1日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会の決勝トーナメント1回戦で、フランスがナイジェリアを2−0で下し、2大会ぶりにベスト8進出を果たした。試合は前半から一進一退の攻防となり、スコアレスのまま試合を折り返した。後半も拮抗した展開となったが34分、フランスがMFポール・ポグバのゴールで先制。アディショナルタイムにはオウンゴールでナイジェリアを突き放した。フランスは準々決勝でドイツ対アルジェリアの勝者と対戦する。

 ポグバ、値千金の決勝ヘディング弾(ブラジリア)
フランス 2−0 ナイジェリア
【得点】
[フ] ポール・ポグバ79分、オウンゴール(90分+1)

“レ・ブルー”が試合巧者ぶりを発揮した。ナイジェリアのサイド攻撃に苦しんだものの、しっかりと守備陣形を整えて対処。先制した後は、攻撃に人数を割かずに、確実に勝利を手繰り寄せた。

 序盤はサイド攻撃を起点にたナイジェリアに押し込まれた。19分、FWエマヌエル・エメニケに左サイドからのクロスに合わせられてゴールをネットを揺らされた。しかし、判定はオフサイド。フランスとしては肝を冷やしたシーンだった。

 ピンチの後にチャンスありだ。22分、中盤でルーズボールを拾ったポグバが中央から右サイドのMFマテュー・バルブエナに展開。受けたバルブエナがクロスを上げると、PA内に入ってきていたポグバが右足ボレーで合わせた。シュートを枠をとらえたが、GKビンセント・エニェアマに防がれた。フランスはナイジェリアの攻撃を防いでからのカウンターで活路を見いだしていった。

 試合は両チーム無得点のままで後半に突入するも、拮抗した状況が続く。フランスは後半19分、FWピーター・オデムウィンギーに右サイドからカットインされてシュートを打たれが、これはGKウーゴ・ロリスが正面で押さえた。

 攻めては24分、FWカリム・ベンゼマが途中出場のFWアントワーヌ・グリーズマンとのワンツーでPA内に進入。GKとの1対1から放ったシュートは、GKの体に当たってゴール方向へ向かったが、カバーに入ったFWビクター・モーゼスにクリアされた。

 決定機を決めきれなかったフランスだが、その後もチャンスをつくりだした。32分、MFヨアン・カバイエがCKのこぼれ球をPA手前からミドルシュートで狙ったものの、クロスバーを直撃。34分には、ベンゼマが右サイドからのFKに頭で合わせたが、コースを突けず、エニェアマに右手1本で弾き出され、左CKとなった。なかなかゴールを奪えず、嫌な流れになりかけたが、このCKでついに試合が動いた。

 バルブエナがPA中央に蹴ったボールは、エニェアマに触られてファーサイドへ流れた。ここにポジショニングしていたのがポグバ。ヘディングで守護神のいなくなったゴールに流し込んだ。21歳の新星が、フランスに待望の先制点をもたらした。

 残り約10分で先制したフランスは、無理に攻めることはせず、ボールを回してうまく時間を使う。迎えたアディショナル・タイムには、バルブエナが右ショートコーナーから上げたグラウンダーのクロスが、DFジョセフ・ヨボの左足に当たってゴールへ。フランスが幸運ともいえるゴールで、勝利を確実にした。

 フランスのベスト8進出は準優勝した2006年ドイツW杯以来、2大会ぶり。次の相手はドイツ対アルジェリアの勝者だ。実力的にはアルジェリアが劣るが、ドイツとなっても、優勝候補を破れば頂点への道が一気に拓ける。

(鈴木友多)

【フランス】
GK
ウーゴ・ロリス
DF
マチュー・ドビュシ
パトリス・エブラ
ラファエル・バラン
ローラン・コシールニー
MF
ヨアン・カバイエ
マテュー・バルブエナ
→ムサ・シッソコ(90分+3)
ブレズ・マトゥイディ
ポール・ポグバ
FW
オリビエ・ジル
→アントワーヌ・グリーズマン(62分)
カリム・ベンゼマ

【ナイジェリア】
GK
ビンセント・エニェアマ
DF
ジョセフ・ヨボ
エフェ・アンブローズ
ジュウォン・オシャニワ
ケネス・オメルオ
MF
ジョン・オビ・ミケル
オジェニ・オナジ
→ルーベン・ガブリエル(59分)
FW
アーメド・ムサ
ピーター・オデムウィンギー
エマヌエル・エメニケ
ビクター・モーゼス
→ウチェ・ヌウォフォル(89分)