当HP編集長の二宮清純がインタビュアーを務めるBS朝日の番組『勝負の瞬間(とき)』が19日(日)、22:00より放送されます。この番組では毎回、各スポーツから一流たちをお招きし、トップを極めたテクニックと、その思考法に迫ります。これまでのスポーツ番組とは一味違ったインタビュードキュメントです。今回はサッカー日本代表のキャプテン、横浜F・マリノスの中澤佑二選手をお招きします。
(写真:6時起床22時就寝など中澤選手のストイックな日常も明らかに)
 当サイトでは番組に先駆けて、中澤選手とのインタビューの一部を紹介します。
 
二宮: 岡田監督は本大会で「ベスト4が目標」と言っています。FIFAランキングで日本は31位(6月時点)。普通に実力を考えたら難しい。でも、全くムリかと言うとそうではないでしょう。目標を達成するために何をするべきか、いくつかハードルがあると思うんですよね。中澤さんは日本がこの1年で越えて行かなければならないものは何だと考えますか?
中澤: やらなければいけないことはたくさんあります。個人的に僕がトライしているのは、濡れたピッチでもしっかりトラップができて、しっかりとパスが出せるようにすること。本当に初歩的なところなんです。
 たぶん日本のピッチだったらそこまで気にしなくてもいいところが、海外ではスリッピーなところが多い。その辺で技術の差が出てくると思うんですよね。もちろん、ここは1年では克服できないかもしれない。でも、まずはトライしないことには始まらない。

二宮: 確かに現地がどんなピッチの状態かわからない。雨が降らない保証もないですからね。
中澤: ヨーロッパの選手たちって当たり前のように濡れたピッチでプレーしてるじゃないですか。濡れたピッチでやっているので体のバランスがいい。下がぬかるんだ状態でもなかなか転んだりしないんですよね。日本の選手って良いグラウンドでやりすぎて、ちょっと濡れると思うようなプレーができない。

二宮: いろいろ聞くと、日本のピッチは今や世界で最高らしいですね。環境が良すぎるのがかえってって災いしている面もあると?
中澤: ちょっと環境が悪くなると自分たちの良さが出せなくなってしまうところがありますね。そういった部分を個人個人が気づいていかないと、ベスト4は難しいのかなって思います。

二宮: 確か4年前のジーコジャパンも目標はベスト4に置いていたはずです。その意味で、初戦のオーストラリア戦の逆転負けは痛かった。でも考えてみたら、あと残り2試合もあった。そこで軌道修正と言いますか、切り替える能力が必要だったと思うんですね。W杯で優勝するような強いチームは出だしが悪くてもどっかで態勢を立て直してくる。日本の場合、どこかでカンとやられると、そのままサッと終わっちゃうところがある。この辺の精神的なタフネスも必要ではないでしょうか。
中澤: そうですね。選手は1つ負けることで、外野からの批判や声がすごく気になる。なので、それにあまり振り回されないようにしなきゃいけないと思います。やはり負けは負けで取り戻すことはできない。大事なのは次の試合です。本当は開き直っちゃったほうが良いのかとも思いますね。周りに何を言われても自分たちの芯がぶれない強さが必要かもしれません。

二宮: 日本人は総じて気持ちの切り替えがヘタなように感じます。中澤さんみたいに経験値が豊富で、ブラジルでもプレーしている選手が「ガタガタ言わなくても、次勝てばいいんでしょ」みたいなメッセージをあえて発信する場面も必要かなと思うんです。
中澤: 2010年のワールドカップで、もしかしたら前回と同じ状況になるかもしれません。そうなった時には予防策として考えているところは自分なりにあります。楢崎(正剛)さんもいますし、(中村)俊輔もいますから、ドイツを体験した人間がうまくメディアを使って、情報発信することも大事なのかなと考えています。やはり、2006年の経験を活かさないわけにはいきませんから。

二宮: その点で今回のチームに私は期待しています。前回のあの悔しさを晴らしたいという想いが選手の中に残っている。ベスト4に行けるかどうかは別にして、世界を驚かせる戦いは充分できると思うんですね。
中澤: そのためには今から1年間、代表選手たちがどれだけ自覚を持ってやれるかでしょう。ベスト4に入るんだという情熱を持って、どれだけいられるかが重要だと思うんです。
>>この続きは番組をお楽しみ下さい。

 3年前のW杯ドイツ大会での惨敗後、一度は代表引退を決意した中澤選手。彼はなぜ、再び代表のユニホームを着て戦うことを決意したのか。番組ではその心境の変化と、きっかけとなったあるアスリートとの交流にも迫ります。
 さらにはサッカーだけが友達だった高校時代や、ブラジルで受けた嫌がらせ、ヴェルディ時代にカズ(三浦知良)を激怒させた出来事など、これまでのサッカー人生が赤裸々に語られます。またイビチャ・オシムら歴代の代表監督から学んだこと、岡田武史監督が直接伝えてくれたW杯への覚悟も明かしてくれます。中澤選手のファンはもちろん、多くのサッカーサポーター、そしてすべてのスポーツ好きの皆さんにとって必見の内容です。

 この『勝負の瞬間』は月1回ペースで2010年3月まで全12回シリーズでお届けしています。8月は夢のロンドン五輪出場を目指し、海外移籍を決めたハンドボーラーが登場予定。秋以降も一流のアスリートが続々と出演します。中澤選手編の放映に合わせ、先月、大好評だった東北楽天・野村克也監督の回も同日13:00〜再放送されます。ぜひ合わせてお楽しみください!

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