)が不動だ。8月のウルグアイ戦では、欠場した闘莉王の代わりに高木和道(清水)がディフェンスラインに入った。しかし、3点を奪われる苦しい試合展開で、その穴は埋まらなかった。強さと高さを兼ね備えた闘莉王の存在は、日本が勝ち点を手にするために必要なものだと改めて認識させられた。

 このセンターバックの2人には守備面だけでなく、セットプレーでの得点力にも期待がかかる。3次予選で日本がセットプレーからあげたゴールは6つ、総得点の半分はリスタートからの得点だ。その中でも、中澤が3得点、闘莉王は1得点とDFの2名で4得点を挙げており、核となるFWがいない日本にとって重要な得点源になっている。セットプレーからの強烈なヘディングシュートが日本の勝利を呼び込んでくれるだろう。

 MFでは中村俊輔(セルティック)と遠藤保仁(G大阪)の先発が濃厚だ。しかし、中村俊は右足のケガ、遠藤はウィルス感染症からの病み上がりとコンディションが万全とはいえない。中盤を構成する他の選手の動きが日本の浮沈を握りそうだ。

 ここで注目したいのは、岡田ジャパン初出場が期待される稲本潤一(フランクフルト)だ。昨年から岡田監督は招集を熱望していたが、ケガや所属チームの事情でチームへの合流は叶わなかった。しかし、ここへきて待望の代表復帰。フィジカルの強さや攻撃参加に定評があり、多くの国際試合を経験している稲本は、アウェー戦に臨むチームにとって頼もしい存在だ。中村俊、遠藤とも多く試合をこなしており、連係面の問題はない。中盤の底から存在感ある動きでゲームをコントロールできれば、日本の目指すポゼッションサッカーが展開できるだろう。

 FW陣では玉田圭司(名古屋)の出場が有力だ。先日のリーグ戦でも2得点挙げており、調子は上向き。ワントップもしくはトップ下のポジションに入るが、大黒将志(東京V)や巻誠一郎(千葉)、田中達也(浦和)など様々なタイプのFWとの組み合わせが考えられるため、それぞれの動きに対応できるかがポイントだ。決定力不足が解決しない現状を打破するためにも、玉田の左足でゴールを奪ってもらいたい。

 対するバーレーン代表は、初戦のホームゲームで勝ち点3を狙いにくるだろう。今年3月に行われた3次予選では日本を1−0で下しているだけに、その再現を目論んでいるはずだ。8月に行われたUAEとの親善試合では敵地で3−2と下し、チームは波に乗っている。ヨーロッパで長期合宿を行うなど意欲的な強化策をとり、万全の体制で日本を迎い撃つ。

 要注意選手は3月の試合で日本から決勝点を奪ったFWアラ・フバイルと、中盤の底から前線に上がり決定的な仕事をするMFモハメド・サルミーンの2人だ。特に後者はキープ力がある上、テクニックに秀でている。彼が前線に上がってくるようなことがあれば、日本のディフェンスラインは警戒しなければならない。

 3次予選のアウェー戦ではバーレーンがシュート13本を放ったのに対し、日本のシュートは5本のみ。ベストメンバーが組めなかったとはいえ、ほとんど好機を作ることができなかった。岡田監督が「バーレーンでの敗戦は一生忘れない」と口にするほど悔しい思いを味わった。

 今回も前と同じ轍を踏むわけにはいかない。負ければ南アフリカへの道程は、相当厳しいものになる。勝ち点を1つでも多く持ち帰ること、これが日本代表に中東の地で課せられた任務である。




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