ドラフト上位候補として注目を浴びていた法政大学の小松剛投手。だが、夏に背筋を痛め、約1カ月間マウンドから離れた。それでも10月には復活し、それまで以上に気持ちが前面にあらわれたピッチングでチームを牽引。その成長ぶりを高く評価し、3巡目に指名したのが広島だ。ずっと意識してきたというプロへの切符。それをつかみとった小松投手に意気込みを訊いた。
―― 指名されて、泣いてしまったとか。

小松: はい。指名されて「よかったぁ」という気持ちもあったのですが、それよりも仲間がすごく喜んでくれたのが嬉しくて……。クラッカーを隠し持っていて、みんなで祝ってくれました。そういうみんなのあたたかさにポロッときてしまいました。

―― 今年はケガに泣かれたシーズンだったのでは?

小松: 7月の終わり頃に、ちょっとおかしいなという感じはしていました。でも、以前も同じようなことがあったのですが、大事にはいたらなかったんです。だから、今回も大丈夫だろうと。多分、それがいけなかったんだと思います。

―― 原因は?

小松: オーバーワークだと思います。8月のはじめころから痛みが生じてきてしまいました。

―― 大事な時期でのケガ。焦りは?

小松: 焦りはそれほどなかったですね。まずはしっかりとケガをを治すことだと。ただ、歯痒さは感じていました。チームの後輩たちが投げている姿を観て、マウンドに立っていない自分が悔しかった。

 小学校時代には前田智徳選手に憧れ、現在は“炎のストッパー”津田恒美投手(故人)を尊敬しているという小松投手。その広島への入団が決まった今、どんな思いでいるのか。

―― 球団からの評価について。

小松: 結構、気持ちを前面に出していくピッチングをしているので、そういう部分を評価されたと思っています。1軍キャンプに帯同させてもらえることからも、即戦力として期待されているというふうに感じています。

―― 球団へのイメージは?

小松: ファンの方がすごく熱心で、若手が育つというイメージがありますね。それから赤い(笑)。中学のときに早稲田のようなえんじのユニホームだったことはありますが、赤はないんです。普段も赤はあまり身につけたことがなかったので、最近ちょっと取り入れるように意識しています(笑)。

―― 小学校時代には、前田智徳選手に憧れていたとか。

小松: はい。お会いできるのかと思うと、ドキドキしますね(笑)。永川勝浩さんにもいろいろとお聞きしたいです。気持ちの持ちようだったり、配球だったり……。プロ野球で生きていく術を教わりたい。
“炎のストッパー”と言われた津田さんも尊敬しています。映像で観たことがあるだけですが、フォームもダイナミックですし、球も速い。何より気持ちで投げているところに魅かれます。自分もいつかファンからかっこいいネーミングをつけてもらえるような選手になりたいです。

 “小松色”を出したい!

 2年の時からプロのスカウトに注目されてきた小松投手だが、大学4年間は決して順風満帆だったわけではなかった。その中で、どのような成長を遂げたのか。

―― 4年間で一番変わったと感じる面は?

小松: 球速ですね。入学当初の最速141キロでしたが、今は149キロです。プロでは150キロは超えたいですね。

―― メンタル面では?

小松: 気持ちで押していくピッチングを心がけていますが、今年は特にそれが出ていたかなと。春、チームがリーグ5位に終わってしまったことが、僕の中では屈辱的でした。本当に悔しくて、やってられなかった。後輩たちに何かを残さなければいけないという気持ちがあったので、秋はそれまで以上に気持ちでいきました。

「性格が優しすぎる」と言われることもあるのですが、僕自身、プロでもやっていける自信はあります。この4年間でライバルを蹴落とすぐらいの強い気持ちが出てきましたし、今もそういう気持ちで準備しています。

―― 毎日の練習の中でもこだわりがあると?

小松: はい。たとえ練習でも一球もミスをしないこと。そして最低限できることをしっかりとやることです。全て完璧にすることは難しい。スランプに陥ることもあります。でも、そういう時でも声を出すことやランニング、フォームへの意識づけなど、やれることはたくさんあります。これは上手、下手ではありません。やるか、やらないかです。
 練習でやるべきことをやったうえで、試合に臨む。そういうプロ意識を持ってこれからもやっていきたいと思っています。そうすれば、気持ちの波も一定してくるし、調子が悪い時もぶれずにいける。そこについてくるのが結果だと思っています。

 小学校時代から憧れていたプロへの夢。母校の室戸高校としては51年ぶり2人目のプロ野球選手誕生だ。新球場1年目という記念の年を迎える広島で、小松投手はどんな活躍を見せてくれるのか。

―― プロで対戦したいバッターは?

小松: 僕は国際大会に出場したことがないので、外国人選手と対戦してみたいですね。それから法政の先輩である大引啓示さん。大学時代も紅白戦などで対戦したことがないんです。だからプロの世界でぜひやってみたいなと。大引さんを三振に仕留められたら嬉しいですね。

―― 目標は?

小松: やるからにはカープのエースの座を狙いたいと思っています。そして「小松がマウンドに立ったら、安心して観ていられる」というような期待感をもってもらえるピッチャーになりたいです。
 それと、自分の「色」を出していきたいです。現役投手でいえば、藤川球児投手(阪神)や岸孝之(埼玉西武)投手。特徴があって、ファンから「さすがやな」というような個性を自分も出していけたらと思っています。

―― 「小松色」とは?

小松: 僕は強気のピッチングですね。どんなピンチの場面でも、堂々とバッターに立ち向かっていく姿勢を出していきたいです。広島やプロ野球ファンに、そういう面をアピールしていきたいと思っています。

「一軍で活躍することが、これまで自分を支えてくれた人たちに恩返しすることにもなる」と小松投手。室戸高校の恩師・横川恒雄監督をはじめ、地元からの期待を一心に背負い、プロの世界に挑む。まず、目指すのは新人王だ。

<小松剛(こまつ・たけし)プロフィール>
1986年9月26日、高知県高知市出身。小学3年に室戸市に転居し、友人の影響で野球を始める。小学5年から投手となり、高校は地元の室戸高校に進学。3年時にはエースで主将を務める。法政大学では2年春にリーグ戦デビューを果たすと、3勝を。マーク優勝のかかった大一番にはリーグ戦初完投で胴上げ投手となった。リーグ戦通算成績11勝16敗。180センチ、80キロ。右投右打。

(聞き手・斎藤寿子)


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