独立リーググランドチャンピオンシップは3連敗、ドラフト指名は香川の2選手のみ、みやざきフェニックス・リーグは1勝13敗4分……。今シーズンの締めくくりはアイランドリーグにとっては残念な結果が続いています。

 四国にリーグができて、今季で8年目。これまでリーグからは35名がNPBからドラフト指名を受けました。特に香川からは初年度を除いて毎年、計15選手が巣立っています。その中でリーグ最多の優勝(5回)を達成したことは選手たちの頑張りの結果と言えるでしょう。

 しかし、NPBへ選手が抜けた分、素質のある選手を見つけて育成しなければ、当然、リーグ全体のレベルは落ちていきます。今回の一連の結果は、需要と供給が追い付いていないリーグの現状を表していると感じました。この点は来季に向けて、自戒も込めて課題としなくてはならないでしょう。

 3連敗した新潟アルビレックスBCとの独立リーググランドチャンピオンシップは、相手が完全に上手でした。新潟は投打のレベルが高く、かつバランスがとれている。敵ながら本当に素晴らしいチームでしたね。

 特に第1戦、第3戦と好投を許したエースの寺田哲也、第2戦の先発・阿部拳斗、抑えの間曽晃平の3投手は球威に加えてコントロールが良く予想以上でした。彼らの持ち味を引き出したキャッチャー平野進也のリードも巧かったですね。平野は第3戦で3ランを放ったようにバッティングも良く、今回、ドラフト指名されなかったのが不思議なくらいです。

 他の選手に関しても、橋上秀樹前監督(現巨人戦略コーチ)、高津臣吾監督がしっかり野球を教えてきたのでしょう。初球から狙い球を絞り、思い切ってバットを振る姿勢が見えました。この姿勢が勝負どころでの一打につながったのだと思います。

 大事な場面での一投一打で相手を上回るのは本来、香川がやりたかった野球。それを新潟にやられてしまっては勝ち目がありませんでした。

 また攻撃では桜井広大が第1戦直前の練習でふくらはぎを痛め、代打でしか起用できなかったのも痛かったです。守りでも最多勝をあげたカープ育成選手の山野恭介が制球の悪さを突かれ、ゲームをつくれませんでした。「中心なき組織は機能しない」とは、野村克也さんの有名な言葉ですが、まさに香川は投打の中心が機能しなかったですね。

 山野に関しては第2戦の2回、カウントを稼ぎにいったカーブをレフトスタンドに運ばれて調子がおかしくなりました。レギュラーシーズンでは打たれなかったカウント、球種で一発を浴び、本人も動揺があったのでしょう。新潟はその点でも、よく我々のことを研究し、弱点をうまく突いてきました。

 ただ、これがワンランク上の野球です。山野もカープに戻れば、支配下登録をかけた戦いが待っています。この悔しい経験を糧にカープでさらに高みを目指してほしいと感じています。

 惨敗に終わったフェニックスリーグでは貴重な体験もできました。クライマックスシリーズに向けて調整していた北海道日本ハムと試合ができたことです。

 スタメンには1番・陽岱鋼、クリーンアップに糸井嘉男、中田翔、稲葉篤紀と、まさにベストメンバー。彼らと直接対決し、アイランドリーグの選手たちはレベルの違いを肌で感じたはずです。僕も久々に質の高い野球を間近で見て、大いに刺激を受けました。この試合で学んだことを来季も残留する選手はぜひ生かしてほしいものです。

 これからアイランドリーグは各地で合同トライアウトが行われます。繰り返しになりますが、育成リーグとして好素材を集めて育てなければ、リーグの価値は下がってしまいます。何かひとつでも光る武器を持った選手を見逃さないよう、しっかりとチェックしていきたいです。

 今シーズン、香川の皆さんには熱い応援をいただき、ありがとうございました。来季は独立リーグ日本一を奪回し、今年以上にNPB選手を輩出できるよう、一から頑張ります。引き続きの温かいご支援をよろしくお願いします。  

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