7日、プロ野球日本シリーズ第6戦が札幌ドームで行なわれた。対戦成績を3勝2敗とし、優勝まであと1勝と迫った巨人。初回には先発の東野峻がケガで降板するというアクシデントもあったが、少ないチャンスを確実に得点に結びつけ、7年ぶり21度目の日本一を達成した。

◇第6戦
 先制二塁打の阿部がMVP(巨人2勝1敗、札幌ドーム)
巨人           2 = 010001000
北海道日本ハム   0 = 000000000
勝利投手 内海(1勝1敗)
敗戦投手 武田勝(0勝2敗)
セーブ   クルーン(3S)
 7年ぶりの日本一に王手をかけた巨人だったが、初回、いきなりアクシデントが起きた。2死一塁の場面で先発の東野が4番・高橋信二の強烈なライナーを右手に受け、打球を追うこともできないまま崩れた。結局、東野は降板となり、巨人に重い空気が流れる。しかし、急遽マウンドに上がった内海哲也がわずか1球で5番・スレッジを一塁ゴロに打ち取り、このピンチを凌いだ。

 嫌な流れを払拭しようと、打線も奮起した。2回表、1死から5番・亀井義行が二塁打で出塁すると、6番・谷佳知の内野ゴロの間に三塁へ進む。ここで7番・阿部慎之助があわやホームランかというフェンス直撃の二塁打を放ち、亀井が先制のホームを踏んだ。

 1点のリードをもらった内海は毎回ランナーを出しながらも粘りのピッチングで日本ハムに得点を許さない。一方の日本ハム先発・武田勝も立ち直り、3回以降は1人のランナーも出さない好投を披露。両チームのスコアボードに0が並び、激しい投手戦となった。

 試合が動いたのは6回表。2死から2番・松本哲也がヒットで出塁すると、3番・小笠原道大の当たりはライト前へ。するとライトの稲葉篤紀がボールをつかみそこない、処理が遅れた。このミスを突き、松本が一気にホームへ。巨人に貴重な追加点が入った。

 その裏、巨人ベンチが動いた。内海がスレッジを簡単に一塁ゴロに打ち取ったところで、原辰徳監督自らがマウンドへ。ここで内海が降板となり、豊田清にスイッチした。その豊田を日本ハム打線が攻めた。6番・小谷野栄一がヒットで出塁すると、7番・糸井嘉男はライトフライに倒れるも、8番・鶴岡慎也がライトへ鋭いライナーを放ち、2死ながら一、二塁とした。ここで打席には今季、巨人からトレード移籍した9番・二岡智宏。古巣を相手に意地を見せたいところだったが、二岡は3球続いたフォークの後の高めストレートを叩きつけるも打球は内野を抜けず、二塁ゴロに終わった。

 8回表、今度は日本ハムベンチが動いた。2死二塁の場面で小笠原を敬遠。打席に4番・ラミレスを迎えたところでピッチャーを武田勝から江尻慎太郎にスイッチする。江尻はスライダーでラミレスを追い込むと、最後もスライダーで空振り三振に切ってとり、ベンチの期待に応えた。

 その裏、再び両ベンチが激しく動いた。日本ハムは無死から高橋がヒットで出塁するも、スレッジ、小谷野がこの回からマウンドに上がった越智大祐の前に連続で三振に倒れた。その越智が糸井を四球で出すと、日本ハムは鶴岡に代え、坪井智哉を送った。すると、巨人は越智から早くも守護神クルーンにスイッチし、勝負をかける。クルーンは全球ストレートで坪井を二塁ゴロに打ち取り、ここは巨人に軍配が上がった。

 そしてそのまま試合は巨人2点リードで最終回を迎えた。日本ハムは先頭打者の二岡が二塁打を放つと、1番・田中賢介の一塁ゴロの間に三塁へ。ここで日本ハムはこの試合、無安打の森本稀哲に代え、稲田直人を代打に送った。その稲田が四球を選び、打席には稲葉を迎える。自らのミスで巨人に追加点を与えた稲葉。汚名返上には絶好のチャンスだったが、クルーンのフォークを見逃し、三振に倒れた。それでも、この間に稲田の代走・紺田敏正が盗塁を決め、2死二、三塁となった。巨人にとっては一打同点のピンチとなるが、ここでクルーンが勝負強さを発揮。高橋を全球フォークで三球三振に仕留め、チームを7年ぶり日本一に導いた。

 昨季の雪辱を果たし、日本一を奪回した巨人。今春のWBCに続き、チームを頂点に導いた原監督は次のようにコメントした。
「梨田監督のもと、すばらしいチームと日本シリーズを戦い、日本一になることができたことを誇りに思うし、胴上げは感無量だった。今季は長いシーズンになったが、日本一で締めくくることができたのはファンのおかげだし、自分たちは間違っていなかったと自信となった」
 そして最後に「ジャイアンツファンの皆様、日本一になりました!」と叫び、喜びを爆発させた。

 MVPには先制の二塁打を放った阿部が輝いた。阿部は故障で出場することができなかった昨季の日本シリーズの屈辱を晴らすこととなった。