メジャーリーグの第80回オールスターゲームが15日、セントルイスのブッシュスタジアムで行われた。試合は3−3の同点で迎えた8回、アメリカンリーグがアダム・ジョーンズ(オリオールズ)の犠牲フライで勝ち越し。4−3で逃げ切った。ア・リーグはこれで引き分けを挟み、オールスターゲーム12連勝。ア・リーグから「1番・ライト」で先発出場したイチロー(マリナーズ)は第1打席でライト前ヒットを放ち、3打数1安打だった。
 MVPは好守のクロフォード(レイズ)
アメリカン・リーグ   4 = 200010010
ナショナル・リーグ  3 = 030000000
[ア] ハラディ(ブルージェイズ)―バーリー(ホワイトソックス)−グリンキー(ロイヤルズ)−ジャクソン(タイガース)−ヘルナンデス(マリナーズ)−○パペルボン(レッドソックス)−ネイサン(ツインズ)−Sリベラ(ヤンキース)
[ナ] リンスカム(ジャイアンツ)−フランクリン(カージナルス)−ハーレン(ダイヤモンドバックス)−ビリングスリー(ドジャース)−ホフマン(ブルワーズ)−コルデロ(レッズ)−●ベル(パドレス)−F.ロドリゲス(メッツ)

【イチロー成績】
 3打数1安打
第1打席 右前安打
第2打席 右直
第3打席 二ゴロ

 全米からスターが集結し、バラク・オバマ大統領も始球式を行った真夏の祭典にあって、出場9回の余裕を感じさせるプレーぶりだった。イチローの過去のMLBオールスターの成績は21打数7安打、打率.333。2年前はオールスター史上初のランニング本塁打を放ち、MVPに輝いている。今季、胃潰瘍で出遅れながら打率.362と好調のヒットメーカーは、この日の打席もいつもと変わらなかった。

 初回の第1打席、対する相手は昨季サイヤング賞に輝いた右腕のティム・リンスカム(ジャイアンツ)。初球からイチローはライトへ大きなファールを放ち、スタンドを沸かせる。さらにカウント2−2からの5球目、インハイのボールを叩く。打球はきれいに1、2塁間を抜け、ライト前ヒットとなった。

 2打席目は2回、相手は再びリンスカム。カウント2−2からのチェンジアップをうまくとらえたが、いい当たりがライトの正面を突いた。5回の第3打席はナ・リーグの4番手チャド・ビリングスリーの内角球に詰まり、セカンドゴロ。その裏の守備からベンチに退いた。1安打とはいえ、大舞台で確実に結果を残したイチロー。いい形で自身の9年連続200安打、そしてマリナーズの8年ぶりのプレーオフ進出へ向けた後半戦に突入する。

 試合は初回、ア・リーグがイチローのヒットを足がかりに無死1、2塁のチャンスを迎える。1死後、4番マーク・テシェイラの打球を一塁手がはじき(記録は失策)、2塁走者が生還。1点を先行する。なおも満塁から内野ゴロの間に1点をあげ、ア・リーグが立ち上がりに2点を先制した。

 しかし、1996年以来の勝利を目指すナショナルリーグは2回、ア・リーグ先発のロイ・ハラディ(ブルージェイズ)を攻め、3連打と相手の守備の乱れに乗じて2−2の同点に追いつく。なおも阪神で活躍したセシル・フィルダーの息子、プリンス・フィルダーがレフトへエンタイトル2塁打を放ち、逆転に成功した。

 だが、引き分けを挟んで11連勝中のア・リーグも簡単には引き下がらない。5回、先頭打者の代打カール・クロフォード(レイズ)がヒットで出塁。2死後、打率.373で首位打者のジョー・マウアーがレフトへ2塁打を放ち、1塁走者が同点のホームを駆け抜けた。同点への足がかりをつくったクロフォードは守備でも魅せる。7回、ブラッド・ハウプのレフトへの大飛球をジャンプ一番、好捕。このファインプレーで流れはア・リーグに傾いた。

 直後の8回、ア・リーグはカーティス・グランダーソン(タイガース)がレフトオーバーの打球で俊足を飛ばし、3塁を陥れる。続くジョーンズのライトフライで生還し、貴重な勝ち越し点をあげた。1点を争う好ゲームも終わってみれば、ア・リーグの12連勝。リーグ優勝チームが今秋のワールドシリーズの開幕を本拠地で迎えることが決まった。MVPには同点のきっかけをつくり、好守を披露したクロフォードが輝いた。