うれしい出来事が大阪から届きました。我がガイナーズから途中入団したアレッサンドロ・マエストリが、8月26日の埼玉西武戦で完投勝利をあげたのです。

 何といっても、この日は制球の良さが際立っていました。無四球で、奪三振は11個。しかも中軸の中島裕之から2三振、中村剛也から3三振を奪うなどすばらしい内容です。

 マエストリのスライダーはやや独特の軌道で初めて対戦するバッターは捉えにくいところがあります。この右バッターを効果的に使えていましたね。

 最下位に沈むオリックスは先発陣がコマ不足。獲得の打診があった時からスターターとして考えているようでした。ただ、香川での起用法はクローザーでしたから、スタミナ面では心配もありました。

 しかし、それは杞憂でした。オリックスの本拠地は京セラドーム大阪。空調が効いていてプレー環境ではアイランドリーグよりはるかにいい状態です。

 またマウンドもしっかり整備されており、四国と比べれば投げやすいでしょう。データが少ない上に、実力を発揮しやすい要素が揃ったことが今の結果につながっているのだと思います。

 彼はピッチングの制球力のみならず、私生活でも自分をコントロールできる人間です。香川時代は彼を誘って食事にも行きましたが、アルコール類はほとんど口にしません。そして、バランスよく、いろんなものを食べていました。異国の地でも、しっかり日本の食文化に適応し、コンディションをきちんと整えられる点も彼の強みです。

 NPBの世界はやられたら、相手は必ずやり返してきます。しかし、最初に好成績をあげ、マエストリも自信をつけたことでしょう。四球で自滅するタイプではないだけに、今後も先発ローテーションとして活躍してくれるものと期待しています。

 マエストリの移籍はガイナーズにとって痛手でしたが、その分、若手選手が経験を積み、投手陣がゲームをつくっています。7月は苦しんものの、8月は7連勝もあり、首位・愛媛とはわずかに1ゲーム差。後期優勝はもちろんですが、その後のリーグチャンピオンシップの戦いをにらみながら、今後もいろいろとテストをしていきたいと考えています。

 選手にとってもドラフトに向けたアピールも最終局面にさしかかってきました。ここで怖いのはケガです。8月中旬には中軸を打ってきた島袋翔吾が手首を痛めて戦線離脱しました。幸いチャンピオンシップには間に合いそうですが、今からのケガは今季終了になってしまいます。

 この9月からは新外国人右腕のアンソニー・プルータも加入することが決まりました。他球団にも愛媛のデイビット・トレイハン、高知のチャーリー・ウェザービィといい外国人投手がいます。第2、第3のマエストリを探しに、ぜひ皆さんも球場に足を運んでみてください。

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