新年あけましておめでとうございます。
 2015年は、ずばりカープの1年になるでしょう。

 何といっても黒田博樹の復帰でマエケン(前田健太)との2枚看板ができました。昨季、カープは9連敗で失速しましたが、今年は大きく負けが続くことはないはずです。

 黒田の英断はOBとしてもうれしいの一語です。まだまだメジャーリーグでも十分活躍できる中、その力を古巣のために使ってくれるのですから、これは大きな戦力になります。

 本人としても、ただ戻るだけでなく、元気なうちに主力として優勝に貢献したいとの思いがあったのでしょう。背番号15を空け、毎年、オファーを出して熱意を示してきた球団の熱意も素晴らしいと感じます。

 例年以上に明るい展望が開けた2015年は、僕にとっても節目の1年です。アイランドリーグで監督を務め、今季で10年目となります。初年度に愛媛で1年、ブランクの1年を経て、香川で9年目の指揮を執らせてもらうことになりました。

 振り返れば10年前はすべてが手探りの見切り発車でした。職員もスタッフも寄せ集め。練習グラウンドの確保も一苦労でした。当初は連戦の際は宿泊をしていましたが、資金繰りが苦しくなり、すべての試合が日帰りに。給料遅配の事態もありました。

 好きな野球をして生活することが、どんなに大変か我々も選手も勉強になった1年でしたね。そんな中、大きな目的であるNPB選手の輩出を達成しようと、いろいろと働きかけをしたのもいい思い出です。

 たとえば中谷翼の場合、広島に高速ジェットで連れていき、特別にフリー打撃を見てもらったこともあります。チーム内でも彼と林真輝はバッターとしての才能があり、何とかしたいと考えていました。

 結果、この年から始まった育成選手制度で西山道隆が福岡ソフトバンク、中谷がカープに入団し、架け橋をつくってくれました。2人ともただNPBに行っただけでなく、支配下登録を勝ち取り、1軍でもプレーしたことはリーグにとって励みになったのではないでしょうか。

 2人とも1軍で十分な活躍はできなかったとはいえ、今も西山はソフトバンク、中谷は巨人で球団スタッフとして働いています。1年目の厳しい環境で修業したおかげで、人間的にも立派に成長できたからこそ、引退後もNPBで仕事ができているのでしょう。

 2人の先駆者が道を拓き、その後も毎年、NPBに選手、スタッフ、指導者が入団しています。BCリーグも含め、独立リーグという進路の選択肢ができたことは球界にとって大きな変革です。その礎づくりに携われたことは誇りに思っています。

 アイランドリーグは11年目のシーズンを迎え、今季は新たな挑戦をします。夏場に選抜チームで北米の独立リーグに遠征することになりました。

 BCリーグも福島、埼玉に新チームが誕生し、福島では元メジャーリーガーの岩村明憲選手兼任監督が話題になっています。独立リーグとして生き残るためには、初心を忘れることなく、新しい方向に進まなくてはいけません。

 僕も挑戦は大好きですから、この試みは大賛成です。遠征に選ばれた選手は本場で、いい経験を積めるでしょう。

 9年間、独立リーグで監督をしてきて、改めて選手の成長には実戦経験が一番だと実感しています。試合を通じ、長いシーズンを戦い抜くことで日々、長所を伸ばし、短所を克服する。心技体をレベルアップするには、最適な場所と言えます。

 この独立リーグが、さらに発展するためには支えていただける方を増やすことも重要です。今年は丸亀に新球場が完成し、ファンの方にも楽しんでいただける施設ができました。

 現場としてもファンの方、地元の方を大切に、ひとりでも多くの皆さんに球場に足を運んでいただけるよう努力します。イベントやファンサービスはもちろん、勝って皆さんに喜んでいただけるよう、選手をつくり、チームをつくり、試合をつくる。これが僕の使命です。

 今年も選手、コーチ、フロントと一丸になり、頑張ります。2015年もどうか、よろしくお願いします。

(このコーナーは毎月1日に更新します)

◎バックナンバーはこちらから