愛媛FCにとって4年目のJがスタートする。今季から栃木SC、カターレ富山、ファジアーノ岡山の3クラブが加わり、J2は各クラブ3戦総当りの計51試合制となる。昨季は6位以上を目標に掲げながら、参入後、ワーストの14位に終わった。「サポーターに謝ってばかりだった。今年は笑顔の1年にしたい」と語るDF金守智哉を筆頭に昨年の悔しさを晴らそうとの思いはクラブ全体が共有している。

(写真:8日の開幕戦で激突する愛媛・三上、水戸・荒田の両選手)
 昨季の低迷の最大要因は運動量が総じて低かったこと。延長の末、惜敗した天皇杯の浦和レッズ戦のように、全員がしっかり走りきったゲームは格上相手にも対等に戦えた。ところが、足が止まった試合はあっさりと勝ち点を落とした。「(ボールを)つなごう、つなごうと考えすぎていた」(FW田中俊也)。9月の徳島ヴォルティスとの四国ダービーでは0−5と屈辱的な大敗。リーグ戦で逆転勝利は1試合もなく、失点するとズルズルいくケースが目立った。

 その反省を踏まえ、今季のキャンプでは運動量のアップを主眼に置いた。ランニングメニューを増やし、「今までで一番きつい」とMF赤井秀一が漏らすほど追い込んだ。「鍛えたかいがあって、普通にサッカーができるレベルにはなりましたね」。望月一仁監督は苦笑いしながら、その効果を語る。

 守りに関しては年々、熟成度が高まっている。チームの要、センターバックの金守智哉を中心としたDF陣はバタバタしなくなった。今季は鳥栖から柴小屋雄一が加入し、金守とコンビを組む。187センチと高さがあり、セットプレーに強さを発揮してくれるだろう。左サイドバックには今季よりキャプテンに就任した三上卓哉、右サイドバックには昨季センターバックとしても成長した高杉亮太が入る。そして、甲府でサイドバックとしてJ1昇格に貢献したアライールの加入も発表された。「守りには手ごたえがある」。開幕戦は川北裕介、セレッソから加入した山本浩正と2人のGKを欠く点はマイナス要素だが、指揮官に不安はない。

 問題はリーグワーストの39ゴールに終わった攻撃だ。昨季はエースの田中俊也が7ゴールと苦しんだ。今季は甲府からジョジマールを補強。左足を得意とするブラジル人は07シーズン、愛媛に期限付き移籍し、21試合の出場ながらチームトップの8ゴールをマークした。9月から10月にかけては5試合で5ゴールを決め、クラブ初の3連勝に貢献している。ジョジマールが期待通りの活躍をみせれば、得点力はアップするはずだ。

 しかし、肝心のジョジマールらへつないで点をとるイメージはまだチーム内で共有されていない。昨季はベテランのFW大木勉がタメをつくり、リズムをつくっていた。それは大木がピッチから不在になると、一気に攻撃の起点を失うことも意味していた。「攻守のバランスが悪く、つながりがなかった」。望月監督も大きな反省点としてあげていた課題は解消されたとはいい難い。「本来はジョジ(マール)、内村(圭宏)、(田中)俊也のうち誰がひとりが軸になってほしい。そうすれば、大木もゴール前に現れる機会が増える」。指揮官も33歳の大木以外に頼りになる人材を求めている。

 さらに、開幕を前にして故障者が出ている点も指揮官の構想を狂わせている。スピードで相手を振り切れる左サイドの江後賢一、豊富な運動量に定評のあるMF田森大己がケガのため、開幕は厳しい状況だ。23人とメンバーが限られているだけに、離脱者を出さないことも大切になる。

 開幕戦の相手は水戸ホーリーホックだ。過去の対戦成績は3勝4分4敗。昨季は1勝1敗1分だった。「水戸は前に速い。ターゲットに向かってどんどん裏を突いてきた」。そう三上が語るように、順位的にはほぼ同等の相手ながら愛媛ペースに持ち込めない展開が続いた。「いかに相手にロングボールを蹴らせないか。先手をとることが必要」(三上)。キャンプ中から目指した運動量が問われる一戦となりそうだ。

 水戸戦を幸先よくスタートすれば、2節以降は新規参入の富山、J2年目のFC岐阜、ロアッソ熊本と勝ち点3が可能な相手が続く。「最初の5試合で勝ち点をいかにとれるか。それが自信につながる」。キャプテンの三上をはじめ、選手たちはスタートダッシュを狙っている。望月監督は「課題を消化しきれていないので勝ち点が確実に取れるか」と慎重だが、「今シーズンはレギュラーと控えの差がなくなってきている。第1クールをなんとか乗り切って、第2クールで勝負をかけたい」とシーズンプランを明かす。
(写真:「キーマンはいない。みんなでやるしかない」。5年目の指揮を執る望月監督)

 折からの不況の影響で、亀井文雄社長も「スポンサー収入は厳しい状況」と打ち明ける。「それでも昨年の総収入(4億9000万円)は維持したい。そのためには入場者収入を増やさないと」。昨季の入場者は1試合平均3,704人。リーグワースト2だった。今季は、ダービーマッチや休日の試合など、集客を見込める試合にさらなる力を入れ、1試合平均5000人以上の動員を目指す。

 それもこれも成績が伴わなければ、観客をスタジアムに呼び込むことはできない。「JFLにいた時よりはるかに愛媛FCを知ってもらっている。応援してくれる人たちのためにもチームの勝利に貢献したい」(赤井)。まずは9位以内、そしてその上へ――。2009年こそは有言実行のシーズンにしたい。

(石田洋之)

<3月8日開幕戦、対水戸ホーリーホック、主なイベント>
◎ニンジニアスタジアム 13時30分キックオフ

1.太陽石油カップ愛媛FCサッカー大会開催!

【日時】 8:30〜 開会式 8:45〜 大会開始
【場所】 ニンジニアスタジアム
【参加チーム】 8チーム(小学6年生以下で1チーム16人)
【方式】 試合は12分ハーフ(1試合24分)
【特典】
・参加選手に水戸戦チケットをプレゼント
・太陽石油よりオリジナルTシャツをプレゼント
・優勝チーム、準優勝には、トロフィー・メダル授与
【主催】 株式会社愛媛FC
【協賛】 太陽石油株式会社
※メインスタンド前中央広場ではSOLATOブースを出展します。

2.東京ヤクルトのマスコット「つば九郎」が登場
 試合前やハーフタイムに登場し、会場を盛り上げます。グッズの入ったバズーカを撃ちながらの場内一周も。

3.来場者プレゼント
 愛媛FCユニホーム型ストラップを先着3,000名にプレゼント。

4.アウェイ特産品を販売!
 水戸の「納豆」「チョコ納豆」「キムチそぼろ納豆」を限定販売。


次の100年へ。太陽石油から、SOLATOはじまります。
SOLATOは、愛媛FCのオフィシャルスポンサーです。
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