17日、日本サッカー協会(JFA)は22日に行われる北京五輪最終予選初戦ベトナム戦に臨む日本代表メンバー19人を発表した。FW平山(F東京)、MF水野(千葉)ら北京五輪2次予選を戦ったメンバーが選ばれた他、U-20世代からMF柏木(広島)、DF安田(G大阪)らが選出された。反町体制発足時からの中心選手であるFWカレン(磐田)は外れた。
(写真:記者の質問に答える反町監督)
 連続無得点が続くカレンをついに切った。北京五輪最終予選に向けて、反町監督の断固たる決意が表れたメンバー選考だった。
「最終的にメンバーを決めたのは昨日(16日)。そう簡単には決められず、悩んだ。五輪2次予選や8月初旬の4カ国大会、合宿などで招集した際にこちらが“感じた”メンバー、また、Jリーグでの調子や対戦相手のベトナム対策などを総合的に考えて選んだ」

 五輪最終予選のプレ大会だった4カ国大会では1勝1敗1分で優勝を逃した。初戦の北朝鮮戦こそ2−1で勝ったが、続く中国戦はスコアレスで引き分け。最後のボツワナ戦は精彩を欠いた内容で0−1で敗れ、最終予選に弾みをつけることはできなかった。ボツワナ戦終了後、反町監督は「今までやってきたことは何だったんだ」と怒りを抑えられなかった。

 我慢の限界を超えた。同大会から選ばれたのは、左ヒザじん帯損傷で今回は招集を見送られたGK西川(大分)を除いて、17名中わずか4名。カレンをはじめとして、常連だったMF増田(鹿島)、MF上田(磐田)も外れた。

 古い血を抜いて、新しい血を注ぎこむ。代わりに選ばれたのは、7月にカナダで行われた『U-20ワールドカップ』に出場した20歳以下の若武者4名。記者が質問の中でU-20世代という言葉を使うと、反町監督は「今までも言ってきたが、U-20という世代はもう存在ない。そのカテゴリーはカナダの大会(U-20ワールドカップ)で終わった」と指摘して、「年齢は関係ない。所属クラブで活躍していて、力がある選手を選んだ」と力強く言い切った。

 ここまでの大ナタをふるったのは北京五輪への切符を手に入れるために他ならない。反町監督は「いくら勝ち点を獲れば、最終予選を突破できるかなんて言えない。頭に今あることは初戦で勝ち点3を獲ることだけ。初戦は最終予選において大きなウエイトを占める。ぜひとも勝ち点3を獲って、他の2チーム(サウジアラビアとカタール)にプレッシャーをかけたい」とベトナム戦の重要性を強調した。

 第2戦はアウェーでサウジアラビアと、その4日後には第3戦(ホーム)でカタールと戦う。過密日程の上、第3戦はベトナムから日本へ向かうカタールの方が、サウジアラビアから帰国する日本より距離的に有利。今回の最終予選のヤマ場といっていい2連戦の前に勝ち点3を得られるかどうか。それは日本が北京への切符を得られるかどうかと同義。そのためにベトナム戦に向けて、妥協のないメンバーを組んだ。

 もちろん不安がないわけではない。チームの主軸で、4カ国大会でもビッグセーブを連発して気を吐いた西川は負傷で欠場を余儀なくされる。それでも、反町監督は「五輪2次予選でも同じように西川が抜けたことがあったが、他のメンバーが十分な力を発揮してくれた。その意味では不安はないし、不安があるようでは今まで何をやってきたがわからない」と強気なコメントを残した。あとは、8月22日、反町体制の全てをベトナムにぶつけるだけだ。

<日本代表メンバー19人>

GK
山本海人(清水エスパルス)
松井謙弥(ジュビロ磐田)
林彰弘(流通経済大学)
DF
伊野波雅彦(FC東京)
水本裕貴(ジェフ千葉)
細貝萌(浦和レッズ)
青山直晃(清水エスパルス)
安田理大(ガンバ大阪)
内田篤人(鹿島アントラーズ)
MF
本田拓也(法政大学)
水野晃樹(ジェフ千葉)
梶山陽平(FC東京)
青山敏弘(サンフレッチェ広島)
家長昭博(ガンバ大阪)
本田圭佑(名古屋グランパス)
柏木陽介(サンフレッチェ広島)
FW
平山相太(FC東京)
李忠成(柏レイソル)
岡崎慎司(清水エスパルス)