今回の広島での土砂災害、被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます。土砂崩れが起きた現場は広島の自宅からは車で15分の場所。高速道路のインターチェンジも近く、車でよく通るところだけに、自然の恐ろしさを改めて実感しました。

 肉親や身内を亡くされた方はスポーツどころではないでしょうが、昨年、東北楽天が日本一になって東日本大震災の被災者を励ましたように、カープとサンフレッチェが少しでも広島の皆さんを元気づける役割を果たさなくてはなりません。

 カープは現在、首位・巨人と1ゲーム差。逆転優勝は十分可能な情勢です。シーズン前半、チームを牽引したブラッド・エルドレッドやキラ・カアイフエは不調で2軍落ちしているものの、菊池涼介、丸佳浩が中心となり、よく頑張っています。また田中広輔、小窪哲也、中東直己といった脇役もいい仕事をしており、選手層が厚くなってきました。

 流れを変える一発を放つ絶対的な4番はいなくても、打線がつないで得点を重ねる。23年前、91年にリーグ優勝した際も似たような状況でしたね。この年は助っ人のロッド・アレンが不振で、夏場は僕が4番を任されていました。

 91年の僕は自己最多の102試合に出場し、打率.289。本塁打はわずか7本でも、51打点と4番として勝負強さを発揮できたのは誇りです。今年のカープはエルドレッド、キラが不在でも岩本貴裕、松山竜平と長打が見込めるバッターが控えています。日替わり打線であっても、野村謙二郎監督がうまく選手たちを起用していけば、ある程度の得点は見込めるはずです。

 逆転Vへのカギは投手陣が握っていると言えるでしょう。特にエースのマエケンが投げる試合は必ず勝つことが重要です。ここまでのマエケンは2ケタ勝利をしているものの、既に7敗を喫しています。

 マエケンは常々、「カープで優勝したい」と口にしてきました。まさに有言実行の最大のチャンスです。決して本調子ではないのでしょうが、残り1カ月、ファンの期待に応え、チームを頂点に導いてほしいと感じています。

 首位との差は小さいとはいえ、残り試合が少なくなれば上に立っているほうが優位になります。カープとしては、どこかで連勝をして、巨人を抜き去る必要があるでしょう。

 3位の阪神も含め、打線は3チームとも大差はありません。やはり最後に決着をつけるのは投手力です。そして直接対決でいかに相手を叩けるか。ここからは1試合1試合、1球1球が大切になります。ひとつのミスが命取りになりかねません。

 2日からは早速、巨人との3連戦。ここで最低でも勝ち越して、まずは首位に並んでほしいものです。

 優勝争いを演じるカープとは裏腹に、我がガイナーズは後期は借金を抱え、最下位争いに甘んじています。この夏場に打線がバテてしまい、8月には5試合で4度の完封負けを喫した時期がありました。8月29日の高知戦では9回2死までノーヒットノーランに抑えられています。

 正直、ここまで低迷するのは僕がガイナーズの監督になって初めてかもしれません。常勝ガイナーズを応援していただいたファンの皆さんにも悔しい思いをさせてしまい、申し訳なく思っています。

 後期優勝はかなり厳しくなりましたが、まだ年間勝率2位でリーグチャンピオンシップ進出の可能性は残っています。前期、あと1勝で優勝を逃したように、“あの時、勝っていれば……”と後悔することのないよう、残り試合で何とか意地をみせたいものです。

 こんな時でも球場で声援を飛ばしてくださるファンは我々の誇りです。いつもありがとうございます。リーグチャンピオンシップに出られなければ、今のメンバーで野球ができるのは、もう1カ月もありません。プロセスと結果を重視し、少しでも長く試合をしてレベルアップが図れるよう、ギアを入れ直して頑張ります! 

(このコーナーは毎月1日に更新します)


◎バックナンバーはこちらから