11月5日(水)
 5日、日本シリーズは西武ドームで第4戦が行われた。埼玉西武は主砲の中村剛也が2打席連続で2ランを放てば、投げては先発の岸孝之が巨人打線を4安打無失点完封という完璧なピッチングを披露。投打がかみ合った西武が本拠地で初勝利を挙げ、通算成績を2勝2敗とした。

◇第4戦
 中村、2打席連続弾!(西武2勝2敗、西武ドーム)
巨人      0 = 000000000
埼玉西武   5 = 000004000
勝利投手 岸(1勝0敗)
敗戦投手 グライシンガー(0勝1敗)
本塁打  (西)中村2号2ラン、3号2ラン
 初回、西武の1、2番コンビが魅せた。まずは先頭の片岡易之が初球のストレートを狙い打ちして出塁するとすかさず盗塁を決めて先制のチャンスを演出した。続く栗山巧は内角攻めに苦しむもフルカウントからやや真ん中に入ったカットボールをきれいに弾き返すと、片岡は俊足を飛ばして一気にホームへ。西武がこのシーズン初めてとなる先取点を挙げた。

 そしてハイライトは4回裏。巨人・先発のグライシンガーが3番・中島裕之に対し、死球を当ててしまう。もう少しで危険球になりそうなボールに中島が一瞬、グライシンガーをにらみつけた。すると、それに気付いたグライシンガーも負けじと中島の方へ向かっていく。一触即発のムードに両陣営のナインがグラウンドへと集まった。なんとか2人をなだめ、試合は続行される。

 続く打席には前日、復活の一発を放った4番・中村剛也。グライシンガーはまず、一塁の中島に牽制球を投げた。その行為に西武ファンが一斉にブーイング。西武ドームにはピリピリとした張り詰めた空気が漂っていた。しかし、次の瞬間、その空気が一転した。中村が初球のストレートを豪快にフルスイングすると、打球はレフトスタンドへ。歓声が沸き起こる中、ゆっくりとダイヤモンドを周る中村の姿からは、主砲の風格がにじみ出ていた。

 とどめの一発は6回表。続投のグライシンガーに対し、先頭打者の中島が4回の死球の借りを返すかのようにバットを折りながらも執念での内野安打で出塁した。そして打席には再び中村。またも初球をフルスイングすると、打球はレフトスタンドへ。打った瞬間それとわかる2打席連続での2ランに西武ベンチも喜びを爆発させた。

 投げては2年目の岸が巨人打線を翻弄した。特にキレのあるストレートと落差のあるカーブがコーナーに決まり、これには3番・小笠原道大、4番・ラミレス、5番・李と巨人が誇るクリーンアップもお手上げ状態。キャプテンの阿部慎之助ケガを押してDHで先発出場したものの、その阿部の前にチャンスをつくることができなかった。

 結局、岸は1点も失うことなく、4安打完封劇を演じた。5−0と完勝した西武・渡辺監督は次のようにコメントした。
「2戦目、3戦目と悪い流れだったので、チームが一つになって悪い流れを断ち切ってくれた。ヤス(片岡)が出て走って得点するというのが自分たちのパターン。それができたことで勢いに乗ったと思う。(中村は)苦しんでいた時期もあったが、一本出ればなんとかなると思っていた。今日の2本はチームに勇気を与えたし、本人もこれでのっていけると思う。(岸は)序盤から飛ばし、気持ちが入っていた。クライマックスでの借りを返すという強い気持ちで投げてくれたと思う。これで2勝2敗となった。チームの状況もよくなっていると思うので、明日からも1戦1戦勝てるように頑張っていきたい」

 そして完全復活した中村は2本のホームランについて次のように語った。
「日本シリーズではずっと(内角を)責められたいたので、いつかはインコースを打ちたいと思っていた。中島さんがチャンスをつくってくれたので、ゲッツーにだけはならないように思いきり打った。(2本目は)完璧に打てた。最高の感触だった。1戦目2戦目はヒットも出ていなかったので、昨日の一本で楽になれ、いいイメージで今日の試合に臨めた。今日はいい勝ち方ができたので、明日から1試合1試合勝っていきたいと思う」

 明日6日の第5戦は、同じ西武ドームで行なわれる。勝った方が王手をかけることになるだけに、両者にとって大きな山場となりそうだ。