24日、プロ野球パ・リーグのクライマックスシリーズ第2ステージ第4戦が札幌ドームで行なわれ、北海道日本ハムが東北楽天を9−4で下した。これでアドバンテージ1勝を含めて対戦成績を4勝1敗とした日本ハムは、2年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。

◇第2ステージ(第4戦)
 スレッジ、岩隈からダメ押しの3ラン!(日本ハム4勝1敗、札幌ドーム)
東北楽天        4 = 000300010
北海道日本ハム   9 = 13000023×
勝利投手 藤井(1勝0敗)
敗戦投手 藤原(0勝1敗)
本塁打   (日)森本1号2ラン、スレッジ2号3ラン
 日本シリーズ進出まであと1勝に迫った日本ハムが序盤から積極的なバッティングで東北楽天の先発・藤原紘通を攻め立てた。1死から2番・森本稀哲が内野安打で出塁すると、3番・稲葉篤紀もヒットで続く。4番・高橋信二は四球を選び、いきなり満塁のチャンスをつくった。5番・スレッジの犠飛で先制した日本ハム。なおも2死1、3塁とする。だが、ここは藤原が踏ん張った。6番・小谷野栄一を二飛に打ち取り、最小失点に抑える。

 しかし2回裏、再び日本ハム打線が藤原をとらえた。先頭打者の7番・糸井嘉男がヒットで出塁すると、8番・大野奨太は送りバントを決め、1死二塁とした。9番・金子誠が凡打に倒れるも、続く田中はフェンス直撃の三塁打を放ち、1点を追加。さらに森本がCS初となるホームランを放ち、日本ハムが早くも4点をリードした。投げては先発の藤井秀悟が3回まで一人も塁に出さないパーフェクトピッチングを披露。序盤から投打がかみ合い、日本ハムが試合の主導権を握った。

 一方、1敗も許されない崖っぷちの楽天は4回表、ようやく打線がつながり、見事な集中打で反撃する。1番・高須洋介がチーム初安打で出塁すると、2死後、4番・山崎武司、5番・セギノールの連打で1点を返した。続く6番・中島俊哉は四球を選び、満塁とする。打席にはCS初スタメンの7番・宮出隆自。宮出は内角寄りのストレートをセンターへ。まずは山崎が2点目のホームを踏むと、二塁ランナーのセギノールも三塁をまわり、ホームを狙う。センターからの返球はタイミング的にはアウトだったが、キャッチャー大野がボールをグラブからこぼしてしまい、一瞬見失った。これを確認したセギノールはゆっくりとホームに手を突き、楽天に3点目が入った。

 試合は日本ハム1点リードのまま終盤へと突入した。試合が動いたのは7回裏、日本ハムがスレッジ、途中出場の鶴岡慎也のタイムリーで2点を追加し、リードを広げた。楽天も8回表にセギノールのタイムリーで1点を返し、必死にくらいついた。

 試合が決定づけられたのはその裏だった。楽天はこの回から小山伸一郎をマウンドへ。小山は先頭打者の田中を平凡なフライで打ち取るも、続く森本には初球を簡単に打たれ、塁に出してしまう。次打者・稲葉を迎え、野村監督は右の小山から左の有銘兼久にスイッチした。しかし、有銘は稲葉を四球で出してしまう。5番手には川岸強が投入され、高橋を遊ゴロに打ち取る。ランナーがそれぞれ進み、2死二、三塁となった。

 すると次の瞬間、札幌ドームがどよめいた。マウンドに向かったのは2日前の第2戦に完投した岩隈久志だった。楽天は全てをエースの右肩に託した。打席には第1戦、奇跡のサヨナラ満塁弾を放ったスレッジ。岩隈は140キロ後半のストレートを投げ込むも、力みからかボールが高めに浮いた。そしてスレッジは2球目、内角寄りの高めストレートを迷わず振り抜いた。打った瞬間、それとわかる鮮やかなホームラン。楽天にとっては非情とも思える結果となった。

 9回表、日本ハムは満を持して守護神・武田久をマウンドへ。武田は先頭打者の8番・草野大輔にヒットを打たれるも、途中からマスクをかぶった藤井彰人を二飛に打ち取った。そして続く高須を二ゴロに仕留めた。併殺かと思われたが、セカンドの田中があわてたのか、一塁ランナーの草野をタッチした後、一塁へ悪送球。高須が一塁に残った。しかし、武田はあわてることなく、次打者・渡辺直人を遊ゴロに打ち取り、ゲームセット。日本ハムが2年ぶりに日本シリーズ進出を決めた。

 初めてCSを指揮した梨田昌孝監督は次のように喜びを表現した。
「第1戦、皆さんのあの声援でスレッジの満塁ホームランが生まれ、あれで一気に流れがきた。野村監督にはいろいろと勉強させてもらい、(監督退任は)寂しい気がする。でも、最後は近鉄時代に育ってくれた岩隈、藤井のバッテリーで印象に残る試合となった。もちろん選手も頑張ってくれたが、何よりも北海道のファンの熱い声援が大きかった。(日本シリーズ進出は)まだ実感がわかないが、パの覇者として胸をはって戦いたい」

 日本シリーズは31日、札幌ドームで開幕。リーグ3連覇の巨人、2年ぶりの日本一を目指す中日の勝者と対戦する。