21日、「クラブワールドカップ2008」決勝が横浜国際競技場で行なわれ、欧州代表のマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)が南米代表のリガ・デ・キトを1−0で下し、クラブ世界一の座に就いた。前半からマンチェスター・ユナイテッドが圧倒的に攻め続けるが両クラブ無得点で折り返す。後半開始直後に退場者を出し10人になったマンチェスター・ユナイテッドだったが、後半28分にウェイン・ルーニーのゴールが決まり勝ち越し。そのまま逃げ切って99年のトヨタカップ以来9年ぶりに世界一の称号を手に入れた。

◇12月21日、横浜
リガ・デ・キト 0−1 マンチェスター・ユナイテッド
【得点】
[マ] ウェイン・ルーニー(73分)
 前半開始早々、ペースを掴んだのはマンチェスター・ユナイテッドだった。前線から激しいチェックを仕掛けリガ・デ・キトにプレッシャーをかけていく。攻撃陣ではFWカルロス・テベス、ウェイン・ルーニー、クリスティアーノ・ロナウドがポジションを流動的にチェンジし、どこからでも起点を作りチャンスを演出していく。前半だけでもシュート数は11本、うち枠内シュートが5本。リガ・デ・キトGKホセ・セバージョスの好セーブでゴールを奪うことはできなかったが、圧倒的な破壊力でリガ・デ・キトゴールに迫り続けた。

 一方、リガ・デ・キトはFWアレハンドロ・マンソにボールを集め、苦境での打開策を模索する。しかし、なかなかマンチェスターU守備陣を崩すには至らない。30分過ぎからはなかなかマンソにもボールが収まらず厳しい戦いが続いた。前半のうちリガ・デ・キトは枠内シュートが0。押されっぱなしの45分になった。

 試合が急展開を向かえたのは、後半立ち上がり3分。マンチェスター・ユナイテッドDFネマニャ・ビディッチがFWクラウディオ・ピエレルと競り合い後ピッチに倒れこんだ際、ピエレルの顔面にヒジをいれてしまい一発退場となってしまう。ボールを支配していたマンチェスター・ユナイテッドが一人少ない状況に立たされ、試合は一気に緊迫していった。

 マンチェスターはテベスを下げDFジョニー・エバンスを投入し、前線はルーニー、C・ロナウド、パク・チソンの3トップとなる。一人少ない状況でも相手ゴールに果敢に向かっていき、シュートチャンスを作っていく。

 人数的に優位に立ったリガ・デ・キトは前半よりも明らかにボールを持つ時間が多くなり、DFラインを高い位置でキープできるようになる。後半16分にはマンソがPA外から豪快なミドルシュートを放つ。これはGKエドウィン・ファンデルサールの好セーブに阻まれるが、徐々に攻めのリズムができていった。一進一退の攻防が続き、どちらに点が入ってもおかしくない状況だった。

 そしてマンチェスター・ユナイテッドに先制点が入ったのは後半28分。中盤からのパスを受けたC・ロナウドがPA内でDF2人を引きつけ、左サイドに開いていたルーニーへパス。このボールに対しダイレクトで右足を振りぬくと、シュートは再三好セーブを連発していたセバージョスの横を抜け、ファーサイドのゴールネットに突き刺さった。ルーニーの今大会3得点目で、マンチェスター・ユナイテッドが先制した。

 試合終盤になると、後の無くなったリガ・デ・キトが猛攻に出る。マンソを中心にマンチェスターゴールへ迫力のある攻撃を見せる。43分にはゴール正面でボールを受けたマンソが左足で強烈なシュートを放つ。しかし、これはファンデルサールが間一髪でセーブしコーナーキックに逃れ同点弾を許さない。

 このまま試合はロスタイム3分が経過し試合終了。1−0でマンチェスター・ユナイテッドが勝利し、9年ぶりにクラブ世界一の座に就いた。今日の試合で決勝点を挙げ、大会で3ゴールを挙げたルーニーが大会最優秀選手に選ばれた。

 試合後にマンチェスター・ユナイテッドのサー・アレックス・ファーガソン監督は「急に10人になってしまう厳しい試合だったが、勝とうと努力し達成できたことは素晴らしい。特にルーニーの活躍がよかった。彼の能力が十分に発揮された試合だったと思う」と語った。

「準決勝で3失点したからといって、特に大きな守備の修正はしなかった。前の試合での失点についてはガンバを称えなければならない。リガ・デ・キトには遠藤のような素晴らしい選手がいなかったので無失点で抑えることができた」と決勝後にもガンバの健闘について言及する場面があった。

 マンチェスター・ユナイテッドの優勝で幕を下したクラブワールドカップ。2005年から日本での開催だったが、来年からの2年間はUAEでの開催が決まっている。年々ステータスが上がっているこの大会、来年以降の盛り上がりにも期待したい。