6日、サッカーU-22日本代表は北京五輪アジア2次予選最終戦でU-22マレーシア代表と国立競技場で対戦。初召集組で大学生のMF長友、MF鈴木らのゴールで3−1と快勝し、2次予選全勝で最終予選進出を決めた。

◇6月6日、国立
U-22日本代表 3−1 U-22マレーシア代表
【得点】
[日] 長友佑都(27分)、鈴木修人(32分)、萬代宏樹(51分)
[マ] スブラマニアム(58分)
 初召集組が反町監督の眼前で猛アピールした。

 既に2次予選突破を決めている日本は、FW平山ら主力12人を温存。注目の先発メンバーには、今回7人選出された初召集組の中からFW岡崎ら5人が名を連ねた。今季J1で5ゴールを挙げているMF菅沼、反町体制で3ゴールを記録しているMF増田ら実績上位の選手はベンチスタート。

 反町監督にアピールすべくモチベーションの高い日本は試合開始から主導権を握る。27分には先制ゴール。左から放り込まれたアーリークロスに対して、右サイドMF長友がPA内に素早く走りこみ、GKの鼻先で頭で押し込む。初召集の長友にとっては嬉しい初ゴール。

 先制点を奪った日本は、さらにたたみかける。32分、ミドルエリアで胸トラップした初召集組MF鈴木が豪快なダイレクトボレーを右隅に叩き込み、追加点を挙げた。先制ゴールを挙げた長友にしても、2点目を奪った鈴木にしても現役大学生。ミスも多いが、積極的に仕掛けてチームを牽引した。

 後半早々にも、長友の果敢な仕掛けから3点目。6分、右サイドの深い位置でロングボールを引き出し、そのままPA左へ侵入。相手DFがたまらずファウルを犯し、PKを獲得する。キッカーの萬代はGKの逆をつき、右隅に落ち着いて決めた。

 3点を奪って気が緩んだせいか、同13分には左CKから1点を返される。だが、4点目こそ奪えなかったが試合を最後まで支配。3−1で快勝し、2次予選唯一の全勝チームとして8月から始まる最終予選進出を決めた。

<反町監督「ポジションを脅かす選手が現れた」>

 試合後、反町監督は兜の緒を締めた。「勝てて嬉しいが、手放しで喜べない」。その大きな理由は二つあった。一つ目は判断の遅さ、二つ目は決定力不足だ。

 まず、反町監督が指摘したのは無駄なタッチの多さ。「選手は一生懸命プレーしているが、判断が遅い。ワンタッチで3本つなげばチャンスになるのに1本余計につないでしまう。ハーフタイムで選手たちに注意したが、修正されなかった」。中盤で手数をかけてしまうことで、マレーシアの選手が戻り、攻撃のテンポのよさが失われたのは事実だ。初召集選手が多く、一緒にピッチに立った時間が少ないことも理由として考えられる。

 そして、「日本人のウィークポイント」(反町監督)という決定力不足。2点をリードした前半41分には、FW萬代が速攻から岡崎のタテパスに抜け出し、GKとの1対1を迎えたが、1本目のシュートはGKにはじかれ、こぼれたボールを再び狙ったシュートは右ポストに嫌われた。「今日はGKとの1対1がいくつありました? 決定機でどうしてもあわててしまう。改善していかなければいけない」と反町監督は厳しい表情で語った。

 一方で収穫が多かったのも事実。後半にはMF杉山、FW興梠を投入し、今回初召集した7人の選手すべてを確かめた。初召集組の思い切りのよいプレーは反町監督にも好印象を与えたようだ。「ここで名前を挙げることはできないが、既存選手のポジションを脅かす選手が出てきた。それがチームのレベルアップにつながるはず」。ゴールを決めた大学生2人について聞かれると「たまたま獲れただけ」としながらも「大学生もしっかり発掘しなければいけないと感じた」という言葉も口にした。

 8月から始まる最終予選に臨む選手は、2次予選第5戦の香港戦のメンバーと今回のメンバーから30〜35人程度選ばれ、絞られていく予定だ。

<反町監督のコメント>
「今回はできる限り、多くの選手を見たかった。選手たちは緊張しすぎてボールが足につかない場面があった。最終予選でそうなってしまったら困るが、いい経験になったと思う。ポジティブにとらえれば、今回出場したメンバー、これまで出ていたメンバーの両方にいい刺激になったように思う。これから2ヶ月程度、集まってゲームをする機会がないので、それぞれが所属クラブや大学で精進してほしい。今日の試合が終わって『ハイ、おしまい』ではない。本当の強さを身につけた者が最終予選に残る」

<U-22日本代表出場選手>

GK
山本海人

DF
一柳夢吾
田中裕介
細貝萌
長友佑都

MF
鈴木修人
⇒増田誓志(78分)
小椋祥平
⇒杉山浩太(59分)
上田康太
枝村匠馬

FW
萬代宏樹
岡崎慎司
⇒興梠慎三(67分)