8日、新日本石油ENEOSの田澤純一投手が米国から帰国の途に着き、成田市内のホテルでボストン・レッドソックスと正式に契約締結したことを報告した。メジャー契約で期間は3年間。マイナーからのスタートとなる見込みだが、田澤は「少しでも早めに昇格できるようにしたい」と1年目からメジャー昇格を目指す考えであることを明らかにした。
(写真:晴れやかな表情で会見に臨む田澤)
「ボストンはすごくいい街だった。早く溶け込めるように頑張っていきたい」
 初めて公の場でメジャー挑戦を表明した9月11日の会見とはうってかわって、田澤は終始笑顔だった。これまでドラフトでの指名を自ら辞退し、海を渡ろうとする田澤に対する風当たりは決して小さくはなかったはずだ。「日本球界を揺るがす前代未聞の大事件」と言われ、NPBからは“田澤対策”とばかりに「指名を拒否して海外でプレーした場合、一定期間ドラフト対象から凍結する」というルールが設定された。

 そんな逆風の中でのメジャー正式契約。「ようやくメジャー挑戦へのスタートラインに立てた」という安堵感が田澤の表情にははっきりと表れていた。球団関係者にはもちろん、ホテルでも歓迎されたという田澤。「街中ではボストンのトレーナーを着ていたり帽子をかぶっていたりしていて、すごくいい街だと思った」とすっかりボストンが気に入った様子だ。

 また、本拠地となるフェンウェイパークも視察。「工事をしていたので全部を見れたわけではないが、すごくいい球場だと思った。自分もいずれこのマウンドで投げてみたいなという気持ちになった」とメジャー昇格への強い意欲を示した。

 一方、田澤を間近で見守ってきた大久保秀昭監督は「こうして隣で(田澤の様子を)見ていて、たくましくなったなぁと感じている。入社当初は同じ神奈川出身ということで、楽しみな選手だった。しかし、当時はここまで活躍するとは正直、思っていなかった。想像以上に成長の度合いが大きかった」と大勢の記者を前にしても堂々した田澤の姿に驚きを隠せない様子だった。

 渡米の時期など今後の予定は未定だが、今月いっぱいは新日本石油のグラウンドでトレーニングを積む予定だ。既にレッドソックスのピッチングコーチからはトレーニングの内容を受け取っており、それらを参考にしながら調整する。
“日本流”から“メジャー流”へ――田澤の挑戦がいよいよスタートする。