埼玉西武ライオンズは14日、横浜から戦力外通告を受けていた工藤公康投手の入団が決まったことを発表した。工藤は1982年のプロ入り以来、94年まで西武に在籍しており、16年ぶりの古巣復帰。パ・リーグでは99年の福岡ダイエー(現ソフトバンク)時代以来、11年ぶりのプレーとなる。工藤は現在、現役最年長の46歳。来季も試合出場すれば、自身のもつプロ野球記録を更新し、実働29年目のシーズンに突入する。
 今季の工藤は横浜で開幕直後から中継ぎに転向。自身最多となる46試合に登板し、2勝3敗、防御率6.51の成績だった。全盛期と比較すれば衰えは否めず、打ち込まれるケースもあったが、10ホールドをマークし、貴重な中継ぎ左腕としての役割を果たした。

「先発とリリーフでは肩のつくり方が全く違う。貴重な経験ができました」
 28年目にして新境地を開拓したベテランに対しては西武をはじめ、東北楽天も獲得に興味を示した。いずれのチームの救援陣に不安を抱え、特に中継ぎもできる左腕は補強ポイントのひとつ。「左投げでなければ、ここまで長くやれなかった」と本人も語るとおり、来年5月に47歳を迎える左腕でも戦力としての需要はゼロではなかった。

 加えてマウンド以外での貢献にも期待がかかる。ネクストバッターも踏まえて配球を考える投球術や、40歳を超えてマウンドに立ち続けるためのトレーニング理論は、すべての投手にとって“投げるバイブル”だ。工藤のアドバイスで飛躍をとげ、各球団で活躍している投手は少なくない。しかも西武は先日のドラフト会議で6球団の競合の末、超高校級左腕の菊池雄星(花巻東)の指名に成功。菊池は工藤を一番尊敬する投手にあげており、ゴールデンルーキーの良き教育係にもなりそうだ。

「直接会ったわけではないので、モノがいいのか、質がいいのかわかりませんが、質がいいだけならプロでは1シーズン持ちません。まずは鍛えて、プロで通用するモノをつくる必要がある」。
 工藤はテレビでみた菊池の印象をこう語っていた。46歳と18歳。親子ほど年齢の違う2人のサウスポーが2010年のライオンズの目玉になる。