前期は最終戦で愛媛に敗れ、徳島と並んで同率で全日程を終了。徳島との直接対決で負け越していたため、優勝へのマジックを1まで減らしていながら、3年連続の前期Vを逃してしまいました。

 4連勝でマジックを2まで減らし、残りは3試合。しかし21日、22日と雨で中止になり、一気に決められなかったのが残念でしたね。その意味では天運がなかったのかもしれません。

 もちろん、負けに不思議な負けなし。直接対決ではひとつ負け越していたのですから、その意味では徳島のほうが優勝に値するチームだったと言えるでしょう。ひとつも負けが許されない状況から3勝1分と無敗で残り4試合を終えたのも、地力が為せる業だと思います。

 香川は徳島の結果に関わらず、勝てば良かったわけですから、アドバンテージをミスミス逃したのはチームとしての力不足でしょう。特に打線はラストの3試合で計2点。最終戦の愛媛戦では元NPB左腕の正田樹に丁寧なピッッチングをされたとはいえ、プレッシャーからバッティングが硬かったです。

 野球は打てなければ守りでカバーする競技。ピッチャー陣にも反省点はあります。残り3試合は序盤に失点する試合が目立ち、いい流れをつくれませんでした。寺田哲也や、田村雅樹、篠原慎平らがフル回転でよく頑張ってくれましたが、0点に抑えれば負けなかったととらえるべきでしょう。

 プロである以上、プロセスは大事ですが、最終的に求められるのは結果です。サッカーW杯でグループリーグ敗退したザックジャパンしかり、成績を残せなければ批判されるのは致し方ないでしょう。僕も現役時代、打てなかった時は市民球場でよくヤジられました。

 前期のV逸も勝負どころで選手たちの力をうまく引き出せなかった監督の責任でもあります。ファンの期待に応えられなかった点は非常に申し訳なく感じています。

 今回、選手たちは、とてもいい経験をしたはずです。後期シーズンは週末からスタートします。チームの勝利はもちろん、個人の力をスカウトに見てもらう意味でも重要な3カ月間です。後期こそは大事な場面で100%の能力を発揮し、もう一度、チャンピオンシップで徳島と年間優勝を争えるよう指導していくつもりです。

 前期と後期のインターバルを利用して、この1日からはアイランドリーグ選抜を率いて関東遠征をしています。横須賀スタジアムでイースタンリーグ混成チーム「フューチャーズ」との3連戦です。

 この関東遠征は、勝ち負け以上に大切なのは個々のアピール。普段、リーグの選手を見る機会の少ない在京球団の担当者に、いかに印象付けられるか。それで評価が変わる選手が出てくるかもしれません。

 今回のリーグ選抜はトップの9勝をあげている入野貴大(徳島)や打率1位(.348)の河田直人(高知)らリーグで実績をあげている選手に加えて、宍戸勇希(徳島)や航大(高知)といった若手もメンバーに入れました。

 やはり、NPBのスカウトがリーグの選手に最も求めているのは伸びしろです。その点では若くて生きがよいこともひとつのポイントになります。

 又吉克樹(香川-中日)やアレッサンドロ・マエストリ(香川-オリックス)のように即戦力で活躍できる選手は、このリーグにそうはいません。角中勝也(高知-千葉ロッテ)、三輪正義(香川-東京ヤクルト)、土田瑞起(愛媛-巨人)ら今、1軍でプレーしている選手はNPBでさらに経験を積み、伸びたケースがほとんどです。

 荒削りではあっても、キラリと光るものをいかに選手たちが見せられるか。そして、指導者がいかに素材を見出し、成長へのサポートができるか。当たり前のことですが、10年目を迎えたアイランドリーグに改めて求められている点ではないでしょうか。

 後期は勝利と育成の両面で成果を上げ、ファンの皆さんに喜んでいただけるよう、一層、頑張ります。引き続き、応援よろしくお願いします。

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