野球界はオフシーズンに突入しましたが、今年は来春のWBCに向けた話題がメディアを賑わせています。ご存知のように今回の日本代表、侍ジャパンを指揮を執るのが、ミスター赤ヘル・山本浩二さんです。

 浩二さんはカープの先輩であると同時に大学(法政)の先輩。選手時代からよくかわいがっていただきました。監督になってからもチャンスをもらい、91年のリーグ優勝に貢献できたことは良き思い出です。

 同じチームでプレーしていて感心したのは浩二さんの洞察力の鋭さ。ピッチャーの特徴やクセを見つけるのが早く、初対戦でもすぐに対応できていました。勝負師の一面もあり、マージャンも強かったですね。

 ただ、監督としては延べ10年間で1度優勝しただけで、北京五輪のコーチとしても結果は残せませんでした。指揮官としての能力に疑問符をつける人もいるでしょう。しかし、チームと違って代表には能力のあるメンバーがそろっています。浩二さんが選手を信じ、しっかり準備をすれば悪い結果にはならないはずです。

 リーグ戦とは違い、一発勝負の要素が強い戦いでは、実績よりも調子の良し悪しを見極めた選手起用が求められます。また国際大会では思わぬ伏兵がラッキーボーイ的な存在になることもあるものです。

 僕も現役時代、キューバ遠征した際には2試合連続ホームランを打ったことがあります。もともと海外の野球に興味があったせいか、国際試合のほうが個人的には楽しかったです。もし当時、WBCがあれば、そこそこ活躍できたかもしれません(笑)。

 このように特徴や性格により、国際試合に向いているタイプと、そうでないタイプがいます。今回はメジャーリーガーが代表に入らないだけに、初めてWBCに出る選手が多いはず。実際に大会が始まってから、いかに判断し、決断するかが大切になるでしょう。

 それだけに浩二さんを支える参謀の役割は重要です。緊迫した展開になれば、監督も目の前の状況に没頭してしまうことがあります。そんな時、違った視点で監督に助言できるコーチが必要です。

 今回の侍ジャパンには投手総合コーチとして東尾修さん、野手総合コーチとして梨田昌孝さんが名を連ねています。お二方とも監督経験者ですが、黒衣に徹して名参謀になれるのか。この点もWBCのポイントになる気がします。

 収益分配の不公平や、大事な開幕前の開催などWBCにはいろいろ問題点があります。本来はサッカーのW杯のようにシーズンを中断して、夏場にやるのがベストでしょう。

 ただ、過去2回、日本が連覇を果たしたことで国内は大いに盛り上がりました。この大会をきっかけに「野球をやってみたい」と思う子供たちが増えれば、球界の発展につながります。

 3連覇への戦いは決してラクではありませんが、国内の選手だけでも決して強豪にヒケをとらないチームができるとみています。代表に選ばれた選手は誇りとやりがいをもって、思い切って暴れてきてほしいものです。

 現在、アイランドリーグでは各地でトライアウトを実施中です。近い将来、NPBに行き、そして未来は侍ジャパンに選ばれるような逸材をぜひ見つけたいと思っています。そして来季も四国でおもしろい野球をお見せするつもりです。今年1年間、アイランドリーグと香川オリーブガイナーズへの温かいご支援、本当にありがとうございました。

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